【Pythonのパイセン!】 Python仲間を作れる最高のプラットフォームを、利用する立場から運用する立場へ /connpassの的場さん

この記事では、Pythonを使いこなしているエンジニアに活用方法や学びかたのコツについて話を聞いていきます。


国内最大規模の「“IT勉強会”支援サイト」を運営


――今回のパイセンは、的場さんです。今お仕事で何をされているのでしょうか?

はい、ビープラウドという会社でconnpassの開発を担当しています。

――connpassというのはどういったサービスでしょうか?

IT勉強会支援プラットフォームですね。イベントを開催できるWEBサービスはいくつかありますが、そのなかでもITに特化しているのが特徴です。


IT勉強会支援プラットフォーム「connpass」


――なるほど、ITに関するイベント開催などの支援サービスということですね。

そうです。おそらく、ITに関するイベントの数は日本で一番多いのではないかな、と思います。

――おお、国内最大規模なんですか。

毎月アクセス数は増加していますし、イベントの数も増加しています。ユーザー数は公開していませんが、右肩上がりで増えています。

――なぜそんなに増えているとお考えですか?

主催者さんの使い勝手がよくなるように改良を続けているのが喜ばれているのかも知れませんね。そもそも主催者さんは無料で使えますし、継続的にイベントの主催ができるようにイベントのコピーがしやすい、複数の管理者が設定できる、参加者にアンケートが取れる、とか……

――へえ、聞いているだけで便利そうですね。

他にも、コミュニティが形成されるような仕組みもあります。イベント主催者はグループを作れて、参加者はグループに参加できます。グループに参加しているとイベントの通知も届きますし、知り合いがイベントに参加しているかも分かるんです。TwitterやGithubのアカウントとも連携できますし。


――なるほど。そもそもconnpassはいつ頃から始まったサービスなんでしょうか?

7年ほど前からですね。僕は携わって1年程度です。

――では1年ほど開発を担当されていると。

はい、もう少し具体的にいうとconnpassのデータを分析したり、ライブラリなどのバージョンアップをしたりしています。あと、サービスが大きくなっていくなかでエラーが出ることもありますので、不具合や負荷の調査をしたり、外部システムとの連携について社外に依頼をしたり、ユーザーからの問い合わせについて調査したり、と様々です。基本、毎日Pythonを読み書きしてます。


趣味をきっかけにプログラミングの世界へ

――なるほど、的場さんご自身のプログラミングとの関わりはいつ頃からですか?

本格的に勉強を始めたのは大学に入ってからですね。情報系の大学だったので、授業でCやJavaを触ったりしてました。

――情報系の大学に行こうと思ったきっかけは?

もともと、DTM(DeskTopMusic)が趣味だったんです。で、DTMをするのにDAW(Digital Audio Workstation)という音楽を編集するソフトを使うのですが、当時はソフトに不具合が多く落ちてしまうこともよくあって。当時のDAWをうまく動かすには、使っているハードウェアに合わせて設定をチューニングしないといけなかったりしたので、コンピュータやプログラミングを学びたいと思うようになりました。

――なるほど。ちなみに音楽のジャンルは何ですか?

ジャンルはロック系でしたかね。友達とデモ曲を作ったり、録音して加工したりしてました。一人で作るというよりも、友達や自分のバンドの音源を作るのに機材周り、PC周りを担当するということが多かったですね。


――それで大学に行き、プログラミングをどんどん学ぶようになると。Pythonにはどこで出会うのでしょうか。

大学でCとかJavaをやっていたわけですが、授業で助教授からPythonを勧められました。簡単な文法を教えてくれて、試しにやってみたらCとかJavaではできないことがPythonならできました。「Pythonのほうが気持ちよくプログラミングできるなあ」と感じて、のめり込んでいきました。

――具体的にどういった点が気持ち良かったのでしょうか。

Cだとメモリやコンピュータのハードウェア的な部分を意識しないとできないことが多いんです。ただ、Pythonだとそこまで意識しなくてもできることが多いんです。ライブラリもすごく多いですし。Pythonは、自分が手でコンピュータを操作しているような感覚でプログラミングできた。しかも書く量が少なくて済む。その辺りが気持ちよかったですね。次第に、プログラムを書く言語が何でも良いならPythonを選ぶようになっていきました。

――大学を卒業してからは何をされていましたか?

大学院に進んだのですが、そこでは音楽のデータ分析などをやっていました。音を解析する時には C++のライブラリやMATLABを使うことが多かったのですが、「ある処理をやってから次の処理に繋げる」みたいな部分だったり、パラメータを微妙に変えながらいろんな分析を試す、その結果を整理する、という部分はPythonを使っていましたね。解析結果を再度、分析するときもPythonだったかな。先輩の作ったコードは、C++やMATLABが多かったので、再利用するときは、そのまま使ったりと、様々な言語を使い分けていましたね。


働きながら仲間を求めて「Pythonもくもく会」へ

――就職はどちらの会社へ?

ある大企業のSI部門でまず3年勤めました。そこでは特殊なハードウェアを使った業務システムを作っていて、その管理を担当していました。

――え、新卒でいきなりマネジメントですか?

ええ、僕も最初は現場でプログラミングをやるものだと思っていたんですけどね。管理や設計の人手が足りなかったのか、僕自身に出来そうな雰囲気があったのか分かりませんが、現場をすっ飛ばして管理の仕事を担当していました。ずっと現場でプログラミングがやりたいとは上司に伝えつつ、趣味でPythonには触れていました。


――趣味でPythonに触れる、というと?

自分で使いたいタスク管理ツールや音楽管理ツールを作っていましたね。自分の再生記録を見て、いい感じの音楽を流してくれるツールとか作ってました。全部、Pythonですね。新卒1年目から一人でそんなことをやっていたのですが、Pythonの話がしたくなって。そこからconnpassの存在を知って、「Pythonもくもく会」という勉強会に参加しました。

――「Pythonもくもく会」というのはどういった勉強会でしょうか。

基本は、その名の通り、もくもくとPythonのプログラミングする集まりなんですが、最初に自己紹介をしたり、成果発表をしたりと、喋る機会が多くて知り合いが作りやすいんですよね。で、もくもく会を通じて「PyCon JP」というPythonの国際イベントが開催されているのを知りました。それで検索して見ると、ボランティアスタッフを募集しているのを見つけたので参加しました。

――イベントのボランティアというのは具体的に何をするんですか?

やることは色々とあるのですが、僕は「プログラムチーム」の一員で動いてました。PyConJPの登壇者は、応募と投票で決まるのですが、応募を集めて投票を受け、結果を踏まえて登壇者に連絡するところまでの流れを企画したりとか。あと、子供向けにPythonのワークショップを開いたので、その企画や準備もしました。僕はやっていませんが、他にも会場の準備だったりお金の管理だったりなど、色んな仕事がありましたね。

――あくまでボランティアだから、皆さん本業はあるわけですよね。

ええ、本業の仕事とは別で、皆ボランティアでやっています。意見は言いたい放題だし、お金を貰ってやっているわけではないので、言ってみれば、いつ抜けてもおかしくないわけです。そんな状態ながらイベントが形になっていく感覚は仕事では味わえないし、面白かったですね。で、その時のイベントの座長がビープラウドの鈴木たかのりさんという方で。

――あ、そこで今、所属するビープラウドと繋がるわけですね。

そうですね。実は後から気づいたことなのですが、それまでに他でも縁がありました。例えば、一人でPythonの勉強をする際に手に取っていた本がたまたまビープラウドの本だったとか。あと、参加したPyCon JPのキーノートとして登壇されたのがビープラウドの社長だったり。

――へえ、そんなご縁も強かったビープラウドへ入社された、と。


小さなコミュニティから始めて、イベントの主催をしてみよう

――Pythonを学んでいくうえで「connpass」のオススメの使い方を教えてください。

そうですね、まずは規模の小さなイベントや「もくもく会」に行くと良いと思います。もくもく会は自己紹介から始まりますし、みんなでご飯食べに行ったりということも多いので、他の人と話しやすいかなと。

――一人で勉強するよりも、もくもく会に行って同じような立場の人と繋がる、と。

あ、同じような立場でもないですよ。イベントには、ベテランの人も来ますし、参加してる人の仕事や業界もバラバラだったりします。それがまた楽しいんですけどね。普段の仕事では会わないような人と話すこともできるのも特徴ですね。

――なるほど、そういった意味では大きいイベントにまず行ったほうが良いのでは?

大きいイベントもいいのですが、大きいイベントだとそのコミュニティの中の知り合い同士があちこちで会話してる状態になりがちなんですよね。知らない人の輪にガンガン入って行ける人であれば良いと思うのですが、誰も知らないところに一人で来ていたりすると心が折れちゃうかも知れません。

――ああ、だからまずは小さいコミュニティから繋がりを作っていくと。

ええ、勉強会の規模も数名から100人以上のイベントまで様々ありますし、場所も全国各地でもやっています。あと、セミナーを開催している人もいますし企業主催のイベントもあるので、てっとり早く個人のスキルを上げたいならそういったセミナーに行ってみるのもありだと思います。仕事の繋がりになるかもしれませんし。ただ、仲間を探したいのであれば、もくもく会がオススメです。


connpassには本当にたくさんのイベントがあるから積極的に参加してみよう


――目的に応じてセミナーやコミュニティを選択する感じですね。

そうですね。あと、慣れてきたらconnpassを使って主催をするのもオススメです。最初に言ったようにconnpassは、主催者の方がスムーズに運営できるように設計していますし、機能も追加しています。イベントを主催していると、他のイベントに行ったときに「あのイベントを主催をしている方ですね」みたいな感じで知り合いも増えていきますよ。

――プログラミングが楽しいだけでなくそれに伴う活動も楽しくなっていきそうですね。

ええ、connpassはITの活動の基盤になり得るものですから、ぜひ使い倒してもらいたいですね。

――使い倒してもらえるのは開発者冥利に尽きますもんね。

まあ、僕は今もユーザーとして使っているんですけどね(笑)

――なるほど。的場さん、どうもありがとうございました!


取材協力:connpass
取材+文:プラスドライブ/原 正彦

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