「ITエンジニアはやめとけ」は格言だった!?先達に学ぶ職場選び

急速なデジタル化が進む今、情報技術に関する高度なスキルを持つITエンジニアの需要と将来性は、ますます高まっています。一方で、「ITエンジニアはやめとけ」といったネガティブな意見を耳にしたり、ウェブ上で見かけたりすることもあるかと思います。
しかし、実はこの言葉の裏には、大きな意味が隠されているようです。なぜ、先輩ITエンジニアたちは、ITエンジニア志望者やITエンジニアへの転職を考えている後輩たちに、「ITエンジニアはやめとけ」と警鐘を鳴らしているのでしょうか。本記事では、現役ITエンジニア550人の本音からその理由を紐解きながら、職場選びのコツをご紹介します。

なぜ「ITエンジニアはやめとけ」といわれるのか

「ITエンジニアはやめとけ」という言葉は、IT黎明期の2000年代前半、まだ不確実性が高かった業界で身を削るようにしてシステムを生み出してきた先駆者たちの労働環境に対する忠告である場合がほとんどです。

しかし、時代は変わり、IT業界では、予期せぬトラブル対応やクライアントの要望で納期に追われることはあっても、「やめとけ」と後輩に言いたくなるほどの環境は改善されるようになりました。むしろ、デジタル化の波に乗って、多くの企業に求められるやりがいのある仕事として、誇りを持って働くITエンジニアが増えているのが現状といえるでしょう。

【実態調査】ITエンジニア経験者は本当に「やめとけ」と思っているの?

実際に現代のITエンジニアたちは、自身の職業についてどのように感じているのでしょうか。ITエンジニアとして就業中の、25~59歳までの男女550人にアンケートを実施しました。

■ITエンジニアの仕事に関する調査
調査方法:WEBアンケート形式で実施
調査対象:自身の職種をITエンジニア、またはIT・WEB系の開発や設計(システム開発・SE・ネットワーク・WEB・プログラマーなど)のいずれかを選択した全国の25~59歳の就業中の男女
有効回答数:550人
調査実施日:2022年9月16日~9月17日

Q. ITエンジニアという仕事を、これから目指そうとしている人や、興味のある人にすすめたいと思いますか?

ITエンジニアを「すすめたくない」という人は全体の24.9%で、「すすめたい」という人が43.5%という結果になりました。
一方で「どちらでもない」と答えた人は31.6%ですが、その理由として「向き不向きがあるから」(33歳・SE)「みずからがやりたいと思ってする仕事であり、すすめられてする仕事ではないと思うから」(58歳・SE)「本人のやる気が大事だから」(56歳・ネットワークエンジニア)という声が多数寄せられています。このことからも、「ITエンジニアはやめとけ」という言葉には、「中途半端な気持ちであればやめたほうがいい」「向き不向きは他人に判断されるものではない」といった、先輩ITエンジニアたちからの親切心による助言の意味合いが強く含まれた格言に変わっていることがわかります。

では、なぜITエンジニアという職が「やめとけ」といわれているのか、その具体的な理由について「すすめたくない」「どちらでもない」と答えた先輩ITエンジニアの声と共に、もう少し掘り下げていきましょう。

技術革新のスピードが速く、スキルの向上が必要だから

IT業界の技術は、まさに生き馬の目を抜くようなスピードで刷新され続けています。1つの技術にしがみついていては、あっという間に時代に取り残されてしまうことも少なくありません。また、常に最新の情報に気を配り、スキルアップのために学び続ける人が第一線で活躍していけるという状況にあるようです。

<アンケートの声>
「高度な技術力とコミュニケーション能力が要求される」(59歳・SE)
「需要がなくなることはしばらくないであろう業界であるが、技術やスキルの移り変わりが激しい」(49歳・プログラマー)
「ITエンジニアとしての素養があることに越したことはないが、経済・経営・財務的なマーケティング要素を理解することも必要になっている」(47歳・SE)

仕事量が多い(多岐にわたる)

IT業界は、依然として急成長を続けています。技術の進歩に加えて、少子高齢化や働き方の多様化で、ほかの業界と同様に人手不足も顕著です。
ITエンジニアの需要に、余裕を持って応えられるだけの人材がいないため、業務量が増え、負担が増えてしまっているという職場も少なくないようです。

<アンケートの声>
「だいぶマシにはなったが、ハードな仕事ではある」(57歳・SE)
「ライフワークバランスを維持するのが難しい」(40歳・フロントエンドエンジニア)
「保守部隊になると夜間呼び出しがある」(52歳・プログラマー)
「奥が深すぎる。よほどの信念がなければ掘り下げるのも骨が折れる」(51歳・テクニカルサポート・ヘルプデスク・OAインストラクター)

企業の急速なDXの推進とIT人材不足による起因

昨今、あらゆる企業でDXが進んでいます。DXは、デジタルやデータを活用してビジネスモデルを変革し、競争優位性を確立すること。ところが、大手企業の中には、構築から20年以上が経過した基幹システムなど、いわゆるレガシーシステムがDXの足かせになっているケースが少なくありません。
レガシーシステムのモダナイゼーション(古くなった業務システムを現代のニーズに合ったものへと置き換えること)にITエンジニアの労力が割かれることにより、そのほかの領域で人的資源が不足するという状況もあるのです。

<アンケートの声>
「取引先によっては旧態依然な取り組み方をしていることもある」(58歳・SE)
「経験上、使い物になるITエンジニアは5%にも満たない(熟慮せず業界入りする人が多い)。そこに入れれば見通しは明るいが、そこまでたどり着けない人間が多い。努力と実力、コミュニケーションスキルと、ほぼすべての能力が必要になることを理解して飛び込んでいる人間が少ない」(51歳・SE)
「PM(プロダクトマネージャ)が不足していて現場が振り回されている」(56歳・SE)
「イメージばかりがもてはやされて、本当の実力を持つ者が少ない(経験が浅い人が多い)。ちゃんと基本を学んだ者だけがエンジニアを名乗ってほしい」(59歳・SE)

将来AIに代わられる危機もある?

将来、AIに取って代わられるかもしれない職種のひとつとして、ITエンジニアの名前が聞こえてくることにショックを受けた人は多いかもしれません。プログラミングの自動化はAIが得意とする領域であり、実際に技術の代替が進んでいるのも事実です。
とはいえ、すべての技術がAIで代行できるわけではありません。クライアントの心理を分析するためのコミュニケーション能力、要件定義や設計といった上流工程など、AIでは難しい部分のスキルを伸ばしておくことによって、この先も「求められるITエンジニア」として活躍し続けることが可能といえるのです。

<アンケートの声>
「AIが発達し、管理だけが仕事になりそうだから」(55歳・SE)
「近い将来AIが代わりとなるかもしれないといわれている業種のため」(40歳・SE)

ITエンジニアのメリット

ITエンジニアとして働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ITエンジニアという職を「すすめたい」と答えた人からは、「やりがいがある」「業務内容が楽しい」といった意見のほかには、下記のような理由が挙がりました。

将来性があり、必要とされる仕事だから

IT市場のさらなる成長が予測される今、ITエンジニアの将来性は非常に高いといえます。小学生も1人1台端末環境を目指すICT活用教育も始まり、スマートフォンやタブレットは今や1人2台を持つという時代。私たちの生活に欠かすことはできません。
交通やインフラ、あらゆるサービスがIT化していく中で、幅広い業界でITエンジニアが必要とされる存在であることは疑いようがないでしょう。

<アンケートの声>
「仕事としてやりがいがあり、将来性がある」(57歳・ネットワークエンジニア)
「これから必要になる職業だから」(25歳・SE)
「縁の下の力持ちではあるが、自社を良くするために重要な仕事だから」(52歳・SE)
「日本の未来に貢献できる仕事であるため」(55歳・ネットワークエンジニア)

実践的なスキルが得られる

専門的な技術のほか、マネジメントやコミュニケーションといったスキルを、実務としてこなしながら身につけることができるのも大きなメリットです。技術を学びブラッシュアップしていくことで、業務の幅がより広がり、グローバルな働き方ができる場合もあります。

<アンケートの声>
「勉強と経験で、いろいろなレベルの仕事に携われるので、大変だけれど楽しい職種だと思う」(58歳・データベースエンジニア)
「アップデートは必要だが、それなりに手に職がつくようになる」(45歳・プログラマー)

活躍できる場の選択肢が豊富

最近では在宅ワークが一般化し、時間や場所に縛られずに働けるようになりました。PCと技術があれば仕事ができるITエンジニアは、特に自由度が高いといえます。

<アンケートの声>
「どこにでも仕事があるし、つぶしがきく」(45歳・SE)
「グローバルに働ける」(57歳・SE)

他業種に比べて高収入の傾向がある

dodaエージェントサービスの調査によると、2021年12月時点のITエンジニアの平均年収は438万円で、全職種の平均年収403万円より高いことがわかりました。インフラ部門であるサーバーエンジニア、ネットワークエンジニアなどは、その専門性の高さから、より年収が高めになる傾向にあります。

<アンケートの声>
「やる気があれば稼げる」(56歳・SE)
「平均より稼げると思う」(48歳・SE)
「給与が高いから」(40歳・WEBエンジニア)

起業や独立がしやすい

システムの構築やアプリ開発など、持っている技術を形あるサービスに直結させやすく、起業や独立のハードルが低いのもITエンジニアのメリットです。

<アンケートの声>
「ある程度スキルがあれば、独立して仕事をすることができるから」(58歳・プログラマー)
「世の中を軽やかに生きていくには、専門知識を持っていたほうが絶対に得だから」(45歳・SE)

ずっと学びがある

IT技術は常に進歩しており、新たなサービスや商品が生まれる反面、セキュリティ面などで支えるITエンジニアは貴重な存在です。「IT業界は、新しいものを試せる世界」でもあるように、探究心ややりがいを持って無限の可能性を追求し続けることが可能です。

<アンケートの声>
「日々、刺激ある場面に出合える」(56歳・SE)
「技術のみではなく、対象となる顧客のさまざまな業務ビジネスまで詳しくなれるので視野が広がる」(59歳・システムコンサルタント)
「極めれば奥の深い仕事だから」(59歳・テクニカルサポート・ヘルプデスク・OAインストラクター)

さまざまなキャリアプランがある

ITエンジニアは、スペシャリストやゼネラリストにもなれ、関連する職種へのキャリアチェンジにも選択肢が多いため、さまざまな将来像を描ける仕事ともいえます。また、ITエンジニアは理系の代表格のように思われがちですが、実際にはIT未経験者や文系出身者も多く活躍しています。

<アンケートの声>
「技術力がつけばいろいろなキャリアパスが積める」(55歳・SE)
「他の職種と比べて、労働市場における実力を示すことが容易で、転職にも有利」(57歳・SE)

ITエンジニア必見!「こんなはずじゃなかった…」をなくす職場の選び方

考え抜いて職を選んでも、就職後にミスマッチを感じる可能性はゼロではありません。本来希望していた条件や、思い描いていた未来とのずれを感じてしまうことが、先人たちの経験から「ITエンジニアはやめとけ」につながると考えられるでしょう。このようなミスマッチを防ぐためには、まずは「自分に何ができるのか」「何がしたいのか」「これまで培ってきた自身の職歴やスキルの棚卸が正しくできているか」といった自己分析からスタートしましょう。そして、自身の働き方や希望する就業条件、将来のキャリアプランと、就業先の社風や方向性、勤務形態、求められる人物像などから、総合的に判断することが大切です。

とはいえ、仕事との相性や適性も未知数の部分が多いのが現実です。自身でキャリアマップを描くことに迷ったり、企業探しに悩んだりした場合、最も近道な方法がキャリアアドバイサーや専門のコンサルタントのいるエージェントへの相談です。自己分析の相談や、自身の希望条件に合う企業や求人の紹介のほか、応募書類の書き方などのアドバイスといったサポートを受けることができます。
また、自分のライフスタイルに合わせて働きたいという人や、さまざまなプロジェクトに携わりたいという人は、派遣という働き方を選択肢のひとつとして選ぶケースも少なくありません。

エンジニア派遣に特化した人材サービスであるパーソルクロステクノロジーでは、大手、中小、ベンチャーなど、さまざまな規模の企業へのチャレンジをサポート。ITエンジニアと企業を熟知した専門アドバイザーが、あなたのキャリアにしっかり並走します。

「ITエンジニアはやめとけ」の時代はもう終わり。積極的なチャレンジを!

ITエンジニアは、みずからの技術で勝負ができるやりがいのある仕事です。企業からの需要も高く、活躍の場はこれからも多いといえるでしょう。今回のアンケートから見えた現役ITエンジニアたちの声からもわかるように、「ITエンジニアはやめとけ」という言葉がネガティブな意味で使われていたのは過去のこと。
先輩からの格言を心にとどめ、自身が納得感を持って職場を選び、そして自分のスキルや技術を存分に発揮できる環境でITエンジニアとしてのキャリア形成を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。

パーソルクロステクノロジーは、ITエンジニアがそれぞれの自己実現ができるよう、就業をサポートいたします。まずはお気軽にご登録ください。

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