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エンジニアで地方創生!?Rubyの聖地として新たな風を吹かせる島根県の取り組みとは?[地方特集1]

世界中で使われているプログラミング言語「Ruby」によって、町おこし・地域おこしに取り組んでいる自治体が昨今は数多く存在します。そのひとつが島根県。

ご存知の方も多いと思いますが、Ruby開発者・まつもとゆきひろ氏が島根県松江市出身ということで、それを発端に2006年、町おこしプロジェクト「Ruby City MATUE」がスタートしました。このプロジェクトにより、企業の誘致や産業の振興、エンジニアの育成といった形で、さまざまな成果が出始めています。

ひとりのエンジニアがキーパーソンとなって実現した、島根県松江市の町おこしをご紹介します。

きっかけは、Rubyの生みの親・まつもとゆきひろ氏


出典:wikipedia

島根県松江市は、プログラミング言語「Ruby」による町おこし「Ruby City MATUE」プロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトは、立ち上げから今年で10年を迎え、今や松江市は「Rubyの街」として認知されるようになりました。現在、この取り組みは島根県全体にまで広がっています。

このプロジェクトが行われるようになった背景としては、Rubyの生みの親であるまつもとゆきひろ氏が島根県松江市出身ということ。そして、Rubyの価値に気付き、地域振興の要にすることを思い立ったのが、松江市役所産業経済部の田中哲也氏でした。

新たな地域ブランドの創生をめざしたいという思いと、故郷への恩返しをしたいと願うひとりの革新的なエンジニアの思いが重なり合った良い例です。

エンジニア同士のコミュニティは、都市部へのアドバンテージになる


出典:Create Happy! Ruby City Matsue 三度目の訪問

では具体的に「Ruby City MATUE」プロジェクトの取り組みを見ていきましょう。まず、中心市街地のJR松江駅前に設置してあるのが、時代の潮流でもあるオープンソースソフトウェア(OSS)に特化した、研究・開発・交流のための拠点「松江オープンソースラボ(松江市開発交流プラザ)」。

そこでは、まつもと氏をはじめ、地元企業や商工会、大学などが発起人となって「しまねOSS協議会」を設立。この協議会では毎月1回以上開催する「オープンソースサロン」という勉強会があり、講師として県内のエンジニアや大学教授、首都圏の企業や研究者、そして海外からRubyに関するキーパーソンといった多くの面々が登壇しています。

この勉強会では、「Matsue.rb(松江Ruby)」、「山陰ITPro勉強会」や「Agile Shimane(アジャイル島根)勉強会」、若手エンジニア向けの「山陰コンピュータ部」など、エンジニアに関する新たなコミュニティがいくつも生まれ、多くのエンジニア同士の交流が今も盛んに行われています。

こうした動きは、都市部のIT企業にとって人材確保やサテライトオフィス設置などの目的で、島根県への流入をねらうひとつのアドバンテージとなっています。

ITベンチャーが松江市への進出をねらう理由


出典:wikipedia

こうした松江市の取り組みは着実に実を結んでいます。島根県に進出するIT企業は従来、メーカーの工場や重工業などBtoB企業が中心でしたが、最近ではBtoC向けの事業を行うWebベンチャー企業も進出しています。

2014年はアプリ開発の「モンスター・ラボ」や、起業支援のビジネスバンクグループ、国産WebブラウザSleipnirの開発として知られる「フェンリル」が、松江市に進出してオフィスを構えています。 今年は、旅行業務一元管理システムの開発・運用等の事業を行う「e-Front」が、浜田市内に事業所を新設しています。

アイディア創出サロンの設置や、技術交流・ソフトウエア開発などが盛んなエリアに都心のエンジニアたちが魅力を感じ、彼らの人口流入がおきた結果、企業自体の流入へとつながっていきました。

これからの未来を生きる!小中学生へのRuby教育の取り組み


Photo By tacac0

県外からの企業の進出もあり、Rubyによる産業振興に成功しつつある島根県ですが、県内でエンジニアを確保することが難しくなっているという新たな課題も生まれています。

こうした課題に対して、松江市は、エンジニア人材の育成を目的として、小中学校でRubyに関する授業を行うという取り組みを行っています。まつもと氏も実際に教壇に立ってきました。

2016年度からは市内の全中学校で授業を行うことも決まっており、ますますRuby教育に取り組んでいくようです。世界的にプログラミング教育必修化の流れが広がる中、松江市のRuby教育の取り組みは、先進的なプログラミング教育の事例として大いに参考になるはずです。

エンジニアの未来を語る上で欠かせない、地方創生という選択

Rubyの開発者・まつもとゆきひろ氏という革新的なエンジニアに注目し、地域ブランドとしてこれほどまでの規模に拡大した一大コミュニティ。松江市がこれで町おこしを成功させたことはもちろん、この事例はエンジニアが持つ未来の大きな可能性も示しているといえます。

参照:松江市「Ruby City MATSUE」プロジェクト

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