テクノロジー

ローテクだからこそ実現した愛されキャラ!「たまごっち」の開発エッセンスに迫る![90年代特集1]

論理思考に裏打ちされたエンジニアならではアイディアや、ねじの接合や基盤の設計など日本製の技術力、そして育てた生き物が変身してゆく楽しみを味わう非現実性。

今回は、90年代に愛された玩具「たまごっち」の開発を紐解くことでエンジニアの魅力に迫っていきます。

たまごっちの開発者が語る成功方程式:マイナーメジャーの法則

1996年11月に発売され、その後爆発的な人気を誇ったキーチェーンゲーム「たまごっち」。その生みの親である株式会社ウィズの社長「横井昭裕」氏は、”ヒット作にはマイナーな要素が30%とメジャーの要素が70%必要”だという法則に従い、たまごっちを成功に導きました。

企画会議の数日前、熱帯魚を飼育するPCゲーム「アクアゾーン」が一部のファンの間で流行っていることを新聞記事で知った横井氏。「2〜3日間餌をやらないと死んでしまう」という、ゲームなのにリアルな時間で遊ぶ「アクアゾーン」のアイデアと、自らのペット飼育の体験を照らし合わせ、”たまごっち”の構想が生まれました。

ただ、マイナーブームであった「アクアゾーン」から得たアイデアだけではブレイクしないと考えた横井氏。そこにメジャーな要素として、80年代に人気絶頂だった液晶ゲーム機の「ゲームウォッチ」を採用。マイナーメジャーの法則に自らのペット飼育体験を掛け合わせ、液晶ゲーム機”たまごっち”の誕生につながったのです。

「マイナーメジャーの法則」。成功につながる発想に、ある法則性があるのもロジックに裏打ちされたエンジニアならではアイディアの傾向ではないでしょうか。

引用元:ブイネットジャパン/【第30回】伝説の大ヒットを生み出した理論派創業社長の感性と遊び心

ゲームウォッチ、ポケベル、たまごっち。90年代に人気のローテクアイテムに共通する「質へのこだわり」

自宅にある小さなドライバーで分解できるほど、簡単な作りの「たまごっち」。実際に分解してみると、「基盤」と「液晶」を本体で包み「ねじ」で止めただけの簡素な作りでした。

また、前述の”ゲームウォッチ”と、その当時ケータイ電話以前の通信アイテムとして人気を誇っていた”ポケベル”も、「基盤」と「液晶」をねじ止めしたシンプルな構造。


出典:はじめての日曜大工

そのため、分解も模倣も容易だった3つの大ヒット商品にそっくりな製品は大量に出現しました。ただ、そのような競争にも負けず、これらのアイテムが爆発的な人気を納められたのは、2つ理由があるように思われます。

一つは、国内エンジニアのこだわりに裏付けられた”質の高さ”。1990年代は現在とは異なり、クオリティに高さに目が向けられ、その質と比例して爆発的にものが売れる時代でした。

ねじの接合や基盤の設計・開発が丁寧に行われていた日本製のポケベルは、その質で米国製のポケベルを凌駕。現地では何度も分解され、「メイドインジャパン」の技術を盗もうとやっきになっていたそうです。

出典:世界標準は日本モデルだった:品質マネジメントシステムISO9000f:2000(井上博康/文芸社)

仮想的なものを仮想的に育てる!?開発エンジニアの想いは、テクノロジーを超えてユーザーのもとへ届く

もう一つの理由は、面白いものを作ろうという作り手であるエンジニアの想いです。たまごっちのヒットを受け、たまごっちの偽物は大量に出現しました。しかし、「仮想のペット」を「リアルの時間」で「飼育する面白さ」を届けるというコンセプトを体現していたのは、”たまごっち”だけ。

ユーザーを喜ばせようと作り手が悩み抜き、高いユーザビリティを実現できた「ローテクアイテム」だけが、人々の心を掴んだのです。

“たまごっち”という架空の生き物を育ての対象としていることによって、ポケットの中にある種のリアリティを獲得した当時の子どもたち。現実の生き物を仮想的に育てるよりも、仮想的な生き物を仮想的に育てる方がリアリティがあるという逆説的なアイディアで、当時の開発エンジニアはユーザー心理をうまくとらえました。

ローテクだからこそ実現した、エンジニアのハイクオリティな発想力

「マイナーメジャーの法則」というロジックに裏打ちされたアイディアにはじまり、ねじの接合や基盤の設計など日本製の精緻な技術力、そして生き物を育てることを楽しむというリアリティ。今回は、そんな「たまごっち」を例にエンジニアならではの開発エッセンスを垣間見ることができました。

シンプルなローテクとハイクオリティなアイディアを掛け合わせた玩具に焦点を当てると、このようにエンジニアの技と知恵の結集が非常に顕著に見られるのですね。

出典:
株式会社ウィズ
wikipedia

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