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コラム

2024.04.26

データエンジニアとは?仕事内容やスキル、資格、やりがいまで幅広く解説!

情報化が進む今日では、ビッグデータの活用が求められています。多くの企業では、経営課題の発見やマーケティング等を行っています。データ活用の需要の増加とともに、データ活用の基盤を作るデータエンジニアの需要も増加しており、興味が湧いている方もいらっしゃるでしょう 。
一方で、

  • どのような仕事内容なのか
  • どのようなスキルが求められるのか
  • 他の職種と何が違うのか
など、さまざまな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、データエンジニアについて、仕事内容や将来性、やめとけと言われる理由、キャリアパスまで幅広くご紹介します。

監修:大畑 健一(おおはた けんいち)

パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。

データエンジニアとは?

データエンジニアとはどのような職種なのか解説します。
データエンジニアは、データ活用の基盤を作るエンジニアであり、データの収集や整理、管理を行います。データ活用を前提にデータを整理し、情報基盤を構築・運用します。
情報化が進んだ現代では、ビッグデータを活用してビジネスを行っていく必要があります。そこで、データエンジニアがデータの収集や整理、管理を行うことで、データの分析や活用を手助けします。

データエンジニアの年収は534.6万円です。厚生労働省によると、エンジニアの平均年収は約530万円であるためほぼ同水準です。経験やスキルによって変わるため、1000万円以上の高年収を目指せる職種です。

【関連記事】
■データエンジニアの年収についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
データエンジニアの年収は?将来性や他職種との違い、必要なスキルを解説

他のエンジニアとの違い

次に、データエンジニアに類似するIT関連の職種との違いについて解説します。

データサイエンティストとの違い

データエンジニアと似た職業にデータサイエンティストがあります。
データサイエンティストは、新たな商品やサービスを生み出したり、業務プロセスを革新するためにデータを分析します。データエンジニアは、データサイエンティストがこれらの業務を行うために、データの収集や整理、管理、情報基盤の構築や運用を行います。

データベースエンジニアとの違い

もう一つ似た職種に、データベースエンジニアがあります。
データベースエンジニアとデータエンジニアは、どちらもデータベースを構築し、管理しますが、担当する領域に少し違いがあります。データエンジニアはデータ分析用のデータ基盤構築に特化し、分析に必要な大量のデータを収集し、管理します。
一方、データベースエンジニアは社内データベース全体を管理し、基幹システムなど機密性の高いデータに対応します。

AIエンジニアとの違い

AIエンジニアは人工知能(AI)システムの研究や開発を行います。
主な仕事は、機械学習モデルの設計、開発、トレーニング、評価、および展開です。AIエンジニアは、音声認識、画像認識、自然言語処理、ロボット工学などのAI技術を活用して問題を解決します。 データエンジニアは教師データの作成に関わることがありますが、研究や開発までは行いません。教師データについては後ほど解説します。

データエンジニアの仕事内容

データエンジニアの業務内容を詳しく解説します。大きく以下の3つに分類できます。

  • 整理・加工
  • 設計・構築
  • 教師データ作成

整理・加工

まずは、データを分析できるように整理・加工する業務です。
データには欠損していたり、重複、表記の揺れなどがあり、そのままでは利用できないことが多いため、これらを統一する作業が必要です。
具体的には以下の作業を行います。

  • データフォーマットの統一
  • 欠損値・異常値の検出と補正
  • 重複データの紐づけと削除
また、データを整理・加工したりするためのプログラムを作成することもあります。

設計・構築

次に、データを収集、蓄積して利用できるような情報基盤を設計し構築する業務です。情報インフラを構築し、膨大なデータをデータベース化し、データサイエンティストや分析者が効率的にデータを取得できるようにします。
基盤を設計・構築した後には、以下の業務を行います。

  • エラーへの監視・対処
  • 運用業務
  • 分析環境の改善

教師データ作成

人工知能(AI)開発における教師データの作成する業務もあります。AIの学習には教師データが欠かせず、それを作成する作業が必要です。
教師データとは、機械学習に利用されるデータであり、「教師あり学習」のモデル構築に用いられます。入力データに対する正解が与えられたデータであり、機械学習モデルはこれを学習し、未知のデータに対して予測を行います。教師データの質と量は機械学習の精度に影響し、精度向上のためには質の高い教師データが重要になります。

具体的には以下の業務があります。

  • 教師データの整理・加工
  • プログラム開発
  • AIの運用結果を用いた教師データの更新

データエンジニアの将来性

データエンジニアの将来性や需要は高いといえます。理由は主に以下の2つです。

  • 市場の拡大
  • 人手不足

市場の拡大

今日では、情報化が進みビッグデータが蓄積され、利用・活用されるようになっています。ビッグデータを活用することで、新たなビジネスの創造や経営課題の発見もできるようになります。
また、AIも様々な場面で応用が進んでいます。その実用化のためには大量のデータが必要となります。このような膨大なデータを扱うのがデータエンジニアであるため、その需要は高くなっています。
【参考文献】「ビッグデータ 市場 サイズ:2030 年の傾向と見通しの評価」LinkedIn

人手不足

データサイエンスの需要拡大に伴って、データサイエンティストやデータエンジニアの不足が深刻化しています。特にAIやIoT分野は、専門性や技術の高さが求められるため人手不足が顕著になってきています。
また、これらの人材の育成には時間がかかります。このような背景から需要が高く、このような傾向は今後も続くため、将来性は高いといえます。

向いている人の特徴3選

データエンジニアに適性がある人の特徴をご紹介します。以下の3つです。

  • 集中力が高い
  • 裏方の仕事が好き
  • 学習意欲が高い

集中力が高い

データエンジニアは、データの整理・加工が主な業務内容であるため、長時間パソコンを使用します。そのため、作業に打ち込み続けられる高い集中力が必要になります。
また、重複データの削除などの地道な作業が多くなります。地道な作業でも粘り強く集中して対応できる人が向いているといえます。

裏方の仕事が好き

裏方の仕事が好きであるという点も重要になります。
データエンジニアは、データサイエンティストなどがデータを活用しやすいようにデータを整理したり、そのためのインフラやシステムを構築する業務がメインです。つまり、意思決定のサポート役となることが好きな方には向いていると言えます。

学習意欲が高い

向上心があり、学習意欲が高い方も向いています。データエンジニアは、常に業務に関する情報をアップデートする必要があります。特に最近では、クラウドサービスの普及に対応するため、クラウドに関する知識を取り入れる必要があります。
最新の技術を使用しながらより効率良く業務を行う必要があります。

やめとけと言われる理由

インターネット上には、「データエンジニアはやめとけ、きつい」といった声が見受けられますが、なぜそう言われているのでしょうか。理由は以下の三つです。

  • 技術の進化が急速である
  • やりがいを感じない仕事もある
  • エラーへの対処

技術の進化が急速である

データエンジニアに求められる技術の進化のスピードは速く、日々進歩しています。少し前に使われていた方法がもう使われていないこともあります。そのため、常に情報をアップデートする必要があります。
データエンジニアの仕事自体が好きでないと、つらいと思うでしょう。

やりがいを感じない仕事もある

やりがいを感じない仕事があることも挙げられます。クライアントからの要望に応じて業務を進めることが多く、やりがいを感じずにつまらないと思うこともあるでしょう。
要求に応じてシステムを構築することは、単調であり、黙々と遂行することに対して興味を持たない場合があるでしょう。

エラーへの対処

エラー原因の調査と解決作業も、つらいと言われる理由の一つです。
開発環境では問題なく動作していたスクリプトでも、本番環境ではうまく機能しないことなどのトラブルが往々にして発生します。このような予期せぬトラブルに直面し、その原因を特定して解消しなければならないことは、エンジニアにとって厳しい課題となります。

データエンジニアのやりがい

きつい側面がある中で、データエンジニアとして働くことにやりがいはあるのでしょうか。以下の2つが挙げられます。

  • 意思決定に使われていることを実感できる
  • 新しいクラウドサービスを活用できる

意思決定に使われていることを実感できる

データエンジニアのやりがいは、自分の作業が実際の意思決定やビジネス戦略に活用されていることを実感できる点にあります。
データエンジニアは大量のデータを収集し、整理・加工して有益な情報に変える役割を担っています。この情報が経営者などの意思決定者に活用され、ビジネス上の重要な意思決定の際に、自分の貢献が具体的に実感できることは大きなやりがいになります。

新しいクラウドサービスを活用できる

データエンジニアのやりがいのもう一つは、新しいクラウドサービスやテクノロジーを学び、それを実際のビジネスや社会に活用する経験ができることです。

データエンジニアは常に最新のクラウドサービスやデータ処理ツールについて勉強します。 学んだ新しいクラウドサービスを導入して、企業や組織のデータ基盤を構築してデータ処理の効率性や信頼性を向上させることができます。自分の手で新しい技術を適用し、社会的な価値を生み出すことができる点は、非常にやりがいを感じられるでしょう。
また、クラウドサービスの活用によって、競争力やイノベーション力を高めることができるため、その貢献が具体的に見えることは大きなやりがいとなります。

未経験からデータエンジニアになる方法

データエンジニアに必要なスキルを見て、未経験では厳しいと感じた人もいるかもしれませんが、データエンジニアは未経験からでも十分目指せる職業です。
未経験から目指せるとは言っても、完全に未経験の状態で就職・転職することは難しいため、必要なスキルを身につけてから、自分に合った会社を探す必要があります。

必要なスキルを身につける

データエンジニアには、プログラミングやデータ処理などのスキルが求められます。そのため資格の取得などを通じて、スキルを身につける必要があります。必要なスキルや資格は上記の通りです。
学習方法は、主に以下の3つがあります。

  • 独学
  • プログラミングスクールへの参加
  • SNSの活用
それぞれにメリットデメリット、向き不向きが存在するので、自分に合った方法を見つけましょう。

求人を探す

最後に求人を探しましょう。経験者のみを募集対象としている企業も多いですが、人手不足や新たな視点を取り入れを図るために未経験者を積極的に採用する企業もあります。
主な会社選びのポイントは、以下の3つです。

  • 継続的に研修を受けられるか
  • 資格取得を支援してくれるか
  • 社風や労働環境は適切か
自分自身の成長やキャリアアップを目指せる会社を選びましょう。

データエンジニアに必要なスキル

データエンジニアにはどのようなスキルが求められるのか解説します。主に以下の5つです。

  • プログラミングスキル
  • データベースに関するスキル
  • データ分析のスキル
  • 分散処理に関するスキル
  • インフラやクラウドに関するスキル

プログラミングスキル

データエンジニアは、データを整理・加工したりするためのプログラムを作成することもあるため、基本的なプログラミングスキルが必要です。主に以下の4つです。

  • Python
  • R言語
  • Java
  • Scala
これらの言語はデータ処理と分析に広く活用されており、データパイプラインの設計やデータベースの操作、データ処理の自動化などに欠かせません。

データベースに関するスキル

データエンジニアは、多種多様な種類のデータをサーバーに格納し、目的に応じて抽出・分析するために、データベースの設計、管理、最適化に関するスキルが求められます。具体的には以下の4つの知識が挙げられます。

  • SQLなどのデータベース言語への知識
  • NoSQLデータベース(MongoDB、Cassandraなど)の知識
  • データウェアハウスに関する知識
  • データベースを扱うスキル(Oracle Database、MySQLなど)

データ分析のスキル

データエンジニアは、データ分析の基盤を作る役割を担い、データの探索、クレンジング、事前処理などを行う能力が求められます。
データの品質を保証し、統計学の基礎知識を活用して分析の正確性と信頼性を高めます。また、データ分析や機械学習に関する基礎知識を持つことで、他の職種の人たちとの意思疎通がしやすく、仕事をスムーズに運ぶことができます。

分散処理に関するスキル

データエンジニアには、分散処理に関するスキルが求められます。分散処理とは、複数のコンピュータで大量のデータを分けて処理することで、処理時間を短縮し、業務を効率的に進めることです。
この分散処理を行うためのフレームワークとして、HadoopとSparkがあります。Hadoopは安定した処理を可能にし、Sparkはリアルタイム処理に適しています。データエンジニアは、両者を適切に使い分けることが求められます。

インフラやクラウドに関するスキル

データエンジニアが担うデータ分析の基盤構築には、社内のITインフラだけでなく、クラウドサービスも利用されます。この基盤構築には、ネットワークやクラウド上での仮想環境構築、サーバーやネットワークの設計・構築・運用に関する知識が必要です。
具体的には、以下の知識が求められます。

  • クラウドサービスの知識(AWSやGoogle Cloud Platformなど)
  • データストレージ
  • セキュリティ設定
  • 計算リソースの管理
また、データエンジニアはインフラ構築を通じて他のエンジニアと差別化を図ることもできます。インフラの構築は基本的にはインフラエンジニアの仕事であるため、差をつけることができます。

データエンジニアにおすすめな資格

データエンジニアは、資格を持っていないとなれない職業ではありませんが、取得することで自分が持つスキルを証明できます。そのため、就職や転職を有利に進めることができます。おすすめな資格は以下の5つです。

  • 応用情報技術者
  • データベーススペシャリスト試験
  • AWS認定データアナリティクス-専門知識
  • 統計検定
  • Professional Data Engineer(Google Cloud認定資格)

応用情報技術者

応用情報技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が行う、ITエンジニアとして応用的な知識・技能を持っていることを証明する国家試験です。応用情報技術試験では、「ITを活用した戦略立案」、「信頼性と生産性の高いシステムの構築」を自力で行える力があるかどうかが問われます。この試験は、基本情報技術者試験よりも難易度が高く、合格率は約20%です。
基本情報技術者試験にはない記述式の問題も出題されます。応用情報技術者はバックエンドエンジニアの業務領域に特化した資格ではありませんが、資格を取得することで幅広い知識を持った高レベルのエンジニアと判断されるでしょう。

データベーススペシャリスト

データベーススペシャリスト試験は、IPAが主催する国家試験で、データベースの企画・開発・保守運用からマネジメントや経営戦略まで幅広い知識と実践的なスキルが求められます。データベースシステムでは、企画・要件定義・開発・運用・保守、データモデルや情報セキュリティなどの知識、SQLの知識が問われます。
基本情報処理技術者試験や応用情報処理技術者試験よりも難易度が高く、合格率は10%程度です。

AWS認定データアナリティクス-専門知識

AWS認定データアナリティクス-専門知識は、Amazon Web Services上でのデータ分析能力を評価する資格試験で、以前は「AWS認定ビッグデータ-専門知識」と呼ばれていました。
試験ではAWSにおけるデータ収集・格納、分析・可視化、セキュリティに関するスキルが問われます。データ分析の実務経験やAWSの実務経験が推奨されています。

統計検定

統計検定は日本統計学会と統計質保証推進協会が主催し、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一の資格試験です。
ビジネスパーソンに客観的な判断力や科学的な問題解決能力を身につけさせることを目的としており、データエンジニアにとっても有益な資格です。試験は4級から1級までの5段階に分かれており、3級は高校で習う「データの分析」に相当する内容であるため、データエンジニアであれば2級以上の取得を目指しましょう。

Professional Data Engineer(Google Cloud認定資格)

Professional Data Engineer 認定資格は、Google社が提供するGCP上でのデータ処理システムと機械学習モデルの構築能力を評価する資格試験です。
幅広い分野からの問題が出題され、データ処理システムの設計や機械学習モデルの運用などが含まれます。試験は英語やでの受験やリモート受験も可能であり、3年以上の実務経験や1年以上のGoogle Cloudの設計・管理経験が推奨されます。

AWS認定データアナリティクス-専門知識

AWS認定データアナリティクス-専門知識は、Amazon Web Services上でのデータ分析能力を評価する資格試験で、以前は「AWS認定ビッグデータ-専門知識」と呼ばれていました。
試験ではAWSにおけるデータ収集・格納、分析・可視化、セキュリティに関するスキルが問われます。データ分析の実務経験やAWSの実務経験が推奨されています。

キャリアパス

データエンジニアのキャリアパスをいくつかご紹介します。

  • AIエンジニア
  • データサイエンティスト
  • プロジェクトマネージャー

AIエンジニア

AIエンジニアは、AIシステムの研究と開発に携わる専門家です。AIエンジニアは、機械学習におけるサービスの設計や開発、分析、運用から保守まで担当します。
AIシステムの開発において、データエンジニアは教師データの作成に関わることがあります。そのため、教師データの管理や加工方法の設計などのスキルを活かすことができます。

データサイエンティスト

データエンジニアとしてのスキルを活かし、分析やモデリングなどの業務に携わることで、データサイエンティストに転身することも可能です。
データサイエンティストは、新たな商品やサービスを生み出したり、業務プロセスを革新するためにデータを分析します。
データサイエンティストは、データエンジニアが整理・加工したデータを分析することもあるため、データエンジニアとしての経験を活かすことができます。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、業務全体の監督役であり、プロジェクトの主要な責任者です。プロジェクト全体の計画を策定し、人員配置や予算、進捗管理を行います。
データエンジニアはシステム開発の初期段階を担当しているため、プロジェクトの計画や提案などの管理業務に携わっていれば、将来的にプロジェクトマネージャーのポジションに挑戦することも可能です。

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まとめ

本記事では、データエンジニアの仕事内容や年収、将来性、必要なスキル・資格などについて詳しく解説しました。
データエンジニアは、データ活用の基盤を作るエンジニアであり、データの収集や整理、管理を行います。データ活用を前提にデータを整理し、情報基盤を構築・運用します。
ビックデータの活用が求められる今日では、データエンジニアは需要が高く、未経験から目指せるおすすめの職業です。データエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。

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