2022年上半期も、随所で引き続きコロナ禍の影響が残るものの、多くの業界で求人数(案件数)の回復がみられます。特に、コロナ禍により採用抑制の動きがあった職種も案件数は回復傾向にあり、企業の投資、人材採用の動きが活発化し始めています。エンジニアのみなさまの今後のキャリアプラン検討の参考にしていただくため、以下に、2021年上半期と2022年上半期の案件状況を比較・調査しました。
▲【グラフ1】関東の職種別 2021年・2022年の求人数増減比
▲【グラフ2】関東の職種別 平均時給(2021年・2022年比)と最低時給~最高時給(2022年)
2022年上半期は、2021年上半期と比較し、設計職(機械・電気・組込み)は案件数が大幅に増加しました。特に機械設計・電気設計は160%の大幅増加がみられました。一方で、CADオペレーターは案件数が横ばい傾向です。コロナ禍による一時的な需要減に対して、設計職の需要は回復が見られるものの、CADオペレーターの大幅な需要増となるまでには至ってないことが伺えます。
時給は全職種で横ばいかやや上昇傾向がみられ、エンジニアの不足感は継続していると言えます。とくに、組込み・制御系エンジニアの需要が高く、若手エンジニア育成への積極的な動きもでてきています。
担当工程別にみると評価業務が最も多く、次いで詳細設計となっています。2021年度との比較で2022年度上半期は仕様検討を担当する業務の増加傾向が見られました。上流工程でのエンジニア不足感が強いことがわかります。
▲関東の業種別 2021年・2022年の求人増減比
業種別では、自動車・電気・電子・機械・プラントなど多くの業種で案件数が増加しました。
引き続きコロナ禍影響が残るものの、製品別では、前年同様、半導体関連案件が増加傾向で、他にも精密機器・電子部品・航空機関連の案件が増加しています。医療機器関連の案件の増加も目立ちます。少子高齢化による医療への需要の高まりに加え、コロナ禍の特需にも押し上げられ、2022年は医療機器関連のエンジニア需要が伸びました。今後の成長が見込まれる分野のため、希望するエンジニアも多く、注目の分野となっています。
▲【グラフ1】関西・東海の職種別 2021年・2022年の求人数増減比
▲【グラフ2】関西・東海の職種別 平均時給(2021年・2022年比)と最低時給~最高時給(2022年)
関西・東海では、2022年度上半期は前年に比べ、CADオペレーターの案件数が増加しました。設計職は機械設計は減少、組込み・電気は前年度水準にとどまっています。
いまだ、コロナ禍影響が残るものの、製品別に見ると、最も案件数割合が多い自動車関連が前年度から回復基調となっており、その他半導体関連、輸送機器関連の案件が増加しています。
時給は設計職・CADオペレーター職ともに横ばいかやや上昇傾向です。
担当工程別にみると、最も多いのが評価、次いで詳細設計で関東と同様ですが、図面作成を担当する案件が多く、自動車関連業務の回復と合わせて、CADオペレーターの案件の増加につながっているものと思われます。
▲関西・東海の業種別 2021年・2022年の求人数増減比
業界別では、案件数は自動車・家電業界で回復が見られるものの、関東と比較するとやや遅れがみられます。しかしながら、円安の影響により、製造各社では国内回帰の動きがみられ、電子部品メーカー・家電メーカーの多くでは営業利益が押し上げられています。自動車・家電業界を中心に、エンジニアの需要回復につながると見られます。
▲2020年~2022年のリモートワーク求人数増減比
コロナ禍の影響により、2020年以降飛躍的に増加したリモートワーク可能な案件は、引き続き前年度比138%増加しています。IT分野と比べるとまだ件数は少ないものの、件数は着実に伸びています。なかでも機械系案件の伸び率は高く、2021年度上半期と2022年度上半期の比較では、関東では170%、関西・東海でも160%以上の案件数の伸びとなっています。組込み系案件も、関東で130%、関西・東海では140%以上伸びています。
リモートワーク可能な案件の増加により、これまで通勤のハードルが高かった遠方の案件も検討対象に入り、さらに希望の仕事内容や経験スキルにあった案件を選びやすくなりそうです。