【キニレポ!】 エンジニアの上司はどうあるべきなのか?~「ボスカイ」レポート~

※この「キニレポ!」は、“気になるテック系イベント”に参加して、ざっくり概要をまとめてレポートしていく企画です。



こんにちは、レポーターのマサです。

皆さんはご自身の「ボス」とも呼ぶべき上司と、どのような関係にあるでしょうか。
上司を尊敬していますか?
関係は良好ですか?

あまり有名ではありませんが、毎年10月16日は「ボスの日」なのだそうです。

「ボスの日」というのは、もともとアメリカのパトリシア・ベイ・ハロキスさんが、会社を経営していた父の為に1958年に提唱したもので、経営者と部下の関係を円滑にするための日

この日になるとアメリカでは、ボスに感謝の気持ちをカードに書いて伝えたり、昼食に招待したりプレゼントを贈ったりしているのだとか。


恵比寿で行われた「ボスカイ」に潜入

日本ではあまり耳にしない「ボスの日」ですが、恵比寿で「ボスカイ」なるイベントがあるという情報をキャッチしたので、マサが潜入してまいりました。テック系のイベントではないのですが、「ボス」はどの業種でもいますから、何かが得られるのではないかと思います。

恵比寿駅にほど近い、オシャレな広いお店に集まったのは40名ほどのボス。色んな企業の経営者役員役職者の皆さんとのことでした。


このイベントの主催をしていたのは経営者JPという、エグゼクティブサーチや経営人材のコンサルティングを行っている会社。名前の通り、ボスの皆さまにとっては有名な会社なのでしょうね。

当日は7月に同社が立ち上げた「KEIEISHA TERRACE」という会員制コミュニティのオープン記念イベントということでした。

さて、“エンジニアのボス”はどんな存在であるべきなのでしょうか。
そして、ボスでない方は自分がボスになる時にどんな存在になるべきなのでしょうか。

そういったことを探るべく、この「ボスカイ」にてじっくりと話を聴くことにしました。


まずは経営者JPのシンクタンク部門でもある“経営者JP総研”が、経営層や管理職の人たちに行ったアンケートの結果が発表されていました。

世の中のボスは、いったい何を思うのでしょうか。


これまでの人生で、あなたが最も尊敬しているボスは?

まず結果が発表されたのは、
「これまでの人生で、あなたが最も尊敬しているボスは?」という質問。

実在する人物の中で最も多かった回答は、
なんと“過去一緒に働いた社長・上司”でした。

皆さん素晴らしい上司や社長のもとで働いていらっしゃるんですね。
でも、なんで尊敬するようになったのでしょうか? 尊敬されるボスって、何が違うんでしょうか?

その辺りの理由について、「ボスカイ」のイベント企画を担当された経営者JPの藤田桂子さんに聞いてみました。

マサ 藤田さん、よろしくお願いします。

藤田さん 本日は「ボスカイ」にお越しくださりありがとうございます。


経営者JPの藤田桂子さん


マサ 今のアンケート結果、見たんですけども。

藤田さん 「これまでの人生で、あなたが最も尊敬しているボス」ですよね。

マサ “過去一緒に働いた社長・上司”が一番多かったみたいですが、なんで尊敬するようになったのか、もう少し詳しい回答って教えてもらえませんか?

藤田さん ええ、いいですよ。アンケート結果によると、一緒に働いた社長・上司を尊敬するようになった理由として次のような回答が書かれていました。

・オンとオフの切り分けができている
・合理的な判断ができる
・コミュニケーション能力が長けている
・社内外問わず信頼関係を築いていた
・社員を公平にみている
・ブレない
・メンバーの特性をもったマネジメントをしている
・厳しい状況でも人間的に素晴らしかった


マサ なるほど!分かるわ~。これ、個人的には「メンバーの特性をもったマネジメントをしている」ボスは特に尊敬しますね。今どきの若手エンジニアはタイプが様々ですから、ワンパターンなマネジメントでは合わなくなってきてますからね。

藤田さん 仰る通りですね。

マサ 藤田さん、ありがとうございました。

藤田さん いえ、引き続きボスカイをお楽しみください。


ボスの皆さん、ご自身と照らし合わせていかがでしょうか?
こんな風に言われるような人間になりたいものですよねぇ。

さて、続いて「尊敬するボス」として多く挙がった人物が、次の皆さまです。

・京セラ創業者の稲盛和夫氏
・リクルート創業者の江副浩正氏
・パナソニック創業者の松下幸之助

こちらは実際に一緒に働いたというよりも、書籍やメディアなどで発言を見聞きして感銘を受けたのでしょうね。それぞれ次のような名言を残してらっしゃいますので、この結果も納得です。

「バカな奴は単純なことを複雑に考える。普通の奴は複雑なことを複雑に考える。
賢い奴は複雑なことを単純に考える」
/ 稲盛和夫氏

「マネージャーに要求される仕事には、際限がない。より高い効果を上げるマネージャーは、要求されている様々な仕事のうち、一番大事なことから手がける。仕事を受付順に進めるような人は、優れたマネージャーとは言えない。」 / 江副浩正氏

「人と比較をして劣っているといっても、決して恥ずることではない。
けれども、去年の自分と今年の自分とを比較して、もしも今年が劣っているとしたら、それこそ恥ずべきことである。」
/ 松下幸之助


いかがでしょう。思わず背筋が伸びてしまいますね。


歴史上の人物、架空人物の中で理想・憧れとするボスは?

続いての質問は、「歴史上の人物や架空人物の中での理想のボスは?」というもの。
経営者でもないし現存もしない人が理想のボスになるのかな?と思いましたが、下記のような回答が多かったようです。

・ピ―ター・ドラッカー
・坂本龍馬
・織田信長

なるほど。確かに経営者ではありませんが、ボスとして大切な姿や言葉を残している人たちばかり。素晴らしい姿勢や言動などは経営者でなくても語り継がれていくものなのでしょうね。

他にも、次のような少数意見があったようです。

スラムダンク 安西先生

バスケットボール漫画の名作「スラムダンク」のバスケ部顧問ですね。
安西先生はまさに数々の名言を残されていらっしゃいます。
下記のような動画もあるほど。




攻殻機動隊 草薙素子

こちらも人気のSFアニメ作品。草薙素子は女性型サイボーグで、テロリストに対峙するために組織された機関に所属するリーダー的存在です。割と強引な性格なのですが、有名なセリフに次のようなものがあります。

「貴様、いい腕をしているな!今から私の部下になれ!!」 (S.A.C. 2nd GIGより)



Amazonより


これはサイトーを倒した際にスカウトした時のセリフです。強引で有無を言わせぬ勧誘の仕方ですが、こういった強烈なリーダーシップが憧れの対象になっているのかも知れません。


島耕作

もはや説明の必要はありませんね。講談社の「モーニング」にて連載されていた漫画「課長・島耕作」です。シリーズ作品として部長・取締役・常務・専務・社長・会長・ヤング・係長・学生まであり、累計発行部数は約4,000万部に達するとか。


Amazonより


ここで名前が挙がった島耕作が、課長を指しているのか部長を指しているのかは定かではありませんが、ガンガン出世しているわけですから理想の上司として名前が挙がりやすいのも頷けます。


上司に必要な要素は何なのか?

さて、続いては少しブラックな内容ですが、「尊敬できなかったボス、その理由は?」という質問の回答です。ボスとして活躍する皆さんが出会った、「こんなボスは尊敬できない!」という人はどんな人なのでしょうか。

回答をまとめると次の3つが最も多かったようです。


理由も読んでいくと結構ドキッとすることが書いてありますよね。
「命令が二転三転する」とか「自分第一」とか「自己防衛」とか……。

これ、逆に考えると“目指すべき上司像”が浮かび上がってきます。

つまり、「常に冷静」「部下のために何ができるか」を考えて他己的な人。
そして「何かあれば責任を取る!」と自責の考え方である、ということですね。


さらに、その考えを補強するかのように続いての質問は「ボスに必要な要素とはなにか?」というもの。

この質問への回答は、下記の通りになったようです。


「ビジョン、ミッションを持つ」が一番多くて83.0%、
「信頼関係の構築」が次に多くて57.4%、
「傾聴する力」が51.1%。

この上位3つは、いずれも「支援者型リーダー」と呼ばれるそうです。
支援者型リーダーも含め、他にどのようなリーダーのタイプがあるかというと、次の通り。

変革者型
組織の方向性を示し、大胆に組織改編を行い競争や学習を促すことで組織変革する

調整者型
協調や一体感を促すことで組織を牽引

支援者型
個人を支援してメンバーの能力を引き出す

トップダウン型
中央集権的に権力で組織を率いる


ちなみに、現在リーダーの方に「ご自身のリーダーシップスタイルは何に当てはまりますか?」と伺ったところ、「変革者型」との回答が最も多かったようです。

今後のリーダーシップスタイルは強烈なトップダウンではなく、変革者型でもなく、部下の活動を支援する「支援者型」へと徐々にシフトしていくのかも知れませんね。

このアンケート結果は経営者JPのサイトからもご確認いただけますので、詳しくはそちらからどうぞ。

リーダーシップとは何か、ミッション・ビジョンとは何か

さて、先ほども出てきた「ビジョン・ミッション」や「リーダーシップ」とは、そもそも何なのでしょうか。ボス会の最後にはゲストも登場し、この辺りのことについて語るトークセッションもありました。

トークセッションに登場したのゲストは、こちらのお二方です。


組織のリーダーシップや「ボス」に対して造詣の深いお二方ですが、お話しの中で印象的だった部分を抜粋してご紹介いたしましょう。


小杉俊哉氏

マネジメントとリーダーシップの使い分けをしていない人が多いですね。役職者はやるべきことが多いし忙しいし大変なのですが、使い分けはすべきです。

具体的な使い分けとしては、役割を進めるのが「マネージャー」で、何かをはじめようとしたり、やり方を変えようとしたりするのが「リーダー」です。新しいことをするには役職では動けないことが多々あります。

実際、経営学者として有名なピーター・ドラッカーもマネージャーは「HOW」が課題だと言っています。「どのようにやるか」ですね。そして、リーダーは「What」が課題だと言っています。これは「何をやるか」ですよね。

さらにドラッカーは、次のようにも言っています。
Management is doing things right; leadership is doing the right things.
これはつまり、「マネジメントとは物事を正しく行うことであり、リーダーシップとは正しい事を行うことである。」ということを言っているわけです。



ドラッカーのリーダー論を語る小杉俊哉氏


池田貴将氏

「リーダーシップがいつ必要になるのかと言えば、慣れ親しんだところから出ようとするとき。つまり変わらなきゃいけないときです。ではなぜ変わらなきゃいけないのか?という問いに答えるのが、先ほども出ていた「ビジョン・ミッション」です。

ですから、経営者の皆さんには「何に挑みたいんですか?」「何で諦めないんですか?」と問いたいです。どんな状況になっても諦めない理由があったら、それが「ミッション・ビジョン」ではないでしょうか。

吉田松陰はこれを「やむにやまれぬ思い」と表現していました。
これはつまり、「やめようと思ってもやめられない思い」です。

ぜひ、ボスの皆さんにはご自身の「やめようと思ってもやめられない思い」をしっかりと見つけて欲しいものですね。



吉田松陰の言葉を引用する池田氏


ということで、「ボスの日」にボスのことをじっくりと考える濃いイベントに参加させていただきました。

尊敬できる上司の下で仕事をするのは理想ではありますが、現状が仮にそうでなかったとしても、グチグチと文句を言いながら過ごすのはあまり良いことではないかもしれません。

それよりも、「自分だったらこうする」「自分だったらこんなボスになろう」と思いながら、いつかボスになる日に向けて前向きに考えるほうが、良い時間の過ごし方なのでしょう。マサはそんな風に感じましたね。


私たちエンジニアも上司も同じ人間ですし、同じ職場になったのも何かの縁。一緒に支援しあいながら仕事を頑張っていけるといいですね。


取材協力:KEIEISHA TERRACE
取材+文:プラスドライブ

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