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【お前の母ちゃんデベロッパー】 子育てをしながら仕事をしていても苦労が無い理由 / 中尾 智さん

この記事では、子育てをしながらソフトウェア開発をしている「ママエンジニア」に話を聞いていきます。


柔軟なデベロッパーママは、これまでも“変化”に対応してきた

――いまは何をされていますか?

はい、小倉に本社を構えるエム・ティー・エス株式会社(以下MTS)に所属しており、SalesForceを使って、Wifiを提供する企業のAP管理や工事の管理をしています。ほぼ在宅ですね。

――お、ほぼ在宅なんですね。

ええ、ほぼ在宅ではありますが、打ち合わせとか会って話をしたほうが良い場合には出勤したりもして。


――柔軟な働き方をされていますね。

うちの社員はほぼ女性で、今は3人が子育てをしながら在宅で開発業務をやっていますね。デベロッパーママばかりです。

――そもそも中尾さんが今のお仕事をするきっかけは?

きっかけ……うーん、短大を卒業してから30年弱くらいずっとこの仕事をやってるんですよね。当時、パソコンを持っているのはオタクくらいでしたし、仕事でもオフコンとか汎用機とかしかない時代で。

――そんな頃からIT系だったんですね。

東京の短大を卒業して、就職した会社がいわゆるIT系で。実家が宮崎なので宮崎勤務を希望したんですが、福岡採用になりました。だから業種うんぬんよりもただ戻りたいだけという不純な動機でしたね。

――でも、今もなお続けているってスゴイですよねえ。

今でもこの仕事ができているのは運が良かった面もあります。オフコンとか汎用機の後にWindowsが出てきたわけですが、そこから移れる人とオフコンから移れない人に分かれました。私は運よく移れた側の方だったので。

――変化に対応したわけですね。

変化に対応した、というとすごく綺麗に聞こえますね。私自身、1つの技術を追い求めるタイプではなくて与えられたことをこなすタイプで、求められることに応えていった結果、今でも続けられるようになったという。

――なるほど、ニーズに対応した結果、変化に対応していたと。

そうなるでしょうか。ちなみに、最初に入った会社の上司が今のMTSの御幡社長なんです。その後も幾つか点々としてますが、御幡社長とはずっと一緒で。

――え! じゃあ「この人についていこう」って感じでずっと付いていってるわけですか。

そうですね。絶大なる信頼を置いています。


右が絶大な信頼を置くMTSの御幡社長


「仕事をしながら子育てをするうえで大変なことはない」という理由

――ご結婚されたのはいつ頃でしょうか。

結婚は27歳でしたが出産は40歳の時で、少し間が空いています。結婚してから主人が忙しくて出張ばかりで家にいなかったのです。

――お子さんは今おいくつですか?

もうすぐ8歳になります。

――仕事をしながら子育てをするうえで大変なことはなんでしょうか。

大変な部分は……そんなにないですね。

――え? ないんですか?

ええ、特に……

――え、じゃあその辺りを詳しく聞かせてくださいよ。まず、子育てで苦労するのは「帰りづらい」という点がありますよね?

いえ、周りの人も理解してくれる人が多いので「今日、お迎え間に合う?」とか声を掛けてくれますね。子どものこともよく知っているので。

――え、なんでお子さんのことをよく知っているんですか?

あ、たとえば会社の忘年会とか子どもも参加OKなので、社員もお互いの子供のことをよく知っています。職場に女性も多いし、子どもに対しては寛容ですね。

――じゃあ、旦那さんと揉めたりとかないですか?

うーん、旦那さんも同業者なので理解がありますね。妊娠する前なんかは終業時刻が21時とか22時とか、場合によっては徹夜の日もありました。でも旦那さんも同じような生活をしていた時期もあったので共感してくれましたね。「大変だよね」って。


――あと、子育てで大変なのって子供に時間が取られる点ですよね。突発的なことも多いですし。その辺りはどうですか?

先ほども言った通り、基本的に在宅勤務なので、その点は助かってます。突発的なことがあってもすぐに対応できて、時間取られた分はその日の夜に少し多めに仕事をするなど調整しています。基本的に“会社に行かないとできないことなんてない”ものですよね。

――“会社に行かないとできないことなんてない”。名言出ましたね。

まあ、うちは会社が小さいですから、余計なことをやっていたらお金も時間ももったいないですし。

――じゃあ、なんで多くの会社が在宅にしていないんだと思います?

在宅にしていないのは、セキュリティ上の問題などもあると思いますが、やはり社員が信用できるかどうかじゃないでしょうか。あと、社員のみんなの年齢層が高いから出来ている部分もあるかと思います。

――年齢層が高いから?

たとえば新入社員がいきなり在宅って言われても、無理だと思うんです。仕事のしかたを知らないから。私が新人の時も厳しい環境で育ちました。だからこそ自律心がついて、どんな場所でも仕事ができるのではないかなあ、と。だから「新人の時にどう過ごすのか」、というのは大事だと思いますね。

――やはり、はじめはある程度は厳しくあるべき、と?

ええ、厳しくというか負荷を掛けることも大事だと思います。それで仕事に向き合う姿勢がしっかり身について、成長してきたら自由を与える、というほうが良いかと。私も今では常駐先の仕事も在宅でやらせてもらっています。

――え!?常駐先の仕事も在宅で?

はい、最初は常駐していましたが、ある時から在宅にさせてもらいました。すべては信頼関係ですよね。信頼が構築されるからこそ自由に働ける。

――うーん、その通り過ぎますね。MTSの社内では何か特別な制度とかあるんでしょうか?

いえ、MTSに何か特別な制度があるわけではないですね。

――あら、そこは意外に何もないんですね。何か面白い特別な制度があるかと思ったんですが。

社内の場合は、社長が気を遣ってくれる、というのが一番大きいと思います。トップがそうなると社内の空気も変わりますから。うちの社長も「家庭と仕事は両立させるもの」という考えがベースになっているので、社長にはホント感謝しています。


在宅勤務は「習いごと」の対応においても最強である

――MTS社での働き方として、1日の流れはどうなっていますか?

まず朝は6時半に起きて7時半に子供が出ていきます。そして8時に主人が出るので送っていきます。それから朝食の片づけやら洗濯やら。

――さすがに慌ただしいですね。

いえいえ、NHKの朝ドラも見てますよ。そんな感じで9時前まで過ごして、9時から仕事ですね。

――そうか、通勤時間がいらないんですものね。勤怠管理ってどのように?

勤怠管理のシステムは導入してないですね。

――システムも無いんですか! 本当に信頼関係で成り立っている感じですね。

まあ、SkypeやSlackで常に繋がっている感じです。そこで会話をしているから勤怠管理は要らないんですよね。それに、1人でやっている感じもありません。会話したければすぐに誰かと喋ったりチャットしていますから。

――カメラは付けているんですか?

いえ、カメラ付きのツール導入も検討されましたが。主婦目線でいうと家の中が映るのはちょっと嫌ですね(笑)

――なるほど(笑) まあプライバシーの問題は誰しも抵抗がありますよね。他に在宅のメリットってあります?

あと習いごとの送り迎えもやっているんですが、在宅だと助かりますね。徒歩10分くらいの場所で習いごとをしているので、「10分くらい抜けまーす」って宣言して送り迎えに行ってます。うちは子どもが1人ですけど、2人とか3人とかいらっしゃって性別も違う子がいる家庭だと大変ですよね。習い事も多様だし、送り迎えや宿題だけで毎日何かに追われていると思います。

――おっと、噂をすれば、娘さんですね。

ああ、娘のゆきです。会社まで連れてきました。


――ゆきちゃん、こんにちは。

ゆきちゃん「こんにちは」

――ゆきちゃんは何を習っているの?

ゆきちゃん「ダンスと英語。ダンスはよさこいをやってるの。これ、写真」


――わあ、すごいね。ママはどんな仕事しているか知ってる?

ゆきちゃん「知らなーい。でもいつもお家にいてパソコンを使ってる」

――へえ、やっぱりそんな感じなんだね。

以前、通勤している時は残業でお迎えも遅くなってしまってたんです。お迎えがあんまり遅くなるとかわいそうかなと思ってたんですが、早く行ったら行ったで「なんで今日こんな早く来たと?」とか言われたりするんですよね(笑)

――「親の心、子知らず」って感じですよね。

ゆきちゃん「だって一人でもっと遊びたいんだもーん」


地域で助け合うからこそ、上手くいく

――そっかそっか、そういう時もあるよね。仕事が立て込んで、どうしてもお迎えに行けない!とか、ピンチの時ってないですか?

ああ、ありますよ。でも私の場合はママさん同士の助け合いも多いです。近所だとか、習いごとで一緒のママ同士の繋がりが強くて。

――なるほど、ローカルのネットワークですか。

ええ、ホント「困った時はお互いさま」って感じですね。近所のお母さんともよく会話しますし。

――東京ではあんまり無い光景ですよね。

そうそう、私も短大で東京に住んでいたころ、隣の人が誰なのかも知らなかったですが、ちょっと考えられないですよね。

――近所のママさんに何かを依頼することも多い、と。

お迎えに行けないときは近所のママに頼んで行ってもらったり、逆に頼まれることも多いです。ちょうど昨日、台風で学校が休校になったんですけど、通勤しているママさんは困るわけですよね。「会社行かないといけないなら、ウチで子供みてようか?」って。

――そうか、子どもが急に休みになったりもするわけですね。

まさに昨日がそれですね。で、「家にいるから見とくよー」なんて言って預かってました。うちの子も1人だけで家にいたら私にばかり話しかけてきて困っちゃいますけど、友達もきてるから一緒に遊んでくれるし、実は私もラクなんですよ。

――なるほど!まさにWin-Win-Winじゃないですか。

そうそう、他にも「今日会社で飲み会あって遅くなりそうなんだけどさあ。うちの子、17時に帰ってくるのよね」って時も「じゃあウチで預かってそのまま泊まらせなよ」みたいなこともよくあります。


――お泊まりも頻繁に。すごいですね。ちょっと素晴らしいほどの働きやすさばかり聞いてきましたが、まとめるとこんな感じですよね。

  ・会社の理解とサポート

  ・信頼関係のうえに成り立つ在宅勤務

  ・ツールを駆使して常時接続する

  ・ご近所やママ友達との助け合い



いやあ、見習うべき理想的な環境の話を聞かせてもらいました。MTS社の中尾さん、代表の御幡さん、ゆきちゃんも、ありがとうございました!



エム・ティー・エス株式会社ではママさんデベロッパーをはじめ人材を募集しているとのこと。ぜひチェックしてみてください!



取材協力:エム・ティー・エス株式会社
取材+文:プラスドライブ/原 正彦

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