訪日観光客と飲食店を橋渡し!日本美食がつくるオンラインのおもてなし

訪日観光客の数は、年々増加しています。2006年には約733万人だったその人数は、2016年に2,400万人を突破。そして、2017年は9月15日時点で2,000万人を超えており、最終的には3,000万人に達すると予想されています。つまり、10年で3倍以上になっているのです。しかし、それに伴い「日本の飲食店は、訪日観光客にとって利用しにくい」という声が数多く聞かれるようになりました。

その状況を改善すべく生まれたのが、訪日観光客と飲食店をつなぐインバウンド(海外から日本へ来る観光客)向けサービス「日本美食 Japan Foodie」です。このサービスは「飲食店の紹介」「送客」「予約」「決済」といった一連の作業を、すべてアプリ上で完結してくれます。

今回は同アプリを開発・運営する日本美食株式会社のCTO・盧 迪(Lu Di)さんに、日本の飲食店が抱える課題や、その課題を日本美食が解決できる理由について聞きました。日本美食が持つ「お・も・て・な・し」の心、ご一読ください!

「探せない」「言葉が通じない」「払えない」という課題

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――訪日観光客にとって、日本の飲食店はなぜ利用しにくいのでしょうか?

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盧:「探せない」「言葉が通じない」「払えない」という3つの課題があるからです。

まず、「探せない」から解説します。日本の飲食店は多くの場合、Webサイトは日本語で書かれていますし、雑誌にも日本語で情報が掲載されています。だから、訪日観光客が店の情報を調べようにも読むのが難しい。写真を見ながら「たぶん、これが美味しいんじゃないか」と推測するしかありません。

英語で書かれているのは、本屋に置かれている外国人向けの観光ガイドブックくらいなんです。

――言われてみるとそうですね。外国人の方にとっては情報が限られている。

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盧:それに、観光ガイドブックにも欠点はあります。掲載されていない飲食店もありますし、移転や廃業などによって掲載店がなくなってしまう(情報が古くなってしまう)ケースもありますから。

――2番目の「言葉が通じない」も、同様に“言語”の問題ですね。

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盧:そうですね。日本のレストランに行くと、日本語しか通じないケースもけっこう多いですから。それに、メニューも日本語だけで書かれていたりします。だから、写真が掲載されていないメニューの場合、料理を注文するのが非常に大変なんです。

それに、英語を話してくれる店員さんがいたとしても、いわゆる“カタカナ英語”であることも多いので、観光客が非・英語ネイティブの場合はヒアリングに苦労します。たとえばタイ人と日本人が英語で会話しようとすると、意思疎通に時間がかかってしまうんです。

――そう考えると、訪日観光客が日本で食事をするのは大変なんですね。3番目の「払えない」というのは?

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盧:海外の人たちって、普段は自国で現金をあまり持ち歩かないケースが多いんです。どうやって支払いをしているかというと、PayPalやApple Pay、Alipayなどのスマートフォン決済やクレジットカードを利用しています。

なぜかというと、自分の身を守るため。海外では現金を持っていると、盗難に遭う危険性が高いからなんです。最近は特に、スマートフォン決済を使う人の割合が増えてきました。(パスワード認証や指紋認証などを用いるため)クレジットカードよりも安全な決済方法ですから。

――スマートフォン決済が特に普及している国はどこですか?

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盧:中国です。子どもからお年寄りまでみんな使っていますし、飲食店から宿泊施設までどんな種類の店舗でも利用可能です。スマートフォンを持っておけば、ほとんど現金を持たずに生活できます。

――そんなに日本との違いが! 日本で当たり前の「現金で支払う」という文化は、世界的に見れば当たり前ではないんですね。

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盧:そうなんです。だから、日本に現金支払いのみの飲食店が多いことに、戸惑う観光客の方がたくさんいるんですよ。

2020年、訪日観光客は4,000万人を突破する

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▲日本美食は、デジタルチャネル上でのコンテンツ配信、コンシェルジュによる予約代行、11ブランド対応のスマートフォン決済といった幅広い機能を持つ。いわば「訪日観光客が飲食店を調べて、予約して、お金を払う」という一連の動作をすべて担ってくれるアプリだ。近日中に、4つ星以上のホテルやハイヤーにて雑誌も配布予定だという。

――それらの課題を解決するため、日本美食を開発したのですか?

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盧:はい。それに、2020年には東京オリンピックが開催されますから、今後も訪日観光客の数は間違いなく増え続けます。ビジネスとしても大きな可能性を秘めていると考えたことが、開発着手の決め手になりました。

――2020年には、訪日観光客の数はどれくらいまで増えると予想されているんですか?

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盧:現在の増加率をベースに計算すると、4,000万人を突破すると見込まれています。

――4,000万人……! 膨大な数ですね。ならば、その方々をサポートするアプリは非常に価値が高くなりそうです。

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盧:そうなんです。それに、注文や予約、決済がアプリ上でできるようになると、顧客側だけではなく店舗側にとってもメリットが大きいんですよ。

飲食店にとって、かかるコストの大部分は人件費です。そして、注文を取るのにも、予約を受け付けるのにも、代金を受け取るのにも、従業員の時間(=時給)が必要になります。外国人の方とコミュニケーションする場合はなおさらです。

もしアプリを活用してそれらの業務を効率化・時間短縮できれば、コストの削減にもつながります。

――なるほど。「言葉が通じない」「払えない」という課題を解決するのは、とても意義のあることなんですね。

ストーリーを知ることで、より深く料理を味わえる

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――もう1つの課題である「探せない」を解決するため、日本美食は飲食店の情報を自社メディアやWeChatなどのデジタルチャネル上で発信しているんですか?

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盧:はい。それに、コンテンツを通じて飲食店が持つストーリーを知ってもらうことで、訪日観光客により食事を楽しんでもらえるというメリットもあります。

たとえば、日本の寿司屋が持つ職人文化は素晴らしいものです。何十年も寿司をつくり続けてきたからこそ醸し出せる、その人“ならでは”の味があります。その職人や店がたどってきた歴史をコンテンツで解説すれば、観光客は寿司をより深く味わえるでしょう。

「この店にはこういう歴史があるから、この味になったのかな」とか「こういう文化があるから、日本人は寿司をこう食べるのかな」といった具合に。

――ご飯だけではなく、“文化”も一緒に食べるということですね。最後に聞きたいのですが、2020年の東京オリンピックに向けて、これから日本美食をどう成長させていきたいですか?

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盧:より多くの方々に使っていただけるように、他サービスとの連携を強化していきたいです。たとえば、中華圏No.1のグルメサービスである大衆点評とは既にサービス連携をしており、大衆点評から日本美食を通じて店舗に直接予約できるようになっています。

今後は、他のグルメサービスや飲食店予約サービスなどとも連携し、日本の飲食店の多くを予約・決済可能にしていきたい。そして2020年までに、訪日観光客が一番よく使うアプリに成長させられたら嬉しいです。

――日本美食が、海外と日本をつなぐ架け橋になるといいですね。今回は貴重なお話、どうもありがとうございました!

取材協力:日本美食株式会社

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