最先端IoTデバイスで未来の宿泊体験!スマートホステル「&AND HOSTEL」とは?

2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人が増え、宿泊施設の不足が問題になるといわれる中、東京・秋葉原に1軒のホステル※がオープンしました。

※ホステル
宿泊客同士の交流の場がある低予算型の宿泊施設。

そのホステルの名は「&AND HOSTEL AKIHABARA(アンドホステル アキハバラ)」。

スマートフォンを通じて人々の生活を豊かにするサービスを提供することをミッションに、さまざまな事業を展開する and factory株式会社が運営し、秋葉原以外にも福岡、上野、浅草北、神田の4店舗があります。
&AND HOSTELの特徴は、最先端のIoTデバイスを集結させていること。未来の宿泊体験を提供する「スマートホステル」として、注目を集めています。

&AND HOSTEL」とはどのような宿泊施設なのでしょうか?
オープンしたばかりの秋葉原店を訪れました。

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&AND HOSTEL(アンドホステル)とは?

&AND HOSTELは「ちょっと先のIoTのある暮らし」を体験できるスマートホステル。「IoT ROOM」、「Dormitory ROOM」の2タイプの部屋が用意され、IoT ROOMにはさまざまな最先端のIoTデバイスが揃っています。
そして、それらのデバイスをand factoryが独自に開発したスマートフォンアプリ「&IoT Platform」で一括して操作できます。

IoT ROOMをメインに、まずはその設備をご紹介します。

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▲こちらは「Dormitory ROOM」。1泊3000円〜と低価格で利用できます。

「IoT ROOM」の宿泊客は、まずフロントで「&IoT Platform」が使える専用のスマートフォンを渡されます。

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▲宿泊客に渡される各部屋専用のスマートフォン

部屋に着いたらスマートロックにスマートフォンをかざして解錠します。

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室内はスッキリとした清潔感のある作り。
従来のカプセルホテルやユースホステルとは一線を画すスタイリッシュな雰囲気です。

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▲&AND HOSTEL AKIHABARAのIoT ROOMは全室ダブルベッド

部屋では、テレビ、エアコン、照明、カーテン、空気清浄機、アロマディフューザーの7つをすべてスマートフォンひとつで操作できます。

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▲テレビの操作画面

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▲空気清浄機の操作画面

アプリが&IoT Platformで統一されているため、設備ごとにアプリを切り替える必要がありません。
従来のリモコンよりも感覚的に、よりわかりやすく操作できるのが特徴です。

照明は色と明るさを細やかに調整できるだけでなく、6種類のカラーテーマが用意されていて、ワンタッチで部屋の雰囲気をガラリと変えられます。

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▲照明の操作画面

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▲カラーテーマで「桜」を選ぶと、日本の春を感じさせる鮮やかなピンク色の照明が点灯

また、&IoT Platformのホーム画面には、シーンに合わせて複数のデバイスを一括操作できる機能も備わっています。

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▲ホーム画面

例えば「おはよう」シーンを選んでみると……。

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カーテンが開き、照明、テレビ、アロマ、エアコンが同時に作動します。

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他にも「おでかけ」シーンの他、「リラックス」シーン、「おやすみ」シーンなどもあります。

さらに、&AND HOSTEL AKIHABARAではGoogle Homeと連動したサービスも提供しており、一声かけるだけでラウンジの混み具合や天気予報を教えてくれます。

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IoTのユーザーとメーカーを繋ぐ架け橋に

&AND HOSTELでの暮らしを実際に体験してみると、想像を超えるような驚きや眩しいほどの未来感というよりは、IoTが今の生活に寄り添いサポートしてくれているような、快適性や心地良さを感じます。

and factoryは、どのような想いのもとこのような宿泊施設を開発したのでしょうか?
執行役員で&AND HOSTELをプロデュースする石田育男さんに話を伺いました。

―&AND HOSTELはどのようなコンセプトで生まれたのでしょうか?

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▲石田育男さん

「IoTの技術が進歩してさまざまな優れたデバイスが発売されても、未だにユーザーとIoTは遠い存在だと思います。それをもっと近づけたいと考えたのが、&AND HOSTELのコンセプトである「ちょっと先のIoTのある暮らし」が生まれたきっかけです。&AND HOSTELは、ユーザー(宿泊客)と、デバイスを開発する側のメーカーを繋ぐ役割を果たしているんです。

―実際に体験したところ、IoTとの距離感が自然で、とても快適に過ごすことができ ました。

「例えばカーナビが登場し始めた時、最初は誰もが「こんなもの必要?」というムードでしたが、今ではドライバーにとって大切なパートナーですよね。それと同じことがこれからIoTの業界でも起こると思っています。実際、デバイスの使い勝手を試すために&AND HOSTELに訪れ、その後購入されたというお客さまの話もよく聞きます。ショールームで見るだけでは判断できなくても、1泊2日で利用することで快適性を実感されるのだと思います。

―メーカーにとっても販売促進に繋がるという意味で有難いですね。

「そうですね。販売促進や広報効果だけでなく、「&IoT Platform」を通してユーザーがスマートフォンにタッチした定量的かつ定性的なデータを蓄積、分析し、メーカーへフィードバックしています。商品改善に役立つ貴重な情報として喜んでいただいています。」

―「&IoT Platform」を開発するうえで苦労したことはありましたか?

「デバイスによって使っている開発言語も違ったり、API※が整っている製品とそうでない製品があったり、それぞれ異なるメーカーが開発した製品を繋ぐという点でエンジニアは苦労しました。使うデバイスは施設ごとに選んでいるので、新しく開業するたびにその施設独自の「&IoT Platform」を開発しています。」

※API(アプリケーションプログラミングインターフェース)
ソフトウェアの機能を共有すること。APIがある場合、自分のソフトウェアに他のソフトウェアの機能を組み込むことができる。

―&AND HOSTELはIoT製品を生み出すための体制づくりにも取り組まれていますよね?

「はい。要素技術の整理、プロダクトのテスト開発、試作品のプレマーケティング、製品化、流通という一連の工程を、弊社が起点となっておこなっていければと考えています。要素技術の整理には九州大学の福田晃教授の研究室、プロダクトのテスト開発には提携いただいているメーカー様、各社のハブとなり、よりよいIoT製品を生み出すインテグレーターの役割を果たしていければと。その中でユーザーがリアルに試作品を使い、データを収集できる場所として機能するのが&AND HOSTELなんです。&AND HOSTELには、『IoTのある生活を体感できる場』というユーザー向けの側面と『品質向上のためのデータを集める場』というメーカーや企業向けの側面があるんです。



主役はIoTではなく、あくまで人

―IoTの導入は、人件費の削減にもつながっているのでしょうか?

「IoTを導入することに従業員のコスト削減といった意図はありません。&AND HOSTEL AKIHABARAのコンシェルジュは7名体制で、清掃やチェックインの時間に合わせて勤務しています。」

―接客で意識していることはありますか?

「訪日外国人の宿泊客が8割を占めるので、接客は『いらっしゃいませ。』とかしこまった姿勢ではなく、『おかえり!今日はどこに行ってきたの?』と、ホステル特有のフランクなコミュニケーションで、人と人が繋がるきっかけを沢山作りたいと思っています。

―IoTを導入したように、例えばフロントと客室のやりとりにボットを使うといった発想はなかったのでしょうか?

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「実は一度ボットを導入したことはありましたが、私たちが思うホステルのあるべき姿として、やはり何かあったらフロントでスタッフと直接話をしてもらいたいと思い、ボットはやめました。すべてをテクノロジーに頼ることは、時として人と人が繋がる機会を減らすことにもなります。&AND HOSTELの主役はIoTではなく、あくまで人。IoTは人の暮らしを補助し、コミュニケーションをより円滑にするためのものと考えています。&AND HOSTEL AKIHABARAで初めて導入したGoogle Homeは、1階のドミトリー空間に集まる人の顔の数をセンサーで検知し、多く集まっている時に『ちょっと覗いてみませんか?』と誘い出してくれます。IoTが他人と繋がることをサポートしてくれる。これが、私たちがイメージする『人とIoTの理想的な関係性』なのです。」

―それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。

「近いところでは、新たに浅草駅前、西浅草、蔵前、両国、堺筋本町、心斎橋などで&AND HOSTELの開業を予定しています。訪日外国人が増える2020年の東京オリンピックを見据えて施設数をさらに増やしながら、常に新しいIoTを取り入れ、今までやったことのない取り組みに挑戦していきたいです。また、ホステルで構築したシステムやノウハウを活かし、戸建てやマンションでもIoTを提供できるように、さらなる開発を進めていきます。

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未来の暮らしを想像していた&AND HOSTELでの宿泊体験は、とても身近で、いつもより少し快適で、生活の些細な楽しさに気付き、人と人とが繋がる、さまざまな喜びが溢れていました。

技術開発に熱い情熱を注ぎながら、主役はあくまで人であることにこだわる石田さん。
石田さんはじめ、スタッフの方の柔らかい笑顔に触れ、その言葉の意味が実感できました。

あなたも一度、&AND HOSTELに宿泊してみては?
気取らず気負わず、いつもの装いで。

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