【キニレポ!】 これからの働き方で考えるべきこと ~Sansan Innovation Project 2019イベントレポート~

※この「キニレポ!」は、“気になるテック系イベント”に参加して、ざっくり概要をまとめてレポートしていく企画です。

こんにちは、レポーターのマサです。

皆さんは、これからご自身でどんな働き方をしたいと考えているでしょうか。

先進的な企業や最先端の場所で働く人はどんな働き方をしているのか、そんなことを知ることのできるイベントがありましたので、参加してまいりました。

参加したのは、名刺管理ツールで有名なSansanが主催する「Sansan Innovation Project 2019」というビジネスカンファレンスです。


成長する企業で働く人は、仕事とどう向き合っているのか?

2日間にわたって60以上のセッションが行われ、100人以上のスピーカーが登壇する巨大なイベントでしたが、今回レポートするのは『働くの「コレカラ」』というセッション。

登壇されていたのは、下記の4名でした。

・株式会社ニューズピックスの金泉俊輔さん
・アマゾンジャパン合同会社の石橋憲人さん
・Sansan株式会社の富岡圭さん
・DENSO INTERNATIONAL AMERICA, INC.の鈴木万冶さん

ニューズピックスの金泉さんがモデレータとなり、「働きかた」について他の3名に話を聴いていくというスタイルで展開されていきました。


とても内容の濃いセッションだったのですが、その中でもマサが気になったトピックをご紹介していきましょう。


あのアマゾンの企業カルチャーとは

eコマースにおける世界的なリーディングカンパニーでありながら、謎も多い印象のあるアマゾンですが、石橋憲人さんからアマゾンのカルチャーについてお話しがありました。

アマゾンジャパンの本社は2018年5月にJR目黒駅前の目黒セントラルスクエアに新オフィスを開設しており、創業当初は100人だった日本の社員も今は6000人を超えているのだとか。

アマゾンのミッションは2つで、「地球上で最も豊富な品揃え」「地球上で最もお客様を大切にする会社」ということ。だから、働くのは誰のためかというと、お客様の満足度を高めるためだというのです。

さらに、お客様の満足度を高めるにはイノベーションを起こさないとダメだといいます。イノベーションを起こす会社になるためにも次の2つの要素を重要視しているとか。

1.ダイバーシティ(多様性)
2.ウェルビーイング(社員が健康であること)

実際、アマゾンでのダイバーシティはというと50か国もの社員がいて、女性も多数。目黒の新しい本社には礼拝堂があったり搾乳室もあったりするのだそうです。

また、アマゾンには世界で共通の「Our Leadership Principles」という14項目からなる信条があるそうで、その一部についても解説されていました。

このOLPはマイナーチェンジしており、少しずつ変化しているのだとか。これを社員に浸透させるためにも人事制度と結びつけていて、評価制度(360度評価)もOLPに沿っているのだそうです。

日常会話の中にもOLPが入ってくるといいますから、かなり浸透しているのだと思います。


シリコンバレーで価値を出すためにやっていること

続いてDENSOの鈴木万冶さんのお話しです。

鈴木さんは「DENSO INTERNATIONAL AMERICA, INC.」という会社に所属しており普段はシリコンバレーにいるということですが、アマゾンの石橋さんの話でもあった「イノベーション」についてお話しをされていました。

「そもそもイノベーションの定義は何か?」という点から掘り下げていましたが、イノベーションは「新結合」である、と鈴木さんはいいます。

これはつまり、“自分達とは関係ない人と繋がっていくことだ”というのです。確かに多くの人は、同じ会社の人や同じ業界の人とばかり会っているかも知れませんよね。

鈴木さんは「全く関係ない人と繋がるような関係性を構築すべきだ」といいますが、ではどうやってそういった関係性を作るかというと、「価値の等価交換」がキーワードだと続けます。

つまり、自分から出せる「価値」を持っていないとダメだと。イノベーションを起こすには自分なりの価値を持ち、外に出てそれを提供していくことだというのです。

ここでSansanの富岡さんが「鈴木さんはシリコンバレーでどのように価値を出しているんですか?」と質問をしました。すると鈴木さんは、「みんな価値を持っているけれど、それに気付いていないだけなんです」と答えていました 。

鈴木さんの考えとしては「シリコンバレーといえばソフトウェアの天才たちが集まっているので、その分野で戦ってもしょうがない」、と。

ただ鈴木さんは30年間自動車業界にいたので車のことは大体知っている。彼らの持つソフトウェアの知識や技術と自分が持っている自動車の知見を融合できたらすごいんじゃないか、と考えたわけです。

ですから個人レベルで何をすべきかといえば、「コンフォートゾーン」から出る必要があるのだと。コンフォートゾーンというのは“いつもいる居心地の良いエリア”のことですね。

自分にとって大したことではなくても 外に出ると価値が出ることがある。それはやってみなきゃ分からないから、とにかく同じ属性の人たちと居心地良く過ごすのではなく、一歩外に出ていくことが大事だということでした。


これからの時代は「つながり」が大事になる

続いてのトピックは、「これからの時代、働くうえで考えるべきこととは?」というテーマについてSansan富岡さんのお話しです。

Sansan富岡さんは「これからの時代、“人とのつながり”がより大事になってくるだろう」と仰っていました。最近は「リモートワーク」が増えつつあるけれども、そういう時だからこそ会って話すことに価値が生まれる、と。

今回のセッションも、登壇者みんなでオンラインの打ち合わせをしたけれどあまり進まなかったけれど、直前に顔を合わせて話したら上手くいったのだとか(笑)

また、このイベントのスポンサーとしてWeWorkさんも名を連ねていましたが、WeWorkさんといえばコミュニケーションを重要視するコワーキングスペースとして成長しています。世の中の流れとしても、そういった場所が求められているのかも知れません。

Sansanは名刺のツールですが、シリコンバレーでは名刺交換はしないといいます。じゃあ人と会わないかというとそんなことはないはずで、今日のようなイベントに1日10万円だろうが払って足を運ぶのだとか。それぐらいリアルの繋がりを大事にしているのだそう。

実際、普段シリコンバレーで働いているDENSOの鈴木さんからも、補足として次のような話しがありました。

現段階ではFace-to-Faceに完全に置き換わる技術はまだ無いので、同じ空間と時間を共有することには価値があるのだとか。

さらに、「Sansanの富岡さんが言うようにアメリカでは“無料セミナー”というものはほとんど無く、何も価値が無いと思われています。それよりも10万円くらいするイベントに行って、誰と会ってどんな話をするのか、どんなネットワークを作るのか。そこに価値を感じているのです」とのこと。

再び富岡さんの話に戻すと、Sansanでは顔を合わせることを重要視しており、1つの例として「KnowMe」という社内制度があるとか。

これは、「私を知る」という名前の通り、お互いをよく知るために社内の飲み会についてはその代金を会社が補助するというもの。「飲―みー(Know Me)」にも掛かっているそうです(笑)

具体的には「他部署の社員と飲みに行く場合に、会社から1人当たり最大3,000円の補助が受けられる」という制度だそうですが、会社的にはこれを「コストではなく“投資”と考えている」というお話しが印象的でした。


“価値創造”へシフトしなければならない

続いてのトピックはDENSOの鈴木さんからのお話しです。鈴木さんは普段シリコンバレーにいるので、日本を客観的に外から眺めることができるといいます。そして、中国の深センにいた時に感じたことを話してくださいました。

ある時、夜22時過ぎにテンセントの本社ビルを見たら夜遅くまで電気が付いていたそうです。でも彼らはブラック企業に勤めている意識などなく、一生懸命に価値を創造しようとしているし、会社はそれを支援しているのだとか。会社からの支援というのは例えば食事を出したり、タクシーで送ったり、などです。

それが日本ではどうかというと、「時間の管理」をしているわけですね。「22時までには帰りなさい」とか「22時には電気を消します」などですね。これは全く次元が違う話だと指摘します。

アマゾンの石橋さんからも同様に「価値の創造」についての話がありました。

アマゾンの社内で2012年くらいに社員から「働きかた」について様々な要望があがったそうです。それに対して代表のジャスパー・チャン氏が言ったのは「管理をやめていこう」ということ。

就業時間も100%フレックスにして「始業時間」をなくし、仕事をする場所もどこでもいい。いかに社員を管理するのではなく「いかに価値を創造してもらうか」にシフトしたのだとか。やはり、仕事を管理するのではなく価値を創出する、というのは重要なポイントのようですね。

さらに石橋さんはこれからの時代に「イノベーション」はキーワードだけれど、それらをするためには「時間」を作らないといけない。その時間を捻出するために積極的にツールを使っていく、という視点が大事だと力説します。

実際、石橋さんは「アマゾンビジネス」という企業購買向けサービスの責任者ですが、このサービスを導入した顧客も「余計な時間が減って本業に時間を使えるようになった」と喜んでいるのだとか。


アマゾンビジネス=ABで働きかた改革をしてはどうか、と掲げる石橋さん

ある企業はアマゾンビジネスを導入して年間9000時間削減したといいますが、アマゾンビジネスを導入するかどうかはさておき、“ツールを導入していかにムダを削減していくか”というのは重要な視点だと感じました。


「変革体質」を手に入れる方法

最後のトピックとして「これからのビジネスマンに求められることとは?」と言う話が展開されましたが、ここではDENSOの鈴木さんの話が印象的でした。

鈴木さんは「“変革体質”を持つべきだ」と掲げます。


では「変革体質」をどう手に入れたら良いのか、ということで簡単にできる次のような方法を紹介されていました。

・ノートを買ってきて「変革ノート」とタイトルをつける。

・1日に1個何か行動を変えて、そのノートに1個ずつ書いていく

・3日続けると3日坊主を克服することになり、3週間続けると習慣になる



1日に1個何か行動を変える、というのは例えば「通勤のルートを変える」とか「行ったことのないお店に行く」など些細なことで構わないそう。これを意地になってやり続けていくと、いずれ「何かを変えないと気が済まない」という状態になるのだとか。

そして、そういった気持ちこそが、結果的には大きな変革に繋がっていくのだといいます。確かに、「イノベーションを起こさなきゃ」などといっても、いきなり大きなことはできません。日々の小さなことを積み重ねていくクセをつけるということですね。

ニューズピックスの金泉さんも「これなら誰でもできそうですね!」と感嘆の声を上げていました。

イノベーションと聞くと難しそうですが、変革体質を身につけるために少しずつ何かを変えるところからはじめてみたいものですね。

それではまた!



取材+文:プラスドライブ

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