テクノロジー

【プロにキク!】 AWSを最短で学ぶ方法

※この「プロにキク!」では、毎回その道のプロに話を聞いて、私たちエンジニアに効きそうなノウハウをシェアしていきます。



さて、今回のテーマは「AWS」です。

よく目にしたり耳にしたりする「AWS」ですが、改めてどんなものなのか。そして、どう学んでいけば良いのか。今回はAWSのプロ、株式会社ABEJAの村主壮悟さんにご登場いただきます。


――村主壮悟さん、よろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。


株式会社ABEJAの村主壮悟(むらぬし しょうご)さん



AWS(Amazon Web Services)とは何か

――まず、いきなりですがAWSって何なんでしょう。

AWSとは、ですね。……えっと、急に言われても簡単に説明するのは難しいですね(笑) AIとかIoTとかのバズワードでいうと、「クラウドコンピューティング」というものになります。

――クラウドコンピューティング。

クラウドって何かというと、インターネットの後ろにある基盤というかインフラを指します。SNSにしてもGmailにしても後ろで動いているのがクラウドですが、見えないから一般の人には分かりづらいですよね。その後ろの部分をクラウドコンピューティングというわけです。

――写真を保存したりとか、データを保存したりとか色んなサービスがありますよね。

ええ、必要な時に必要なものを必要な分だけ手元で使うことができる、というのがクラウドコンピューティング。それをサービス化しているのがAWSなんです。

――サービス化というのは具体的にどういうことなんでしょう。

今までは自分達で「物理的に」サーバーを立てたりネットワークを構築したりする必要がありました。クラウドコンピューティングでは、それがボタンをポチポチするだけでサーバーを設定したりネットワークを設定したりできるようになっているんです。


そう言いながらポチポチとその場で環境を作ってくれた村主さん



――なるほど、簡単にクラウド環境が作れるわけですね。

ええ、その環境を作るために従来は専用のサーバー技術者やデータベースの技術者などたくさんの人も必要でしたが、1人で簡単に設定できるわけです。だからものすごく流行っていきました。

――規模もいくらでも大きくできるんですか?

そうです。サーバを物理的に何百台も買うとなると数ヶ月はかかりますが、AWSだと1台でも100台でも1,000台でも、すぐに簡単に使うことができます。

――それはスゴイですね。そのサービスを、Amazonがやっていると。

もともとはECサイトを運営していたAmazonの社内で作っていたシステムなんです。Amazonという会社の規模がどんどん大きくなるなかで、社内のインフラとして使っていたサービスを外にも提供するようになったのがAWSだというわけです。

――なるほど、だからこそAmazonなんですね。

実際に規模を大きくしていく際の痛みを分かっていますし、ツボをおさえてありますよね。速く、使いやすいサービスになっています。速さでいうと、従来はオンプレミスで機器購入をして設定するのに1ヶ月くらい掛かるのが普通でしたが、AWSならネットワーク設定も数秒でできます。


AWSにはどのようなサービスがあるのか

――サービスはどういったものがあるんでしょうか。

サーバー、ネットワークだけじゃなく、バックアップやデータベースまで全部サービス化されていて、パラメータを選ぶだけで簡単に設定できます。ですから少人数でも大規模の環境が作れるわけです。

――今までってシステム環境が複雑だったりして、その対応に時間が掛かったりしていましたよね。

昔は役割毎に専門知識が違うため担当者が分かれていましたが、今は一人で全部対応することもできるので、時間が浮くようになりましたね。その分、本業に集中できるというのがいいですよね。

――掛かる費用というのはどうなっているんでしょうか。

1番の特徴は「秒課金」という点ですね。

――秒課金?

ええ、オンプレミスのサーバーでは運用費として「月額幾ら」という感じでしたが、AWSでは稼働している時間分だけ「秒単位」での課金になります。

――ということは一日のうち1時間だけ稼働させたらそこだけ課金されるということですか。

そうですね。この料金体系も優れているので、世界中で採用されて広がってきた一因といえます。




――そうか、世界中でも広がっているんですよね。

はい、グローバルサービスですね。展開する地域も簡単に選べますので、世界でのビジネスもしやすくなっています。あと、世界共通技術なのでインターネット上にも情報がたくさんあるという点がいいですよね。

――使う人が多ければ情報も多い、と。

ええ、意外と日本で解決させたことが世界で役立ったりします。AWSに関していえば日本は決して遅れていませんね。実際、「re:Invent」というAWSのカンファレンスでも世界の事例を聴きましたが、日本のやり方も遅れていないなあと感じました。

――じゃあ国内でも結構多くの企業が導入されているわけですね。

企業規模にもよるでしょうが上場企業で使っていない企業は少ないのではないでしょうか。銀行でも大学でも大手製造業でもAWS導入のニュースをよく目にしますから。


AWSのデメリットは?

――ちなみに、バックアップのサービスもあるということですが、安全性はどうでしょうか?

バックアップは「Amazon S3」というサービスですが、データは離れた3か所に分散して保存されます。データベースをまたいでいますので、データが消えてしまう可能性は2兆分の1と言われています。

――2兆分の1! その分、バックアップにお金が掛かるとか?

いえ、1GBで3円くらいですから安いと思います。




――なるほど。安くて多機能というのは分かってきましたが、逆にデメリットって何なんでしょうか?

サービスやオプションが多い分、逆に使いこなすのが大変ですよね。企業によって環境は異なるわけですが、その際にどのサービスをどう構成させて使うのが一番適切か、と考えるのが難しいかも知れません。

――そうか、多機能だからこそ逆に難しいんですね。

ですから、使いこなせる人は重宝されることになりますよね。これからは企業内に「AWSを適切に扱える人がどれだけいるか」が重要になってくるのではないでしょうか。大手であればベンダーさんに依頼しますが、同じ目線で話しをできる人が企業側に居ないとダメですし。

――確かに、完全に丸投げというわけにはいきませんよね。

ですから、プログラマーでも勉強してAWSを使いこなすという人も増えてきました。

――へえ。プログラムを書く人がインフラを作るって、昔は無かったですよね。

そうですね。分業の領域に境目がなくなってきているのを感じますね。インフラの技術者がいなくても、アプリケーション開発者だけである程度の規模のシステムを作ることができるのもAWSの良さかと思います。逆に言えば「インフラ・アプリの両方覚えないといけない」とも言えますが。

――そうか、もう「プログラムだけできます」ではダメなのかも知れませんね。

もちろん専門分野があると強いんですが、プラスアルファがあったほうがもっと良いですね。これはどの業界でもいえることだと思いますけども。


AWSの資格で年収1200万!

――じゃあ「AWSも使いこなせます」と言えるために、どう学んでいくのがいいでしょうか?

まずは、AWSの資格を取得されることをオススメしています。

――資格があるんですか。

ええ、もちろんAWSは誰でも使うこともできますし、それでも問題はないのですが、資格を目指すと体系的に学習ができるメリットがあります。AWSには「Well-Architected」という概念があって、これが軸になっています。この概念は、ただ使っているだけでは覚えないんですね。

――思想、みたいなものですか。

そうです、まさに。その軸を理解しておくと腹落ちしやすいので、資格取得を目指すのは理にかなっているんです。実際に今は人気資格になっていて、日経XTECHで「人気沸騰 IT資格」で1位に選ばれていますし、米国のグローバルナレッジの調査によれば稼げる認定資格でもAWSは上位に入っています。

――ちなみに、「稼げる」というのは具体的には?

アメリカ価格ですが、平均年収1200万円ですね。

――年収1200万!

この資格を持ってる人がいると会社もブランディングしやすいですから、転職をする際にも有利に働きます。

――ちょ、ちょっと具体的にこの資格のことを教えてください。


はい。資格は全体で9つあります。この図でいう縦が役割で横がレベルです。2018年に一番下の基礎の部分(クラウドプラクショナー)と一番右の「専門知識認定」の3つが新たに追加されました。

――エンジニアの人はどこから受けるべきでしょうか。

エンジニアの人は赤く色が変わっている「ソリューションアーキテクトアソシエイト」から入るといいですね。非エンジニアの人であれば一番下の「クラウドプラクショナー」がいいと思います。

――では、エンジニアの人が受けるべき「ソリューションアーキテクトアソシエイト」について詳しく教えてください。

AWS経験として「1年の実務」というのが前提としてあります。AWSはインフラのサービス化をしていますので、インフラを知らないと分かりにくい部分があると思います。

――インフラを知らないと分かりにくい部分というのは例えば?

例えば、「プロキシ」とか「NAT」とかサラッと出題されているわけです。ですから、理解できない言葉があれば別途勉強しないといけないですね。


「ソリューションアーキテクト アソシエイト」を学ぶ方法

――その他に「ソリューションアーキテクト アソシエイト」の試験を受けるためには何をすべきでしょうか。

まずはAWSの思想である「Well-Architected」のことを知るといいでしょう。そのためにも試験対策本を読むといいと思います。試験範囲も理解できますからね。そして、AWSを触って実際の環境を作っていくことです。

――そうか、秒課金だから実際の環境も安く作れるわけですね。

ええ、100円あれば十分環境を作れます。バケモンみたいなマシン環境でも使えますから、月1万円あれば相当な検証ができると思いますよ。

――でも、消し忘れたりすると危険ですよね。すごい請求が来ちゃったりして。

まあそういった痛みを味わうことも大事だと思います。実際に私も過去にはトラブルに直面した時の方が学びは多かったですから。なので、可能な範囲で本番環境でのテストをするようにしていました。

――迷惑を掛けないギリギリの範囲、という感じですか。

その通りです。そういった検証を「死んで覚えるシリーズ」と呼んでいましたね(笑)

――「死んで覚えるシリーズ」(笑)

でも実際にAWSは「Design for Failure」という考え方があるんです。昔は「止まらないサーバーが正義だ」と言われていましたが、AWSは「止まることを前提にサービスを作れ」というわけなのです。

――なるほど、障害に対するスタンスも異なるんですね。ちなみに、先ほど仰っていた「試験対策本」、村主さんも出されているとか。

ええ、『最短突破 AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト 合格教本』という本を出させていただきました。


――この本の特徴はどういった点なんでしょうか?

「資格を取る」という点に絞って作りこんでいるところですね。あとは模擬試験を別冊で用意しています。

――あ、ほんとだ。ここだけ切り離せるんですね。


ええ、内容も本番の試験にかなり近いものになっていると思いますので、試験前に切り離して何度か使ってもらえると良いと思います。

――これで学んで資格を取って、重宝される人材になりたいものですね。

ぜひなっていただきたいですね。私の周りでもAWSの資格を持っている人は給与水準が高いですし、なかには倍以上に上がっている人もいますから。

――給料が倍以上!

「うちの会社に来てくれ」という話もよくいただきますし、AWSの強さを実感しています。興味を持っているエンジニアの皆さんには、ぜひ学んでもらいたいですね。


AWS、改めてすごいですね。
これから勉強される方は、ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。

『最短突破 AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト 合格教本』

村主さん、ありがとうございました!



取材協力:ABEJA技術評論社
取材+文:プラスドライブ

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