手紙~拝啓 これからエンジニアになる君へ~ ウエディングパーク・栗山茜

文系出身の女子大生が、新卒でエンジニアを志す。文系学生を採用して研修する企業は徐々に増えてはいるものの、そのハードルは決して低くありません。女性社員の割合が低いIT業界においては、なおさらです。「自分にはプログラミングの知識がないから、挑戦するのは怖い」と夢を諦めてしまう学生も多いのではないでしょうか。

しかし、約5年前に勇気を持ち、自らの道を切り拓いた女子大生がいました。株式会社ウエディングパークで、婚約・結婚指輪のクチコミサイト「Ringraph」のメインエンジニアとして活躍する栗山茜さんです。入社当時はプログラミングの知識や経験はなかったという彼女。どんな壁と立ち向かい、どのようにして乗り越えてきたのでしょうか。

愛嬌あふれる笑顔の裏に、栗山さんはエンジニア職への熱い想いを秘めていました。

エンジニアのつくったサービスが世界を変える。その光景に魅了されて

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私がエンジニアという職業に憧れを持ったのは、大学2年生のとき。当時はSNSやスマートフォンといった新たなサービスやツールが登場して、大きく社会が変わってきた頃でした。

どこの本屋に行っても、Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグの本がずらっと並んでいる。多くの人々がスマートフォンを持ち、友だちや家族とコミュニケーションを取っている。そんな光景を目の当たりにした私は感動しました。

エンジニアがつくったサービスが、こんなにも世界を動かせるなんて。

以来、世界の人々に使われるようなサービスを、自らの手で生み出せるエンジニアに憧れを持つように。大学3年生になって就職活動が始まると、IT系企業に勤める方々にOB/OG訪問をし、さまざまな人から話を聞きました。

いま勤めているウエディングパークと出会ったのもそのときです。女性エンジニアの先輩に会ったのですが、その方の、ものづくりに誇りを持って楽しそうに仕事の話をする様子が印象的で。こんなに生き生きと仕事ができるなんて素晴らしいと思って、入社したいと決意したのです。

「文系出身の女子大生が新卒でエンジニアとして入社する」というと、「色んな不安があったのでは?」と感じる方も多いかもしれません。でも私の場合、不安を感じることはありませんでした。ウエディングパークが、入社後の認識のギャップを少なくするために、多くの社員と話せる場を入社前に設けてくれたからです。

エンジニアとしての知識や経験が私にないことも承知の上で私の可能性を信じ採用してくれました。不安に感じることをすべて入社前に解消できたのは、非常によかったなと思います。

できないことばかりで悩む日々。支えてくれた、同期や先輩の温かさ

とはいえ、入社してからは苦労の連続でした。

入社前にエンジニアという職種について理解を深めてはいたものの、現実はなかなか上手く行きません。入社前までは、「ボタンを押したら次のページが表示される機能なんて簡単だろう」と思っていましたが、そんなはずもなく。コーディングにとても時間がかかったのを覚えています。

また、私がもう1つ苦労したことは「論理的思考」。プログラミングは、コードに書かれたものが上から順番に実行されていくため、どのように組み立てていくのか考えるのに必要不可欠なスキルです。

しかし、私は文系出身だったこともあり、それがすごく苦手でした。そこで当時メンターだった先輩から「まずは、やりたいことをテキストで書き並べてからプログラムに落とし込もう」というアドバイスをもらったんです。それから徐々に、どのように組み立てていけば良いのか頭の中で整理できるようになりました。

エンジニアは、1文字でも間違えたら機能しないプログラムを相手にする仕事。いかに繊細な作業の積み重ねなのか痛感する日々でした。しかし、そんなときでも仕事を苦に思ったことはありません。それは支えてくれる同期や先輩に恵まれていたから。彼ら彼女らから刺激を受けながら切磋琢磨できました。

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▲栗山さんは現在、業務でPHPをメインに使用している。また、業務外でも社内でLaravelのチーム対抗勉強会に参加したり、社外でGoのコミュニティを運営したりと、スキル向上のための取り組みを積極的にしているそうだ。

この経験を元に、読者の方へアドバイスしたいことがあります。

それは、一緒にスキルアップを目指す仲間を見つけること。初心者がいきなりエンジニアを志す場合、勉強し続けるモチベーションを保つことは難しいかもしれません。そんなときは、定期開催のイベントなどを探して、一緒に頑張れる仲間を探してみてはいかがでしょうか。

時に支え合い、時に競い合う。ともに切磋琢磨できる仲間がいると、非常に心強いと私自身の経験から思います。

私はいまでも、社内外の仲間と勉強会を開催・参加して、新しい技術のキャッチアップや工夫をするための情報交換をしています。そうした活動を通じ、よりエンジニアとしての経験を深めていく楽しさを感じているんです。

入社後、さまざまな壁にぶつかりながら働いていた私ですが、入社して約6か月後には自分が実装した機能を初めてリリースすることになります。当社が運営する結婚式場のクチコミ情報サイト「ウエディングパーク」にある、結婚式の余興・演出のクチコミを掲載しているページのリニューアルです。

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▲栗山さんが初のリリースを経験したという、「結婚式の余興・演出の口コミ」を掲載するページ。

私が実装したのはたくさんある機能の一部分。でも、「自分がやった」という実感が湧いたことをいまでもよく覚えています。入社当時はできないことが多かったからこそ、できることが1つずつ増えていくのがとても楽しく、やりがいに繋がりました。

いま、私は婚約・結婚指輪のクチコミサイト「Ringraph」というサービスを担当しています。サポートメンバーはいるものの担当エンジニアが自分ひとりとなり、責任感もより強まりました。頑張れば頑張るほどサイトが良くなっていくことにやりがいを感じていますし、つくった機能にはとても愛着が湧きます。

最初に実装した機能が思い出深いことも、つくっているサービスに愛着が湧いていることも、エンジニアだからこそ味わえる醍醐味なんです。

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▲現在、栗山さんが担当エンジニアとして携わっている婚約・結婚指輪のクチコミサイト「Ringraph」(https://ringraph.weddingpark.net/)。

大学時代の自分に伝えたい。人々が困っていることに目を向ける大切さ

エンジニアという仕事に対して、入社前といまとで大きく考え方が変わりました。いまは、事業としての目線を持ち、技術を目的ではなく手段として大切にすることがエンジニアには必要だと考えています。

大学時代は、コードを書いてプログラムを組み立て、サービスをリリースすることがエンジニアの仕事だと思っていました。でもサービスは、リリースしたからといって必ず使われるわけではないし、流行するわけでもない。世の中の人々に必要とされなければ、意味がないんです。

ときにエンジニアは、プログラミングに必要な知識や技術力を学ぶことに熱心になり、学ぶこと・つくる事自体が目的になってしまう場合があります。しかし、エンジニアにとってプログラミングとは、人々が必要としているものをつくり出すための一手段だと私は考えます。

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もし私が、大学時代の自分に会えるとしたら、こう伝えます。

「世の中にどんなものが必要とされているのか、目を向けてほしい」と。

多くの人に利用されるサービスをつくるには、人々がどんなことで困っているのか・欲しいと思っているのか理解する必要があります。もちろん、プログラミングの勉強も素晴らしいことです。でも、世の中の流れに敏感な大学生の時期こそ、もっと外に目を向けて欲しいのです。

社会の課題を解決できるサービスとは何か。そのために、どんな技術が必要なのか。世の中を見る目を養うことが、良いエンジニアになるために大切なのではないでしょうか。

これからエンジニアを志すあなたへ

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私は何のスキルもない状態からエンジニアのキャリアをスタートしましたが、この仕事を選んで本当によかったと思っています。それは私がものづくりが好きで、メンバーみんなで話し合いながら1つのサービスをつくり上げていく過程に心が躍るからです。

エンジニアという職業は、文系出身とか性別なんて関係ありません。ものづくりが好きで人と関わりながら何かをつくりあげることが好きな人にとっては、きっと刺激的なはず。不安になって思い留まるのではなく、ぜひチャレンジしてみてほしいです。そして、一緒にサービスをつくっていきたいと思える仲間を見つけてほしい。

エンジニアは本当に楽しい。私は、強くそう思います。

取材協力:株式会社ウエディングパーク

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