【キニレポ!】 “働く環境”は仕事にどれだけ影響する?

※この「キニレポ!」は、“気になるテック系イベント”に参加して、ざっくり概要をまとめてレポートしていく企画です。


こんにちは、レポーターのマサです。

皆さんは、どんな環境で働いていますでしょうか。できるだけ集中できて気持ちの良い環境で働きたいものですよね。

今回は、そんな「働く環境」について考えさせられるイベントがありましたのでご紹介したいと思います。


WeWorkとは何なのか

参加したのは、WeWork丸の内にて開催された「この出会いから始まる、これからの働き方」というセミナーです。

WeWork × Sansanの共催セミナーで、登壇されていたのは次の4名の皆さま。

・WeWork Japan合同会社の鈴木 省吾さん ・パーソルプロセス&テクノロジー株式会社の成瀬 岳人さん ・株式会社ローンディールの大川 陽介さん ・Sansan株式会社の山崎 文隆さん

まず4名それぞれのプレゼンテーションがあり、最後に全員でのパネルディスカッションという構成でした。

どの方のプレゼンも魅力的だったのですが、今回はWeWorkさんのプレゼンと最後のパネルディスカッションをピックアップしていきたいと思います。


まず、皆さんはそもそも「WeWork」をご存知でしょうか?

WeWorkはコワーキングスペースを提供しており、東京、横浜、大阪、福岡の4都市、16拠点に展開していて、5月には名古屋での初拠点となるWeWork グローバルゲート名古屋を、6月には大阪でWeWork 御堂筋フロンティアをオープンする予定だとか。

さらに12月には、日本最大級となる WeWork 渋谷スクランブルスクエアや 、WeWork 新宿南口のオープンを予定しているといいます。

なんだかすごい勢いで広がっていますが、なぜWeWorkがここまで成長しているのでしょうか。WeWorkの鈴木さんは、「それは、働き方の改革に密接しているから」だと言います。

「働き方の改革と、WeWorkの成長がどう繋がるのだろう?」と思いながら聴いていたのですが、つまりこういうことでした。

・働き方を改革するためには「働く人のモチベーションをいかにあげるかが重要」

・モチベーションを上げるためのキーワードは「コラボレーション」

・WeWorkのオフィスの特徴は「コラボレーション」である



それぞれ具体的に掘り下げていきましょう。

まず、働き方を改革するためには「働く人のモチベーションをいかにあげるかが重要」という点。


これは有名なデータなのですが、世論調査会社「ギャラップ」による“社員の仕事への熱意度調査”で日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことが明らかになりました。

調査した139カ国中では132位と最下位クラスだったのです。 「働く人のモチベーションを上げる」ということがいかに重要なのか分かりますよね。

では逆に、モチベーションが高い人にはどんな特徴があるのか?

これを紐解いていくと、満足している社員の67%以上が「会社外の人と週に1度以上は交流している」というデータが出たのだとか。

さらに、満足している社員の52%以上は「1日に5人以上の社内の人と一緒に仕事をしている」というデータも。


つまり、キーワードは「コラボレーション」だというわけです。

じゃあ社内で交流イベントをどんどんやればいいかというと、そんな単純な話でもないようです。実際、業務後に飲み会を開催しても嫌がる人は多いですからね。


ワークスペースが提供すべきベネフィットとは

他にモチベーションが高い人にはどんな特徴があるのか、というと「満足している社員の83%が、ワークスペースの提供するベネフィットにも満足している」というデータがあるようです。

ワークスペースが提供するベネフィット、というのは具体的には次のようなもの。

・ロケーションがいい
・ペットOK
・雰囲気がいい
・リラックスできるスペースがある
・パントリー(流しや食器棚・食品庫)がある
・飲み物を提供してくれる



そして、WeWorkのオフィスの特徴としては、前述した「コラボレーション」「ベネフィット」の2つを兼ね備えているということでした。

実際、組織の壁を越えたコミュニティ作りをしていたり、イベントも多数開催されていたりするのだとか。


もともとアメリカでWeWorkは「オフィス貸し」ではなく「プラットフォーム」として認知されていて、「リアルなFacebook」とも呼ばれているようですから、納得ですね。

またWeWorkでは、「コミュニティが活性化するためにはコミュニケーションが重要」と考えていて、入居メンバー専用のアプリもあるのだそうです。


「ベネフィット」でいえば、立地のロケーションもよく、見ての通りオシャレな環境。そして、2拠点だけではあるもののワンちゃん同伴も可能なのだとか。

飲み物にいたっては飲み放題なのはもちろんのこと、ビールも2種類用意しており、コーヒーに関してもストリーマコーヒーカンパニーのものやスターバックスコーヒーのもの、大阪の拠点ではタカムラワインアンドコーヒーロースターズのものなど質の高いコーヒーを提供しているといいます。


質の高いドリンクが飲み放題!


確かに、これは話しを聴いているだけでテンションが上がってきますね。

ワークスペースも、ワイワイできるエリアがあったと思えば、逆に集中できるエリアもあったりして、仕事の内容によって働く場所を選べるようになっています。この「選べる」という点が非常に大事だと鈴木さんは仰っていました。

実際、既にWeWorkを利用している人へのアンケート結果を出していましたが、多くのWeWorkユーザーが「働きがいがある」「生産性も高い」と回答しているようです。


働く環境を変えた企業の事例

そして、具体的な事例として2社の例を挙げていました。 

1社目が、イノベーションデザイン事業を推進する株式会社Whiteさん。WeWorkに拠点を移してから、社内外のコミュニケーションが増えて生産性が上がったと言います。

なぜコミュニケーションが増えて生産性が上がったのかというと、同じWeWork内に他社がたくさん入居しており、距離が近いことで自分たちの置かれている状況を客観的に見れるようになったのだとか。確かに、他社の人たちだけ定時でゾロゾロ帰っていたりすると、「あれ?うちの会社だけ遅くない?」とか客観視できますよね。

それに加え、会議室はポイントを購入して使うため、ムダに長いとポイントを消費してコストが掛かるからダラダラとした会議をやらなくなったと言います。

実際、どんな会社の会議でもコストは掛かっているわけですが、それがリアルに実感できるというわけですね。


2社目の事例は、インサイドセールスシステムを提供するベルフェイス株式会社さん。この会社ではもともとリモートワークや在宅業務は進んでいて、エンジニアも月に1回くらい出社するような感じだったそうですが、WeWorkに拠点を移してからは週に2~3回出社するようになったのだとか。

なんだか従来の流れとは逆のように見えますが、それだけ“出社したくなる環境”ということですよね。そして顔を合わせることでコミュニケーションが活発になり、モチベーションに繋がっていくということなのでしょう。

さらに、WeWorkに拠点を移したことで採用応募数も増えたのだと言います。確かに、どうせ転職するなら快適な環境で働きたいでしょうから、応募が増えるのも理解できます。

そんなこんなで、WeWorkに拠点を移す企業が増えていて、数十名単位ではなく1社300名で使う企業も出てきたり、さらには1社で1棟まるまる借りるケースも出てきたりしているのだといいます。

「快適な環境で働く」=生産性向上に繋がる。これからもこの流れは加速しそうですね。


各社が取り組んでいる「働き方の工夫」

それでは続いて、後半に行われたパネルディスカッションの内容をご紹介しましょう。

パネルディスカッションでは、登壇企業の各社で取り組んでいる「働き方の工夫」について語られていきました。

●Sansanの山崎さん

Sansanが取り組む働き方の工夫は、『強マッチ』という考え方。

Sansanでは、“個々の強み”を軸にコミュニケーションが図られており、例えば入社したばかりの人は必ず自身の強みを発表するのだといいます。そして、その強みを理解するにあたっては、下記の2つのツールを使うのだとか。

・「ストレングスファインダー」

参考)『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす』(日本経済新聞出版社)

・「エニアグラム」

参考)『9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』(PHP研究所)

企業が急成長しているため社内に知らない人も増えているなか、名前や肩書きだけで社員のことを知るのでは足りない。個々の「強み」を知っていくことで働きやすくもあり、企業の成長に繋がるのだとか。


●パーソルプロセス&テクノロジーの成瀬さん

パーソルプロセス&テクノロジーでは、「残業を減らした人へのインセンティブ支給」を試験的に運用されたそうです。

「労働時間」の管理をしていくと残業が減ります。すると「収入が減る」ということに繋がります。だから、残業を減らしたがらない人も出てしまう。

このパラドックスを抜けるために、「残業を減らしたらインセンティブを支給する」ということを1年運用したのだとか。

この運用結果を踏まえて、今後はさらなる生産性指標をBIツールによって出していこうと考えているのだそうです。

確かに、残業を減らした人が評価される、というのは正しい方向ですよね。


●ローンディールの大川さん

ローンディールでは、何か特別な制度というよりも働き方に対して「手段と目的をセットで考える」ということを意識しているそうです。

ひとくちに働き方といっても、職種や仕事の目的、個々のフェーズによって異なるので、手段と目的をセットで考えていかなければならない、とのこと。

ベンチャーだからこうしなきゃいけない、大企業だからどうしなきゃいけない、ではなくて、“目的を達成するためにどういった手段をとっていくべきかを考えるべきだ”と皆で意識しているのだそうです。

確かに、「働き方を考える」というとどうしてもツールなどに走りがちになって手段が目的化してしまいがちですから、根本を意識するのは重要ですね。


●WeWorkの鈴木さん

WeWorkで特徴的なのが、スタッフの皆さんがカジュアルな私服で働かれていること。実際に鈴木さんも、働き方の工夫として「服装や場所が自由であること」を挙げていらっしゃいました。

前職まではスーツに革靴というスタイルだったそうですが、いざWeWorkに入ってTシャツで仕事をしてみると非常に快適で「みんなTシャツで仕事すればいいのに」と思ったのだとか。

さらに、場所についても「自席」などはないし、ソファでも個室でも、その日の気分や都合に合わせて場所を変えられることも魅力だといいます。

それとWeWorkには、ほぼ全拠点に娯楽室があるのだとか。娯楽室にはゲーム機や卓球台、ダーツまで揃っているといいます。常にそこで遊んでいるわけではないそうですが、「そういった設備がある」ということが大事だと鈴木さんは仰っていました。

確かに、「うちの会社には娯楽室があっていつでもゲームができる」というだけで、なんだか自由な会社で働けている誇らしさがありますよね。


自分たちの働く環境を見つめ直そう

そして最後に、会場からの質問に答える形でWeWorkの鈴木さんが次のように仰っていたのが印象的でした。

働き方改革にはまだ正解はないし、環境が整っていかないと難しい。

「熱意あふれる社員」の割合が6%しかない日本企業が変わればいいな、と常に思っています。

WeWorkが発展したアメリカでは、GAFAをはじめとした新しい経済圏が大きくなっていますが、その経済圏に日本企業があまり多くいません。

日本企業は、「失敗をしたら次にいけない」と考えてしまっているように思います。でも、日本人はクリエイティブだし勇気もあります。

WeWorkのような“クリエイティブに働ける場所”を広く提供することで、そんな日本人に少しでも影響を与えたい。

そのためには、会社の中の権限を持った人たちが「働く環境を変えるべき」という考え方を持たなければいけないと考えます。



自分の働く環境や働き方について、とても考えさせられる良いイベントでした。
まずは自分たちの働く環境を見つめ直す、というところからやっていきたいですね。

それではまた!



取材協力:WeWork
取材+文:プラスドライブ
撮影場所: WeWork 丸の内北口

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