エンジニアは残業ばかり?550人へのアンケートから分かる残業事情

働き方改革が進み、かつては長時間労働が当たり前だったような業界でも、ワークライフバランスが重視されるようになりました。しかし、エンジニアという職種に対しては、今なお「残業しないと仕事が終わらない」といったネガティブなイメージを持つ人が少なくないようです。

エンジニアとしてのキャリアをスタートさせたい人や、すでに活躍中の現役エンジニアにとって、残業の実態は気になるところです。
そこで今回は、現役エンジニア550人を対象としたアンケートから、「エンジニアの残業のリアル」を徹底調査しました。エンジニアの皆さんがどのような働き方をしており、残業をどのように捉えているのか、詳しく見ていきましょう。

<アンケート概要>
・アンケート名
あなたご自身に関するアンケート
・調査対象
「Fastask(ファストアスク)」のモニタのうち、会社員のエンジニア職である全国の20歳以上の男女」
・調査対象職種
【IT系39.5%】開発系30%、インフラ系4.4%、Web・クリエイティブ系1.5%、IT系その他3.6%
【ものづくり系49.1%】機電系10.7%、電気・電子系10.9%、組込み・制御系3.8%、化学・材料系エンジニア2.3%、ものづくり系その他21.4%
【その他】11.4%
・調査期間
2023年1月24日~25日
・回答数
550人
・調査方法:インターネット調査

エンジニアの残業の実態は?アンケートから平均残業時間や回数をチェック

今回のアンケートによると、エンジニアの月の平均残業時間は、「10~30時間」が33.2%で最多でした。続いて「30~40時間未満」が17.2%、「45時間以上」が13.8%となっています。

■月の平均残業時間であてはまる項目を選択してください

エンジニア 月の平均残業時間 アンケート

また、1ヵ月に何回残業をしているかについて聞いたところ、「9回以上」が45.9%と圧倒的多数でした。なお、アンケートに回答したエンジニアの55.8%が、「エンジニアは残業が多いと思う」と回答しています。

■月に平均何回くらい残業をしていますか?

エンジニア 月の平均残業回数 アンケート

■エンジニアは残業が多いと感じていますか?

エンジニア 残業が多いと感じる アンケート

続いては、エンジニアの職種別の平均残業時間と、各職種の残業に対する実感値について見ていきましょう。

プログラマー・システムエンジニアの平均残業時間

回答者数が最も多かったプログラマー・システムエンジニア(SE)の平均残業時間は、「月10~30時間未満」が32.7%と最多となりました。続いて、「45時間以上」が27.7%となっています。

一方、残業に対する感覚としては「残業時間は多い」と答えた人が29.3%である一方、「残業は多いと思わない」が24.4%となっており、残業に対して不満を抱いている人が多いわけではないようです。

機電系エンジニアの平均残業時間

プログラマー・システムエンジニア(SE)に次いで回答者が多かった機電系エンジニア(生産管理・品質管理・品質保証)の平均残業時間は、「30~40時間未満」が9.9%で最多です。ただし、残業時間に対する実感値としては「残業が多いと思わない」との答えが10.5%で最多であり、エンジニア自身が残業を特に苦にせず働いている一面がうかがえます。

機電系エンジニアの中で2番目に回答者数が多かったのは機電系エンジニア(生産技術・製造技術・プロセス開発)で、平均残業時間は機電系エンジニア(生産管理・品質管理・品質保証)と同様、「30~40時間未満」と答えた人が最多となっています。なお、残業時間に対する実感値は「わからない」と回答した人が15.8%で最多でした。

これらの結果から、IT系のプログラマー・システムエンジニア(SE)、機電系エンジニアのどちらも、労働基準法で定められた1日8時間・1週間40時間以内の残業時間を守っていることがわかります。また、IT系と機電系を比較すると、機電系エンジニアのほうが残業時間に対する不満が少ないようです。

エンジニアの残業が多くなる理由

エンジニアの残業は、なぜ多くなるのでしょうか。現役エンジニアの回答では、「突発的なトラブル対応があるから」が43.5%でトップとなりました。次いで「エンジニア人材が不足しているから」が42.3%で、割合は拮抗しています。また、「タスク過多」も多く、30.4%で3番目となりました。

■残業が多くなる要因を教えてください

なお、アンケート回答者で最も多いプログラマー・システムエンジニア(SE)に対象を絞ると、残業が多くなる原因は「二次請け、三次請けの受発注形態」と回答した人が最多でした。このことから、IT業界の構造が残業を発生させる遠因となっていることがわかります。
機電系エンジニア(生産管理・品質管理・品質保証)においても、「わからない」の19.4%に次いで「二次請け、三次請けの受発注形態」が14.3%となっています。

社会の技術発展に伴い、エンジニアの仕事量は増えており、急なトラブル対応が多いという課題と、それに応えられるだけのエンジニア人材が足りていない課題が見えてきます。

■残業が多くなる要因を教えてください

エンジニア 残業が多くなる要因 アンケート

エンジニアの残業に対する観点

ここまでの結果から、エンジニアの残業は少ないとはいえないものの法令の範囲内であり、特に機電系エンジニアに限っては残業を苦にしていない人が多い傾向も見えてきました。
実際、エンジニアは残業についてどのように感じているのでしょうか。

アンケートの回答からは、残業を「エンジニアの使命や任務」と捉えている人と、「仕方ないこと」と捉えている人がいることがわかります。下記に、エンジニアの自由回答を一部ご紹介します。

<「残業はエンジニアの責任」と捉えている人の回答>
・ないほうが良いが、限られた時間内で最高のものを作る使命を果たす上ではやむをえない
・納期がある仕事であり、品質的に不具合があれば解決まで対応する必要があるのは当然だ
・慢性的な残業や同調圧力による残業は望ましくないが、課題が多く残業になること自体は悪くない
・問題解決のための試行錯誤に必要な時間だと思っている

「残業はエンジニアの責任」と捉えている人は、みずからの仕事の重要性や役割を鑑みて、残業も前向きに捉えている傾向がありました。また、「自分のペースで仕事ができるなら、残業と捉える必要はない」といった回答もあり、技術力で勝負するエンジニアならではの仕事観を感じることができます。

<「残業は仕方ないこと」と捉えている人の回答>
・時間内に終わらせるだけの技術のなさを悔やむ
・タスクを完了するために、個人の能力が欠如しているなら必要
・事務作業とエンジニア業務の絶対量が多すぎて、残業なしでは終わらない
・タスクが多く、早く退社したり、休暇を取得したりすると後が大変。残業せざるをえない
・人手不足なので仕方ない

「残業は仕方ないこと」と捉えている人は、自身の技術力不足から残業が発生しているとする回答と、労働環境に起因する残業のため避けようがないという回答が多くを占めました。

いずれにせよ、エンジニアは残業をある程度は「やむをえないもの」として受け入れていることがわかります。また、「やむをえないもの」を是とするか非とするかは、エンジニア自身の仕事観や技術への自信、置かれている環境などが複雑に絡み合い、影響しているといえそうです。

エンジニアの残業を減らすための仕事術

残業を避けるのが難しい職種であるエンジニアは、少しでも残業を減らすためにさまざまな工夫をしているようです。アンケートの結果から、エンジニアによる残業を減らすための仕事術を2つ紹介します。

計画を立てて仕事をする

無計画に仕事を始めると、思わぬトラブルや予期せぬタスクによって残業が増えるリスクが高まります。イレギュラー対応をしているうちに1日が終わり、やるべきことを残業でこなすといった事態にもなりかねません。
アンケート回答によると、やるべきことの大枠をつかんだ後、タスクの優先順位をつけてから仕事に取り組む人や、解析の精度を上げて事前に対策を立てた上で仕事を始める人が多いようです。「やることを決める」だけでなく、「やらないことを決める」ことを重視しているとの回答もありました。

ノウハウの蓄積と共有を徹底する

業務の属人化は、長時間残業への第一歩ともいえます。業務が属人化すると、その担当者はタスクを仲間に割り振ることができず、一人で大量の業務をこなさざるをえないからです。もし、担当者がメンタルヘルス等の不調で休職・退職するようなことになれば、ブラックボックス化した作業を同僚などが残業してこなす悪循環にもなりかねません。

そんな事態を防ぐ上でも、普段からノウハウは皆で共有し、業務の標準化に努めることが肝要です。業務の標準化が浸透していけば、自ずと将来的な残業をなくすことも期待できます。バックオフィスソフトの導入など、システムに任せられる部分は任せてしまうのも有効な対策のひとつでしょう。

長く働くなら、残業に対する企業の価値観も重視しよう

エンジニアに限らず、残業はどの仕事でも発生するものです。ただし、その発生の仕方や発生の要因、残業に対する価値観などは企業・個人によってさまざまなため、エンジニアへのキャリアチェンジを目指す際には企業の情報を詳しく確認しましょう。

なお、パーソルクロステクノロジーは「自分らしく働く」ことについて、共に考える相談先を目指しており、エンジニアの方々が希望する就業条件などに応じて仕事をご紹介しています。エンジニアとしてキャリアを積みたい方は、ぜひこの機会に弊社のサービス活用・利用をご検討ください。

▼「パーソルクロステクノロジーのキャリア支援の方針」についてはこちら
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※記事に記載の内容は、2023年2月時点の情報です

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