エンジニアの職務経歴書の書き方とは?ひな型と困る事例を解説

履歴書と職務経歴書は、転職を希望する企業に自分を知ってもらうための大切なツールです。「何ができるのか」が評価されるエンジニアの場合、開発経験やテクニカルスキルを記載する職務経歴書の完成度が合否のカギを握っているといっても過言ではありません。エンジニアとしてキャリアアップを目指すための転職を考えているという人は、相手に伝わる職務経歴書を書くことが最優先!

そこで本記事では、エンジニアの職務経歴書の書き方について、書くべきことやキャリアアドバイザーが実際に遭遇した困る事例をわかりやすく解説します。

エンジニアの職務経歴書のポイント

転職をする際、企業に提出する書類には「履歴書」と「職務経歴書」が求められることが一般的です。履歴書は、応募者の氏名や学歴といった基本的なパーソナルデータと、アピールポイントを把握するためのもの。対して、職務経歴書はこれまでの経験やスキルを詳しく確認するためのもので、役割が大きく違います。
また、履歴書には、厚生労働省が作成する様式例がありますが、職務経歴書は応募する職種によって書くべき内容や書き方が異なるため、決まった様式がありません。
こうした点を踏まえて、エンジニアが職務経歴書を作成する際に心掛けたいポイントを2つご紹介します。

とにかく端的に!枚数は2~3枚程度に収める

企業への志望度が高い人は、「なんとしても書類選考を通過したい!」「自分を知ってほしい」と思うあまり、すべての熱量を職務経歴書に注ぎ込んでしまいがちな傾向もあるようです。
しかし、あまりにボリュームのある職務経歴書は、忙しい採用担当者の負担になってしまうことも…。職務経歴書の枚数は、少なすぎず多すぎず、職歴の内容に応じて2~3枚程度に簡潔に収めるのがベストです。

採用担当者が知りたい情報をわかりやすく書く

職務経歴書を通して採用担当者が知りたいのは、応募者のスキルや経験が募集中のポジションにマッチするかどうかです。開発職の場合は、実績、参画したプロジェクトとその内容のほか、開発言語やデータベース、フレームワークなどのスキルをわかりやすく、簡潔に記載しましょう。

なお、外資系企業を志望する場合は、英文レジュメと呼ばれる英文の履歴書が職務経歴書の代わりになったり、日本語の職務経歴書と同時に提出を求められたりすることがあります。英文レジュメとは、日本の履歴書・職務経歴書がひとつになったもので、定型フォーマットはなく、アピールしたい内容にメリハリをつけて記載することが求められます。

エンジニアの職務経歴書の必須項目とは?

共通の様式がない職務経歴書は、履歴書のように項目が決まっていないため、自由に書くことができます。とはいえ、自分本位のレイアウトで書きたいことだけを詰め込むのはNGです。「採用担当者が知りたいことを書く」という原則に従って、情報を整理する必要があります。
エンジニアの職務経歴書に記載しておきたいのは、下記の項目です。

日付と氏名

職務経歴書の横に記載する日付は提出する日付を記入します。年数は西暦か和暦のどちらを選んでも構いませんが、職務経歴書全体で表記を統一することを忘れないようにしましょう。氏名は右詰めで記載し、姓名のあいだに空白を入れるなどして読みやすくします。

職務要約

職務要約欄には、これまでの職歴を短い文でわかりやすく記載します。職務経歴書の冒頭に書くものですので、採用担当者の目に止まりやすく、短時間で自身を理解してもらうために簡潔にまとめておくのがポイントです。

職務経歴

職務経歴欄には、参画したプロジェクトの概要や規模、担当してきたフェーズ、業務内容、開発環境、開発言語を具体的に記載します。携わってきた業界やマネジメント経験、特筆すべき実績・取り組みなども記載すると、より強みが伝わりやすいです。

業務内容

業務内容欄には、これまでに経験した仕事についてまとめます。書き方は、時系列に沿って経歴を記載する「編年体方式」、新しい経歴から順に記載する「逆編年体方式」、業務内容やプロジェクト単位で携わった職務の内容をまとめる「キャリア形式」があります。
これまでの経験全般に注目してほしい場合は編年体方式、スキルの習熟度や直近の実績をアピールしたい場合は逆編年体方式、専門性が高く特定の実績をアピールしたいならキャリア形式のように使い分けるといいでしょう。

テクニカルスキル

テクニカルスキルは、OS、言語、DBに大別し、具体的な年数と経験内容を記載します。独学で勉強中のスキルも、その旨を補足して記載することをおすすめします。OSは種類、言語とDBはバージョンも忘れずに記載を。

資格

資格欄には、応募する業種や職種と関連が深い資格を中心に、持っている資格を記載します。応募先企業の実務にほぼ無関係の資格や、趣味的な資格は書かないほうが無難です。

自己PR

自己PR欄には、自身がアピールしたい内容を、できれば具体的な数値や成果、過去の取り組みを引用して記載します。例えば、「技術向上に対する意欲」をアピールしたいなら、「エンジニア向けセミナーやイベントへの参加実績と学んだこと」「自社内で技術勉強会を主催していたこと」などをセットで書くのがポイントです。

今日から活用できる!エンジニアの職種別・職務経歴書サンプル

決まったパターンがなく、職種によって書き分けが必要な職務経歴書。レイアウトやスキルの整理の仕方に悩んだら、テンプレートを活用するのもおすすめです。
なお、職種ごとに職務経歴書の書き方には工夫が必要ですが、下記のサンプルを一例に、これまで携わってきたプロジェクトの規模・体制・担当領域のほか、OSや言語・機器などの環境面についても、できるだけ詳細に書くようにします。
また、文字の大きさや罫線、文章の配置など、ひと目でわかりやすい(読みたくなる)資料になるよう作成することも大切です。

[IT]アプリケーションエンジニア
[IT]インフラエンジニア
[IT]ヘルプデスク・サポート
[IT]WEBクリエイター
[機電]機械設計
[機電]回路設計
[機電]組込みソフト設計

こんな職務経歴書は困る!キャリアアドバイザーが遭遇した事例を紹介

ここからは、エンジニアに特化した人材サービスを展開するパーソルクロステクノロジーのキャリアアドバイザーが実際に遭遇した、困る職務経歴書をご紹介します。

「使える」レベルがわからない!

職務経歴書にテクニカルスキルを書くときは、正しくレベル感を伝えることが重要です。「スキルを持っている」ことだけでは、採用担当者が最も知りたい「どの程度の仕事を任せられるのか」がわからないからです。

よくあるのが、「Java」「Javaが使えます」といった単語や一文でのスキル表記。これだけでは、応募者の能力を正確に読み取ることはできません。プログラミング言語なら、「基本的なプログラミングが可能」「最適なコード記述で開発ができる」といった書き方が理想です。
ほかにも、「エンジンの開発に携わっていました」「エンジンの開発を担当」といった記述も、採用担当者にとっては言葉足らずです。エンジンの設計を担当していたのか、組立や改造・改修に携わっていたのかといった、担当領域によって採用判断は変わってきます。自分にとって当たり前のことも、読み手の立場に立ってわかりやすく、詳しく書くことを意識してください。

それ、「どんな」プロジェクト?

携わってきたプロジェクトが多いからといって、プロジェクト名と開発環境だけの羅列はやめましょう。

採用担当者にとって、少ない情報から業務内容を推測することは難しく、何よりも一人よがりの印象を与えかねません。プロジェクトの内容、規模、使用機種、言語のほか、自身の業務内容や役割、成果などしっかり詳細を書くことを心掛けることが重要です。自身がどのような技術を持っていて、関わったプロジェクトに対してどのような役割を担当したかといったことを表現できるようにします。

表組みなのに「わかりにくい」

文章だけでの説明が難しい場合、表組みにして記載する方法があります。しかし、持っているスキルと、そのレベルを数値化して表組みで見せるスキルマトリックスは、職務経歴書に使用するのは避けたほうが無難です。
社内の昇進・昇格などに際して、個々人が持つ能力を可視化して把握するためにスキルマトリックスは使われることがありますが、レベルの設定基準や比較対象がわからないと、固有のスキルや能力を正確に測ることができません。採用担当者は表を読み解くのに時間がかかるため、心象が悪くなる可能性もあります。

「あれもこれもやりたい」自己PR

自分の強みのほかに、「これから何をしたいのか」を表現できる自己PR欄ですが、ポテンシャルに重きを置いて採用する第二新卒を除いて、中途採用では「即戦力」がひとつの大きな判断基準です。そのため、職務経歴書では、業務に必要なスキルや経験がすでにあり、すぐに活躍できることをアピールすることが大切です。

「将来これをやりたい」と、まだ何も行動を起こしていないことを羅列するのではなく、「実現するために何を努力してきたのか」「そのために自分はこれから何ができるのか」という裏付けといっしょに自身をアピールするようにしましょう。自己PR欄には、応募先で役立つ経験・スキルを前面に出すこと、そして仕事への取り組み方や強み、自身の考え方などについてふれるようにしてください。

職務経歴書の書き方をマスターし、エンジニアとしてキャリアアップを目指そう!

エンジニアの職務経歴書で大切なのは、「自身はこれまでどのような経験があり、何ができるのかというスキル面」と、「仕事への向き合い方や将来の方向性をどのように考えているのかといった人間性」を、採用担当者にしっかりアピールすることです。

エンジニアに特化した人材サービスを提供するパーソルクロステクノロジーでは、専門知識豊富なキャリアアドバイザーが、エンジニアのキャリア形成と自己実現をサポートします。有名企業をはじめ、多様な技術が活かせる求人をご用意していますので、まずはお気軽にご登録ください。

図版とイラスト=☆まかりな☆

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