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コラム

2023.12.11

SIer(システム インテグレーター)とは?仕事内容や分類、将来性を解説

Sier(システムインテグレーター)という単語を知っているでしょうか。誰しもが一度は聞いたことある名称かもしれません。 IT関連の仕事をしたい場合、SIerの役割や仕事内容、SEやSESとの違いを明確に理解することは、かなり重要になってきます。

本記事では、SIerの役割とは何か、どのような業務を行うのか、さらに、SEやSESとの違いも比較しながら詳しく解説します。

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監修:大畑 健一(おおはた けんいち)

パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。

SIer(システム インテグレーター)とは?

SIer(システム インテグレーター)とは、System Integration (システムインテグレーション) の略称のSIに「~する人」の意味の「er」を合わせた言葉で、情報技術を活用したシステムの開発、導入、保守などの業務を行う企業のことです。そもそもSIとは、システムの導入に関して最初から最後までを請け負うサービスを指します。これらの業界のことをSI業界といい、IT業界のなかの一部です。

SIer(システム インテグレーター)の歴史

SIerの発祥は1987年にまで遡ります。 当時の通商産業省によって創設された「システムインテグレーション認定制度」により認知されたのがその始まりです。 業務の情報化(IT化)に関するノウハウを持たない企業などが、安心して情報化投資を行うことができるように環境整備を行う必要があったのです。システムインテグレーターが登場する前は、クライアントの情報システム部門が主導してシステム開発を指揮していました。1990年代、これを外部のシステムインテグレーターにアウトソーシングする流れが起きたのです。
このような流れから様々なSIerが誕生し、現在につながっています。

SESとSIerの違いとは

SIerとよく一緒に用いられるワードでSESも聞いたことがあるかもしれません。ここでは、これらの違いについて解説します。

SESの特徴

SESとはシステムエンジニアリングサービスの略称で、クライアント企業にインフラ環境の構築やソフトウェア・システム開発の技術を提供する企業のことを指します。 このサービスを使えば、即戦力となるエンジニアを柔軟に確保することが可能です。

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■SES企業の特徴について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
SES企業とは?メリット・デメリットや優良企業の見分け方を解説

雇用形態の違い

  • SIer企業: SIer企業では、請負契約が一般的です。この契約形態では、報酬は労働時間ではなく、プロジェクトの成果物に対して支払われます。つまり、成果物が完了しない限り給与が発生しません。このため、SIerではプロジェクトに時間を費やす必要があり、長時間労働が一般的です。高い給与がもらえる反面、責任も大きくなります。
  • SES企業: SES企業では、一般的に準委任契約が採用されています。この契約形態では、エンジニアの報酬は彼らの稼働時間に応じて支払われます。つまり、実際に仕事をしている時間に対して報酬が支払われます。このため、稼働時間に制限があるため、長時間労働や残業が比較的少ない傾向があります。

待遇の違い

SESとSIerでは年収や待遇にも大きな違いがあります。これは、IT業界の下請け構造に起因しています。IT業界では、発注元となる一次請け企業(元請け)と、その下に位置する二次請け企業、更にその下に位置する三次請け以下の下請け企業が関与します。通常、SIer企業は一次請けや二次請けに位置し、給与や待遇が比較的高い傾向にあります。 一方、SES企業は下請けチェーンの下位に位置することが多く、給与や待遇がやや低くなることがあります。 多重下請け構造

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■SESとSIerの違いについてさらに詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
SESとSIerの違いとは?特徴からメリット・デメリット、将来性を解説

SIer(システム インテグレーター)の仕事内容

SIerの仕事内容は主に以下の5つに分けられます。

・システム開発&設計
・システム運用&保守
・経営戦略のコンサルティング
・システムインテグレーション
・社内システムの構築 ・セキュリティ対策

それぞれ詳しく解説します。

システム開発&設計

SIerは、企業や官公庁などからシステム開発の受託を受け、要件定義、設計、テスト、運用までの一連の開発作業を行います。開発するシステムには、業務システム、基幹システム、Webシステム、モバイルアプリなどです。

システム運営&保守

上で挙げたシステム開発と設計の次に、開発したシステムの運用や保守が挙げられます。システムが正常に動作しているかを監視したり、不具合が発生した場合には修正作業を行います。また、システム改善の提案や実施も行うことがあります。

経営戦略のコンサルティング

SIerは、エンジニアリングITの導入や活用に関するアドバイスやコンサルティングを行うこともあります。顧客の業務プロセスやシステムの課題を分析し、最適な課題解決策を提案します。

システムインテグレーション

SIerは、既存のシステムやアプリケーションを組み合わせ、システム全体としての運用を行うこともあります。また、異なるシステム同士を接続し、データのやり取りを行うなど、システム間の連携を行うこともあります。

社内システムの構築

他にもクライアント企業の社内管理システムを構築もSIerでの仕事の一つです。社内で使用されるシステムの例として、勤怠管理システムや人事管理システムなどが挙げられます。このため、SIer企業はクライアントの業務プロセスや勤務形態に関する知識も必要です。

セキュリティ対策

SIerは、情報セキュリティ対策の支援を行うこともあります。情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを低減するためのシステム構築や運用ルールの策定、監視体制の構築などを行います。

[企業例付き]SIer(システム インテグレーター)の分類

日本は、世界の中でも特にSIerが隆盛している国の1つでさまざまな種類のSIerが存在してます。一般的には5種類に種類分けされており、それぞれを具体的な企業名も挙げながら解説します。

メーカー系SIer

ハードウェアを中心に開発を行う情報機器メーカーが、システム開発部門を独立させた業態です。インフラを提供するのに加え、そこで稼働するアプリケーションを開発するので、一か所でソリューションを完結させます。サーバーやIoT(Internet of Things)機器と組み合わせたシステム開発案件に強みを持っています。1960年代からハードウェアを製造していたメーカーが多く、商流の上位に位置する傾向があります。

具体的なメーカー系SIer企業
・富士通
・日立システムズ
・日立製作所
・NEC

ユーザー系SIer

IT以外を本業としていた大手企業が、情報システム部門を子会社として独立させた業態を指します。ユーザー系SIerは、その業界に応じて金融系・通信系・商社系など、細分化される場合もあります。親会社からシステム開発や運用・保守の案件を受注するのはもちろん、そこで培った業務知識をもとに、他社からの案件も受けるのが特徴です。ユーザー系IT企業は日本独自の企業形態として知られています。



具体的なユーザー系SIer企業
・NTTデータ
・伊藤忠テクノソリューションズ
・日鉄ソリューションズ
・SCSK

独立系SIer

親会社を持たず、独立した経営がなされている企業を指します。特定のベンダーに縛られず、ソフトウェアやハードウェアの観点から、多様な技術を追求できるのが利点です。大手企業から中小企業まで、さまざまなSIerが存在します。メーカーや他のSIerからの下請け業務を行うこともあり、商流の下位に存在していることもあります。
independent software vendor の略としてISVと呼ばれることもあります。

具体的な独立系SIer企業
・大塚商会
・TIS ・BIPROGY(旧日本ユニシス)
・富士ソフト


外資系SIer

グローバルなIT企業が日本法人を設立し、システム開発事業を展開しています。海外で開発されたパッケージやソリューションを日本企業へ導入するのが主な役割です。特に、コンサルティング業務から携わり、パートナー企業と連携して開発業務を推進する案件が多く見られます。近年は、アクセンチュアを筆頭にコンサルティング業界でも社内にエンジニアチームを構える会社も増えています。

具体的な外資系SIer企業
・日本オラクル
・アクセンチュア
・日本アイ・ビー・エム
・SAP


シンクタンク系

ITコンサルティングファームはSIerには含まれませんが、コンサル系と分類されることがあります。なぜならコンサル系は業務分析を含めた上流工程に焦点を当てており、システム開発に携わるからです。システムは業務上の課題を解決するものなので、システム開発の前に業務に関するコンサルティングが必要とされ、経営戦略やIT戦略の支援を入口にして、開発案件にも影響を及ぼします。

具体的なコンサル系企業
・野村総合研究所
・日本総合研究所
・三菱総合研究所


SIer(システム インテグレーター)に向いている人の特徴

実際にSIerとして活躍している人や、SIerを目指している人向けに、どのような人がSIerに向いているのかを解説します。

コミュニケーション能力がある人

SIerは、顧客から要望をヒアリングし、どのようなシステムを望んでいるのか理解する必要があります。その上。クライアントはITに関して全くの素人であることもあります。こちらからも情報提供しつつ、クライアントの要望を理解し、望みのシステムを実現する必要があるため、コミュニケーション能力が高い人はSIerに向いているでしょう。

マネジメント能力がある人

どの位置の商流に位置しているかによりますが、大手SIerなど上位に位置している場合は、システム開発がメイン業務になるわけではないためプロジェクト管理などのマネジメント能力が重要視されます。

そのため、ITの専門知識に不安があってもマネジメント能力が高い人は上位の商流やコンサル系で必要とされる人材になりうるでしょう。

さまざまな企業と関わりたい人

SIerは企業のシステムを作成することが仕事であるため、B to Bがほとんどです。逆に、B to Cのビジネスモデルで働きたい方はSIerに向いているとは言えません。また、顧客とは関わらずコードだけ書きたい、プログラミングをしたいという方も向いているとは言えないでしょう。

しかし、さまざまな企業や会社と関わることは自分の刺激になるとプラスに考えることができる方はSIerに向いているといえます。

SIer(システムインテグレーター)に必要なスキル

では、実際にSIerとして求められるスキルはどう言ったものがあるのでしょうか。

  • ITに関する幅広い知識
  • プロジェクトマネジメント能力
  • 論理的思考力

システム開発&設計

SIerの役割は、顧客の課題をITを活用して解決することです。そのため、IT全般に関する基本的な知識が不可欠です。どのようなシステムが問題を解決できるのか、さまざまなITシステムについての理解が提案の土台となります。プログラミングの詳細技術は必要ありませんが、ITの概念とトレンドについて把握しておくことが重要です。

プロジェクトマネジメント力

SIerのプロジェクトには納期が設定されており、プロジェクトマネジメントスキルが不可欠です。プロジェクトマネジメントはスケジュール管理、マイルストーンの達成、遅延の回避など密接に関わってきます。また、リソース管理とコミュニケーション能力も必須なスキルです。プロジェクトの進行状況を正確に把握し、メンバーとのコミュニケーションを円滑に行うことが、プロジェクトの成功につながります。

論理的思考力

論理的思考力は、問題解決に不可欠です。要件定義や設計段階で論理的に整理し、矛盾や不明瞭な点を排除する能力が求められます。論理的思考力は訓練できるスキルであり、書籍やトレーニングを通じて向上させることが可能です。

SIer(システム インテグレーター)の現状

現状のSIerはウォーターフォール制度の上で成立している企業が多いです。ウォーターフォールとは、SIerなどのソフトウェア開発プロセスにおける一つの開発手法であり、ソフトウェア開発プロセスが直線的に進行することが特徴です。

開発の各フェーズ(要件定義、設計、開発、テスト、運用など)が順番に進み、次のフェーズに進む前に前のフェーズが完了する必要があります。要件定義から運用までフェーズが後ろに行くにつれて下流の業務とされており、SIerも要件定義や設計を行う上流のSIerと設計や運用を行う下流担当のSIerに分かれています。

このウォーターフォール制度の問題点は、下流工程を担当するSIerは上流工程を担当することがほとんどないという点です。そのため、業務が固定化され幅広いスキルを身に着けることができません。上流工程を担当し、スキルアップしたい場合他のSIerに転職する必要があるのです。

SIer業界の課題

そもそもシステムインテグレーターの隆盛は日本特有の現象で、日本のSI業界は世界各国の構造と比べると異なる点が多くあります。これらには、製品の細部の完成度に拘る気質や、元々IT文化が存在しなかった日本企業の経営者がアウトソーシングに注目し、建築業界など下請け構造を参考にIT業界を作ったからなどの理由があります。

SI業界に関わらず、多重下請け構造には課題が残りがちです。例えば、コミュニケーションロスや責任の所在がわかりずらい点、下位の商流や末端の報酬が少なくなり、業務負荷が増加する点などがあります。これらの課題は、市場全体の競争力の低下につながるため問題視されています。

しかし、うまく機能すればカスタマイズしやすい点や負担の分散できる点、人員調整しやすい点などメリットも多いです。

SIer(システム インテグレーター)の将来性

SIerとして活躍している人やSIerを目指している人にとっては将来性は非常に重要です。SIerの将来性を解説します。

需要

SIerは、情報技術の発展によってますます重要性が高まっていくと考えられます。現代社会では、企業や組織が情報技術を適切に活用することが、競争力を維持し成長するために必要不可欠となっています。そのため、SIerが必要とされる分野はますます広がり需要が増えていくでしょう。

また、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で、AIやIoT、クラウドなどの最新技術を活用して、より高度なシステムの構築や運用を行うことが求められてきています。SIerはこれらの技術に精通し、最新の知識や技術を習得することで、企業や組織にとってより大きな価値を提供することが必要になっていきます。

SIerの仕事は日々進化しており、単にシステムを構築するだけではなく、ビジネスの課題を解決することにも取り組む必要があり、ビジネスの要件に合わせたシステムを設計する必要も出てきています。また、ITエンジニアの数が少ないことから、その需要は高くなり、スキルを身につければ引く手あまたとなるでしょう。 ITエンジニア数 出典:)「IT人材育成の状況等について」経済産業省

不安点

一方で不安点としては、クラウドサービスが普及し、ゼロからのスクラッチ開発の需要が減ったということが挙げられます。
SIerの業務であるサービス開発もクラウドで行えるため、独自仕様のスクラッチ開発自体の需要が低下しているのです。

プラットフォームやインフラ構築をサービス化しているクラウドの普及は、システムインテグレーター(SIer)への影響が大きいです。 これからもクラウドの発達が進めば、スクラッチ開発を選択する理由がさらに減少するおそれがあるでしょう。

SIer(システム インテグレーター)として転職する方法

実際に、SIerを目指している方がどのように転職するかを解説します。

転職エージェント

転職する際に転職エージェントを利用する方法はとても一般的です。IT分野やSIerに特化したエージェントもあるため、探しやすいエージェントを利用しましょう。

知人に紹介してもらう

エンジニアにとっては、知人に紹介してもらうという方法も多くの人が利用しています。 現在や以前にかかわった顧客やプライベートの知り合い、友人などから仕事を請けるのです。知人や既存のクライアントからの紹介は、好条件や信頼性の高い案件を得るのに役立ちます。なぜなら、付き合いの長い相手なら自分のスキルや経験にマッチした仕事を紹介してくれる可能性が高いからです。

デメリットとしては、相手が知り合いだと給与面の交渉しにくいケースもあるという点です。希望の報酬を得るためにも、自分ができることや希望報酬を事前に整理しておきましょう。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、SIer(システム インテグレーター)とは何か基礎的なことから、実際に転職する方法などを解説しました。IT業界には他にもSEやSESなどさまざまな職種があります。ぜひ、この記事を参考に、需要の高いIT人材を目指しましょう。

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