システムエンジニア(SE)に資格は必要?おすすめの資格を紹介

システムエンジニア(SE)は、システム開発のプロセスにおいて要となる工程を担い、最新のIT技術を駆使してクライアントの課題解決を牽引する重要な存在です。では、システムエンジニアには、何か資格が必要なのでしょうか。
本記事では、現役ITエンジニアの声をもとに、システムエンジニアが資格を取得するメリットや役立つ資格の種類のほか、資格取得のためのおすすめの勉強法について解説します。

現役システムエンジニアは資格取得についてどう思っている?

システムエンジニアは、未経験からチャレンジする人も多い職種です。独り立ちするにはそれなりの知見と経験が必要ですが、研修や実践を通じて少しずつ技術を身につけていけることから、求人の応募に際して必須資格が企業から条件として出されることはあまりありません。
システムエンジニアとして仕事をする上で、特に資格がなくても行えるものの、実務と関連する国家資格やベンダー資格は多数存在するため、キャリアアップやスキル向上のために「資格はあったほうが有利?」「取得するメリットはある?」と迷う人が多いのも事実です。

では、実際に現役のITエンジニアたちは、資格についてどのように感じているのでしょうか。ITエンジニアとして就業中の、25~59歳までの男女550人(295人のシステムエンジニア含む)にアンケートを実施しました。

■ITエンジニアの仕事に関する調査
調査方法:WEBアンケート形式で実施
調査対象:自身の職種をITエンジニア、またはIT・WEB系の開発や設計(システム開発・SE・ネットワーク・WEB・プログラマーなど)のいずれかを選択した全国の25~59歳の就業中の男女
有効回答数:550人
調査実施日:2022年9月16日~9月17日

Q. 現在の職種には、資格はあったほうがいいと思いますか?

エンジニア 資格 あったほうが良いか アンケート結果

ITエンジニア全体の回答結果では、「資格があったほうがいい」が6割を占める結果となりました。システムエンジニアのみの回答でも、資格はあったほうがいいという質問に対して、「はい」60.6%、「いいえ」が12.9%、「どちらでもない」が26.5%で、資格の取得をすすめる声が目立ちました。

採用の段階で企業側から求められる資格はなくても、就業中のシステムエンジニアにとっては、「資格取得に向けて勉強することで、偏りがちな業務の中で中央値的な技術を確認できる」という声もあるように、「資格は取得しているほうがいい」「あったほうが有利」と感じるシーンがあるようです。

システムエンジニアが資格を取得したほうがいい3つのメリット

前述のアンケート調査の結果を見ても、システムエンジニアが資格を取得することのメリットは、大きく下記の3つが考えられます。

スキルの証明につながる

技術職の難しさは、持っている知識や経験を第三者に示しにくいことにあります。システムエンジニアが業務を遂行するには、ITに関する広範な知識と高い技術力が必要ですが、「何ができるのか」を言語化するのは容易ではありません。システムエンジニアとしての経験年数や、携わってきた業務が似ているからといって、スキルレベルや知識量が同じだとは限らないからです。
その点、資格を持っているということは、資格を得るのに必要なスキルや条件をクリアしていることの証明であり、身についている力を客観的にアピールすることができます。

就職や転職に有利になることも

難度の高い国家資格やベンダー資格は、取得するまでに並々ならぬ努力が必要であり、保有していること自体が他者との差別化につながります。
学習意欲が高いこと、目的達成のために継続的に努力できることを評価する企業も少なくありません。

昇進や昇格、手当支給などの対象になりやすい

企業によっては、資格を資格手当制度や報奨金制度の支給対象にしています。特定の資格取得を昇進・昇格の条件にしている企業もあり、資格がキャリアアップの足がかりになることも珍しくないのです。

ほかにも、エンジニアに特化した人材サービスを提供するパーソルクロステクノロジーのように、就業中の登録者が指定資格を取得した場合、資格取得インセンティブを支払う資格支援制度を設けているケースもあります。

エンジニア資格インセンティブ制度 |IT・機電エンジニアの派遣求人ならパーソルクロステクノロジー

システムエンジニアにおすすめの資格とは?

システムエンジニアの仕事に関連する資格は、大きく「国家資格」と「ベンダー資格」に分けられます。

国家資格

国家資格は、国の法律にもとづいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格のことです。弁護士、公認会計士、司法書士のような業務独占資格(業務に携わる上で必須の資格)のほか、法律で指定された団体が業務知識や技能を評価する技能検定などがあります。
国が認定する資格なので、社会的な評価につながりやすいでしょう。主なITエンジニア向けの国家資格には、下記のようなものがあります。

・基本情報技術者試験/応用情報技術者試験

基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門ともいわれ、国家がIT人材の基礎として定めた能力を証明する試験です。応用情報技術者試験は、高度IT人材として活躍できるレベルの応用的知識や技能が問われます。

・システムアーキテクト試験

システムアーキテクトとは、設計や分析といった上流工程を担当する上級ITエンジニアのことです。開発スキルだけでなく、クライアントとの折衝に必要なプレゼン能力、コミュニケーション能力も求められるポジションであり、システムアーキテクト試験では選択式のほか、記述式も行われます。
合格率は2022年度まで平均15%程度と決して高くありませんが、上級ITエンジニアを目指すなら取得したい資格のひとつです。

・ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワーク全般を専門として、ITインフラやコンピューターネットワークの構築・保守・管理を担える知識を有していることを証明する試験です。
難度は高いですが、ネットワークエンジニアやインフラ系エンジニアを目指す人は、ネットワークに関する高度な知識と技能を有することの証明につながります。

・プロジェクトマネージャー試験

プロジェクトマネージャー試験は、プロジェクトの目的の実現に向け、プロジェクトマネジメントの業務と役割を円滑に遂行するための知識と実践能力があることを証明する試験です。システムエンジニアからプロジェクトリーダーを経験後、プロジェクトマネージャーとしてキャリアアップを目指す人は、資格取得によって適正をアピールすることができます。

ベンダー資格

ベンダー資格とは、IT関連のハードウェア・ソフトウェアを製造・販売するベンダー(企業)が実施する試験で得られる資格です。取得することで、当該製品の操作技術、保守方法などに関する知識や技能を一定以上保有していることの証明になります。おすすめのITエンジニア向けのベンダー資格には、下記の5つがあります。

・オラクルマスター(ORACLE MASTER)

オラクルマスターは、日本オラクルが運営する資格で、データベース管理システムの「Oracle Database」シリーズを扱う技術力を認定します。ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの4つのグレードが設定されており、シルバー以上は世界基準です。

・シスコ技術者認定

シスコ技術者認定は、アメリカのコンピューターネットワーク機器メーカー、シスコシステムズが認定する資格です。シスコシステムズの製品を扱うに足る知識とスキルはもちろん、ITエンジニアに必要な知識を全般的に有していることを証明するものです。

・Linux技術者認定試験

Linux技術者認定試験の正式名称はLinux Professional Institute Certificationで、「LPIC」とも呼ばれます。取得すると、オペレーティングシステム(OS)の一種であるLinuxの基礎が習得できていることや、クラウドシステムを構築する力などを証明できます。

・AWS認定資格

AWS認定資格は、クラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」に関する認定資格です。基礎・アソシエイト・プロフェッショナルの3つのレベルと11の専門に分けられた資格があり、中でもソリューションアーキテクト(アソシエイト/プロフェッショナル)は、AWS認定資格の代表格という位置付けとなっています。

・Microsoft Azure

Microsoft Azureは、クラウドサービス「Microsoft Azure」に関するマイクロソフトの認定資格(MCP:Microsoft Certifications Program)です。大きく初級・中級・上級のレベルに分けられ、それぞれソリューションアーキテクト向けやデータエンジニア向けといった、ロール別に資格が設定されています。

システムエンジニアが資格を取得するための勉強方法とは?

システムエンジニア 資格得 勉強方法

システムエンジニアとして働きながら資格を取得する場合、業務の合間を縫って勉強をする必要があります。そのため、勤務スタイルや仕事の状況を踏まえて、自分に合った勉強の仕方を選ぶことが大切です。
一般的な方法としては、独学のほか、スクールや通信講座の受講が考えられます。

独学の場合

通学にかかる時間と費用を省き、好きな時間に好きな場所で勉強できるのが独学のメリットです。自分に合った教材を選べたり、苦手なところを納得するまで学べたりするのも独学ならではの良さでしょう。
一方、自己管理ができる人でないと気が緩みやすく、モチベーションが維持しにくいことには注意が必要です。学ぶ領域が偏る、内容の理解につまずいたときの対処方法が限られるなどの懸念もあります。
実際、現役のシステムエンジニアからは、「独学だと気力が続かないから、どこかのサービスの力を借りるべき」との声も聞かれました。

スクールや通信講座の場合

充実したカリキュラムがあり、効率的に必要な知識を身につけられるのがスクールや通信講座の強みです。
スクールは、「わからないところをすぐに質問できる」「いっしょに学ぶ仲間ができる」など、対面学習ならではのライブ感も魅力のひとつ。ただし、スケジュールが決まっているため、ある程度現職の融通がきく人、休日などを学習にあてる意欲がある人でないと継続しにくいともいえます。
通信講座は、時間の制約を受けずに充実した教材で学べる反面、独学と同じようにモチベーションの維持が課題です。

先輩システムエンジニアが資格取得の秘訣を伝授!私のおすすめ勉強法

実際にシステムエンジニアとして就業中で、資格を取得した人、資格取得を目指したことのある人は、どのように勉強をしていたのでしょうか。おすすめの勉強法をご紹介します。

過去問題をひたすら解く

資格について基本的な知識を参考書で習得した後、「過去問題をひたすら解く」という回答が目立ちました。過去問題を解くことで、求められている知識のレベルや、質問の意図などを理解できれば、勉強の仕方も変わってくるようです。

<先輩システムエンジニアからのアドバイス>
「過去問を解く」(25歳・SE)ほか多数
「過去問は、穴埋めではなく自分で答えを書けるまで勉強することが重要」(54歳・SE)
「過去問を解いて、間違った分野を集中的に学習する」(56歳・SE)

ウェブサイトやアプリを活用する

最近は、知識の確認に役立つさまざまなウェブサイトやアプリが登場しています。「通勤時間や休憩時間などの隙間時間にスマートフォンやタブレットを活用すれば、記憶問題に向けた知識の定着に有効」という声が寄せられました。
また、スクールでも独学でもなく、「ウェブカンファレンスに参加して同じ目的を持った人たちと積極的に交流する」という方法で合格を勝ち取った先輩システムエンジニアもいます。一人ではくじけてしまいがちな資格の勉強も、意欲的に学ぶ仲間がいれば励まし合って続けられそうです。

<先輩システムエンジニアからのアドバイス>
「繰り返しテストできるサイトやアプリが、記憶問題には有効だと思う」(51歳・SE)
「Ping-tなどのWeb問題集やUdemyなどの講義が役に立つ」(53歳・SE)
「AWS、Azureなどの学習サイトや模擬試験サイトがあるため、これを利用すればファンダメンタルズ(基礎的)レベルの資格取得に役立つ」(47歳・SE)

ひたすら実務から学ぶ

最も多かったのが、「実務や実践で学ぶのが一番!」という声でした。自身の業務と関連付けながら、要点を覚えていく勉強スタイルがおすすめのようです。

<先輩システムエンジニアからのアドバイス>
「知識だけのペーパーエンジニアは使い物にならないから」(48歳・SE)
「実務が一番。資格本などで勉強してきた資格保有者で、さすがと思わせる人間にほとんど遭遇していない」(50歳・SE)
「基本的には実践から学ぶことのほうが多かった。体系的な学習だと、いざ問題に直面したときに役に立たない」(53歳・SE)
「実際にさわって、トラブルに遭い、それを自力で解決すること」(52歳・SE)

システムエンジニアとしてステップアップするなら、資格取得も検討しよう

システムエンジニアに資格は必須ではありませんが、有効な資格を持っていることは大きなアドバンテージになるようです。目指す分野を明確にした上で、役立つ資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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