2000年問題って結局なんだったの? はてな京都本社で聞いてきた

 

001

こんにちは。ヨッピーです。

突然ですが、みなさんは「2000年問題」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

2000年問題

1981年→81といったように、当時のコンピューターは年数を下2桁のみで処理していることが多く、1999年から2000年に切り替わるタイミングでは、99→00と変遷することになるためデータベースの順序が狂うことが予想され、それによって予想外の重大なトラブルが起きるのでは? とさまざまなメディアが報道し社会不安を煽った。Y2K問題とも呼ばれる。

僕も当時リアルタイムでインターネットを使っていたので覚えているのですが、「大丈夫かな……」ビクビクしていたわりに、蓋を開けてみれば特に大きな混乱も起こらず「なんだそりゃ!」と拍子抜けした記憶があります。でも、僕は思ったのです。

002

それって、名も無きエンジニアの人たちがめちゃくちゃ努力したから回避できたんじゃないの!?

つまり映画「アルマゲドン」みたいな感じで、IT系エンジニアの人たちの見えざる必死の努力で危険が回避されて平和な日常を過ごせただけなんじゃないかな、って。その時の苦労話なんかを聞いたうえでお礼を言いたいと思い、今日はこの人にお話を聞くことにしました。さっそくご紹介しましょう。

003

id:onishiこと株式会社はてな執行役員にしてサービス開発本部長の大西康裕(やすひろ)さんです! ヒューー!

icon1

「今日はお忙しいところすみません!」

icon2

「いえいえ。それは結構なんですが、なぜわざわざ京都本社に? ヨッピーさんって東京にお住まいですよね?」

icon1

「いえ、それがね、僕別件で大阪に来ていたんですが、誰に2000年問題について聞こうか悩んでいた時、『あ、そういえば、京都にはてながあるやん』って思い出して、お邪魔したんです。賢いでしょう?」

icon2

「連絡来たの2日前ですもんね。いつもそんな感じなんですか?」

icon1

「まぁだいたい綱渡りです。ではさっそくですが、質問をさせて下さい」

icon2

「どうぞ!」

 

004

「2000年問題で、大変だったことを教えてください!」

005

特にないです

006

icon1

「えっ、それで終わり!?  裏ではエンジニアの人がめちゃくちゃ苦労して対応したとかでもなくて!?」

icon2

「はい。当時、私はECサイトの構築とか運営をしてまして、もちろん2000年問題で多少不安はあったんですが、『まぁ大丈夫だろ』くらいに思ってたらやっぱり大丈夫だったっていう。何にも起きなかったですね」

icon1

「本当に!? じゃあ特別に2000年問題に対応するために特別に何かしたっていうこともなく?」

icon2

「はい。Linuxを最新のものにアップデートしたりとかはしましたけど、それも通常業務の範疇(はんちゅう)ですからね。基本的には使ってるソフトやOSのバージョンさえ上げておけば問題なかったんじゃないしょうか。周りの人もそんなに苦労したっていう話は聞いてませんね」

icon1

「えーーー。めちゃくちゃヤバかったけど3日連続徹夜して凌ぎました! みたいな話を想像してたのに!」

icon2

「エンジニアって、何かあった時に対応というよりは、むしろ何も起こらないようにするのが仕事なので、意外と徹夜しまくって凌ぐってあんまり良いことではないんですよ」

icon1

 

「うーん。ほかにも2038年問題とかありますよね?」

2038年問題

時刻は32bitで表す処理をされることが多かったが、2038年1月19日に値がオーバーフローすることが予想されている。

icon2

「2038年問題もこのままだと確かに問題ですが、まだあと20年ありますし、2000年問題の時と同じくアップデートして対応するくらいで済むんじゃないですかね?」

icon1

「ちょっと! 大西さん!」

icon2

 

「はい?」

icon1

「もうこの企画終わっちゃったじゃないですか!」

icon2

「私に言われても……」

007

icon1

「(……もう特に話すことがないな……)あ、大西さん、右手にギプスしてますね。それ、どうしたんですか?」

icon2

「ああ、これはマネージャー養成ギプスですね。私はマネージャー職でみんなをまとめたりするのが仕事なんですけど、やっぱりプログラマーとして自分でコード書くのが好きでついつい書いてしまうので、それを封印してマネージャー職に専念するためにつけてます」

icon1

「へぇ。でもそれってウソですよね?」

icon2

「そうですね。ウソです。休みの日に自転車で転んで折りました」

icon1

「チッ」

icon2

「いま舌打ちしませんでした?」

008

※険悪な雰囲気をごまかす為に京都タワーをご覧ください。

 

■京都で働くということ

009

icon1

京都で働くってどうですか? WEB界隈だとみんな東京だし結構珍しいのかなと」

icon2

「そうですね。まず、優秀な学生が多いっていうのはメリットのひとつとして挙げられるかと。東京だと優秀な学生って企業間で取り合いになりますけど、京都はそこまで企業が多くないわりに、大学は京大を筆頭として優秀な大学がたくさんあるのでそのへんは大きいですね。インターンとかも探しやすいですよ」

icon1

「なるへそ。確かにインターネットがあれば、どこでも仕事ができちゃうのは、エンジニアはじめWEB業界で働く人のメリットですもんね。僕も正直、パソコン一台あればどこでもできちゃうし」

icon2

「あと、地元が九州の人とかも多いんですよ。九州の人って東京まで出ちゃうと帰省する時とかに大変なんで、東は関西くらいを上限にして仕事を探す人が多いのかなぁと。実際ウチにも九州の人は多いですね」

icon1

「採用のアドバンテージが京都にはあるってことですね」

icon2

「はい。ほかには通勤のしやすさとかですかね。みんな自転車通勤してますよ。働く場所と住む場所が近いっていうのは楽で良いかなと。あと食べ物もおいしいですねやっぱり。居酒屋のレベルが高いです」

icon1

「大阪と比べると京都はどうですか?」

icon2

「そうですね。なんだかんだ言っても関西の拠点は大阪がメインの方が多いでしょうね。サイバーエージェントさんもYahoo!さんも大阪に拠点がありますし。アプリ開発の会社とかも大阪が多いです。京都のWEB企業っていうと、はてなを思い浮かべてくださる方が多いとは思います」

icon1

「なるへそ。京都でははてなが強い、と」

icon2

「別に強いわけではないと思うんですが、いかんせんもう京都のITの中では老舗なのでネットワークがあったりするんですよね。OBが後輩を連れてきたり」

icon1

「はてなにはどういう人が入って来るんですか?」

icon2

「インターネットが好きで、はてなが好きっていう人たちですね。はてなって、たぶんチャラチャラした感じはあんまりないじゃないですか?」

icon1

「うん。地味だし

icon2

「そうなんですよ。派手な事をするわけでもなく、びっくりするほど儲かってるわけでもなく、なんとなく独自の路線を走ってるっていう、そういうところに共感してくれた人達が来てくれてるのかなと。若い人も多いですよ」

icon1

「へぇ~、そろそろお腹空いたなぁ」

icon2

「話聞いてます?」

■はてなランチを食べよう

010

そんなわけで図々しくも、はてな名物まかないランチをいただくことにしました。ヒュー! 完全においしそう!

011

この日のランチは豚と豆もやしのキムチ炒め、レタスと赤大根の海苔和えサラダ、どんこ出汁の白ネギスープ! でもそんな中で気になったのがこれなんですよね。

012

icon1

社員のチェックシャツ率が高すぎる。理系大学っぽい雰囲気があるな……」

013

そんなわけで見事にチェックシャツとパーカーを着た人しかいない場所で一緒にご飯をいただきます!

icon1

「いやー、でも最近のはてなさんは元気な感じで良いですね。新しいサービスとかあれこれ出て来るしメディア事業も始めるし。それもこれもエンジニアの方々の努力があったこそのものですもんね。一時期は「あれ? なんか元気がないのかな?」みたいな時代もありましたけど」

icon2

「それって、ひょっとして4・5年前とかですか?」

icon1

「はい」

icon2

「まぁあの頃は新サービスがなかなか軌道に乗らず苦労した時期でして……。おかげさまで、もう元気です」

icon1

「でもなんか、不器用な感じが逆に良いんじゃないかな、って思ったりもしますよ。さっき言った通りチャラチャラしたイメージは無いし、僕一度一日社員としてはてなさんにお邪魔した頃もありますけど、はてなの人たちはインターネットが好き! みたいな感じがすごいじゃないですか」

icon1

「僕、やっぱり理念みたいなものがないと長続きしないし、「カネカネカネ……」になっちゃってダメだと思うんですよ」

icon2

「そうですね。理念を信じてもう14年になりますが……。相変わらずWEB業界以外では知名度が低いので、幼稚園のパパ友とかに『はてなという会社で働いてます』って言っても『はてな?』って言われます」

icon1

「2重の意味で「はてな」なんですね、それ。最終的にはどういう感じにしていきたいんですか?」

icon2

「はてなのミッションは『「知る」「つながる」「表現する」で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする』なんですけれども、これはつまり情報を届けるという『知る』っていう部分と、他のユーザーとのコミュニケ―ションの場を提供する『つながる』っていう部分、そしてブログなんかを通じて『表現する』っていう部分ですね」

icon2

「要するにはてなのサービスを通じて人と繋がったり、自分で表現するようになるお手伝いをしたいなと思ってます。ブログ書いてたら人生変わった!みたいな人がたくさん出て来ると社会的な意義があるのかな、と」

icon1

「おカネは? いらないんですか?」

icon2

「おカネは欲しいですよもちろん。結局サービスっておカネが無いと絶対続けられないので。ただ、おカネのためだけに何かをするのははてなっぽくないですね」

icon1

「なるほど。おカネが大好きな銭ゲバ企業は全部倒産しろ、と」

icon2

「そんなこと言ってませんよね?」

014

そんなわけで急遽押し掛けた僕を暖かく迎え入れてくれた株式会社はてなのみなさん&大西さん! ご飯までいただいてありがとうございましたー! ちなみにはてなさんで求めているエンジニアは「技術をずっと高めたい人」だそうです!

さて、今回の結論ですが……、

2000年問題は時になにもなかった!

です!

しかし、これ以外にも日々私たちが快適にインターネットを利用できているのは、名も無きITエンジニアさんたちの努力のおかげでしょう。本当にありがとうございます!! これからもがんばってインターネットを良くしちくりぃ~!

 

(ヨッピー+ノオト)

 

※編集部追記

2000年問題はWEB系よりインフラ系が大変だったのでは? というご指摘をいただいたので改めて調査したいと思います!(2015.12.18)

5130b6e3c8f76-160x120ヨッピー

フリーライター。平日毎日更新のおばかサイト「オモコロ」にて体を張った実験記事を執筆。ほかにも「スマホの川流れ」「トゥギャッチ」などで連載中。ブログ「ヨッピーのブログ(仮)」TwitterIDは@yoppymodel

この記事が気に入ったらいいね!しよう

いいね!するとi:Engineerの最新情報をお届けします

プライバシーマーク