カップルや夫婦、家族のデートにカメラマンが同行し、想い出の写真を残してくれる。そしてその写真を、Web上にアップロードしコンテンツ化してくれるフォト撮影サービス「ラブグラフ」。サービスをリリースした2014年以来、若年層を中心に人気に火が着き、利用者は右肩上がりに増え続けています。
同サービスを運営する株式会社ラブグラフにおいて、取締役CCOを務めるのが村田あつみさん(写真右)。彼女は、創業者であり代表取締役の駒下純兵さんと共に、共同創業者としてWebデザイナーの経験を生かしサービスを成長させてきました。
そして、同社の歴史を語る上で欠かせない存在なのが、エンジニアである亀岡亮太さん(写真左)です。彼はラブグラフにおける最初のエンジニアとして入社した後、その技術力をもって様々な課題を解決し続けてきました。
サービスの屋台骨を務めてきた2人は、ラブグラフという名のファインダー越しにどんな未来を見据えているのでしょうか?その展望を語って頂きました。
大学時代に気づいた「恋愛や家族愛が好きだ」ということ。それがラブグラフのきっかけ
―村田さんは、ラブグラフを大学生時代に立ち上げたそうですね。
村田:そうなんです。もともと、大学2年生のはじめ頃から、学生と掛け持ちでWebデザイナーの仕事をしていたんですけど、当時やっていた受託開発の仕事に私はそれほど魅力を感じなくなってきて……。「どうせなら、自分が心からやりたいと思えるサービスを立ち上げたい!」と大学3年生のときに一念発起したんです。
―村田さんにとっての「やりたいこと」。それが、恋人や家族の写真を撮り、世界中に発信するサービスだったのですね。このようなコンセプトに決めたのって、どうしてですか?
村田:どんなサービスにしようか考えていたときに、「そういえば私って、恋愛や家族には昔からすごく興味があるなあ」ということに気づいたんです。
例えば、ちょっと変な話なんですけど、「タレントAとモデルBの熱愛発覚」みたいな恋愛系ニュースによくテンションが上がっていましたし(笑)。それから友達のノロケを聞くのも大好きでした。
あと、家族同士が仲のいい芸能人のインスタグラムなどもよく観ていました。私はその芸能人の知り合いでもなければ、会ったこともありません。なのに、その愛がとても愛しくて守りたいものだと感じていたんです。ある人がある人を大切に思う気持ちは、他の人の心も動かしてくれるんだなあと思いました。たとえそれが、まったく無関係な人だとしてもです。そういった理由で、「自分がサービスを始めるなら、恋人や家族をテーマにしたいな」と考えて。
「写真」というコンセプトにしたのは、共同創業者である駒下との出会いがきっかけです。カメラマンである彼が、一眼レフでカップルの写真を撮ってTwitterに投稿していたのを見て、「カップルや家族の写真をWebサイトに掲載したら面白いんじゃないか」と閃きました。それで彼に声をかけて、一緒にサービスを始めることになったんです。
村田さんのコードを全て1人で修正。現役大学生の頭脳派エンジニア・亀岡さんがラブグラフを“非”属人化した
―ラブグラフ創業当初はエンジニアがいなかったため、村田さんがWebサイトの構築をしていたそうですね。サーバーサイドの知識は、もともと持っていたのですか?
村田:いえ、サーバー周りのことはそこまでわかっていなかったですね。だからラブグラフのサイト構築には、基本的な知識さえあればできるWordPressを使いました。それでも「テーマ」呼ばれるテンプレートを0から作成しようと思うと、それなりに大変で。ただひたすらググりながら、なんとか完成させたんです。でも今思うとすごい汚いコードだったので、後からジョインした亀岡にはすごく迷惑をかけたなあ、と思っています。
―村田さんはこう言っていますが。実際のところ、亀岡さん、どうでした?
亀岡:はい。正直に言うと、すごく大変でした(笑)。これはオフレコなので記事には書かないでほしいんですけど……。村田の書いたコードは、僕がジョインした後にだいたい全部修正したんです。
村田:ちょっと!それ、ナイショにしといて(笑)!
―(笑)。亀岡さんは入社した後、まずどのような機能を実装したのですか?
亀岡:カメラマンのスケジュール管理機能ですね。実はラブグラフでは当初、カメラマンのアサインを人の手でやっていたんです。具体的には、駒下がカメラマン一人ひとりにLineやメールで連絡を取って、予定を調整して、ということをやっていたんですが、注文が多くなるにつれてだんだんさばき切れなくなってきました。ひどい時は、一日中予定調整をやっていた事もありましたね。
この問題を解決するため、撮影依頼の注文が来たら管理画面でカメラマンに撮影可能な日程を入力してもらうよう、システムを作り替えました。そうして、スケジュール管理を自動化できるようになったんです。
―それは本当に価値の高い仕事ですね。村田さんにお聞きしたいのですが、エンジニアである亀岡さんがラブグラフに入ったことは、会社にとっては大きかったですか?
村田:もちろんです!ラブグラフって、どちらかというと「写真」や「カメラマン」の存在が話題に上ることが多いんですけど、今こうして全国各地にいる方々にサービスを利用してもらえる状況は、エンジニアリングによる効率化・自動化無しには絶対に成しとげられませんでした。亀岡をはじめとするエンジニアが入ってくれたからこそ、今のラブグラフがあると思うんです。
目指すのは、世界中にラブグラフが広まる未来。そして、女性がIT業界で輝く光景
―今後、村田さんがラブグラフを通して実現したいこと。そして、ITという分野において成しとげたいことなどはありますか?
村田:これからもっとサービスを充実させて、日本中だけでなく、世界中の人たちにラブグラフを使ってもらいたいなあ。実は、創業期のメンバーで決めたラブグラフのビジョンって、「幸せな瞬間を、もっと世界に。」というものなんです。恋人同士の愛情とか、家族愛とか、大切な人を思う気持ちって世界共通。だからこそ、ラブグラフのコンセプトはきっともっと多くの人たちに共感してもらえると確信しているんです。
―村田さんのビジョンを受けて、亀岡さんはどうですか?
亀岡:そうですね。僕も同じように、きっとそれが実現できると思っています。そのために、エンジニアとして下支えをしていけたら嬉しいですね。僕は、「人に人らしい仕事を」という株式会社フリークアウトの社是が好きなのですが、まさに自分がやるべきはそういうことだと思っています。
かつて駒下が苦しんでいたような、「わざわざ人間がやらなくてもいい単純労働」を1つずつ減らしていく。そうしてラブグラフのメンバーが、その人にしかできないような価値ある仕事にコミットできるようにする。そのサポートをするのが、エンジニアの役割ですから。
村田:それから、これは個人的にですが、IT業界やマネジメント層でどうやったら女性が結果を残せるかを日々考えています。
―学生時代にラブグラフを立ち上げ、サービスをここまで成長させてきた村田さんが語ると、すごく説得力がありますね。
村田:いえいえ、まだまだですよ……。現状、IT業界に対して「男性の割合が高い、小難しい仕事」というイメージってまだまだ根強く残っていると思うんです。だからこそ、女性の参画がなかなか進んでいないという課題があります。実際に、私がハッカソンやエンジニアリング系の勉強会に参加した際にも、女性は自分しかいないという状況をたくさん経験してきました。私自身は、そんなに気にしていなかったんですけどね。
でも本来、ITの仕事って時短勤務や在宅ワークがしやすいから、出産や育児でフルタイムでの出勤が難しい場合でも問題なく働ける、女性のライフスタイルにぴったりな職業なんです。
それにも関わらず、ITの仕事の女性人気があまり無いのは、IT業界で活躍する女性のイメージが湧かないことが原因のひとつだと考えています。だからこそ、みんなが参考にできるような女性が、これからもっと増えていくといいですね。
―村田さんは充分、そういった存在になれていますよ。その姿を見て、勇気づけられる人がきっとたくさんいると思います。
村田:ありがとうございます!私が頑張ることが、誰かに少しでも希望を与られているのだとしたら、本望です。
小さなオフィスの一画から世界中に向けて、ラブグラフは今日も愛を届ける
世界中の愛を「写真」というカタチにして、世界中にもっと幸せを届けたい。
そんな想いを持った村田さんと駒下さんとの出会いから始まったラブグラフは、亀岡さんをはじめとしたエンジニアの力。そして数多くのカメラマンの力を借り、中目黒にあるオフィスの一画から、世界中に向けて愛を発信し続けています。
そのファインダーには、これまでも、そしてこれからも、胸を焦がすほどの素敵な光景が写し出されているようです。
取材協力:株式会社ラブグラフ