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【プロにキク!】 1日たった数分で効果のある“最高の運動”

※この「プロにキク!」では、毎回その道のプロに話を聞いて、私たちエンジニアに効きそうなノウハウをシェアしていきます。



さて、今回のテーマは「運動」です。

皆さんは1日のほとんどをPCの画面の前で過ごしていませんか? なかなか運動をする時間が取れないとは思いますが、やっぱり運動ってした方が良いのではないでしょうか。

ただ、いざ運動をしようとしても、なかなか時間が取れないですよね。短時間でも効果のある良い運動法ってないものでしょうか?

今回は、医師であり科学者でもあり、『最高の運動』という本の著者でもある川田浩志さんに「短時間でも効果のある運動法」についてお話しを聞いていきたいと思います。

――川田先生、よろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。


医師であり科学者でもある川田先生


――私は食事には気を遣っているんですが、やっぱり運動もしないとダメですかね?

食事に気を遣うことももちろん重要ですが、やはり運動も欠かせませんね。


運動はがんの予防にもなる

――運動が大事ってのは、つまり“ダイエットしないとダメだ”ということでしょうか?

いえ、定期的な運動習慣の効用は他にもたくさんありますよ。

■ ダイエット効果がある
■ 肥満、心臓病、脳血管疾患(脳卒中)、成人型糖尿病、骨粗鬆症になる可能性を低下させ、死亡率を確実に減少させる
■ がんにかかりにくくなる
■ 善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールと中性脂肪を減らす
■ 血管年齢が若返り、血圧を改善させる
■ 脳の神経細胞を新しく作り出すとともに、認知症リスクを低下させる
■ 若さを保つ上で重要なホルモン(成長ホルモン、DHEA、テストステロンなど)の分泌が維持される傾向がある
■ 持久力が上がり、疲れにくくなる
■基礎代謝が向上して、太りにくくなる



運動といっても、少なくともこれだけの効用があるのです。

――あれ、がんの予防にもなるんですか?

そうなんです。これは、144万人のデータをもとに、運動習慣とがんの罹患リスクの関係を調査した2016年の研究結果で、男女ともに罹患者数の多い「肺」「大腸(結腸、直腸)」「胃(胃噴門部)」「肝臓」や、私の専門である血液のがん(骨髄性白血病、骨髄腫)、また乳がん、子宮(内膜)がんなどに対しても運動の効果があることが統計上示されたのです。


――なるほど。でも、今までロクに運動などしてなかった私は、もう手遅れではないですかね……

いえいえ、運動はいつ始めても「遅すぎる」ということはありません。運動習慣のなかった人が高齢になってから運動を始めても、死亡リスクは「確実」に下がるんです。それに、エンジニアの方は別の死亡リスクもありますね。

――「エンジニアの別の死亡リスク」って何ですか?こわい!


エンジニアが抱える死亡リスク

エンジニアの方は、1日のほとんどをPCの画面の前で過ごされていますよね。実は座りっぱなしは死亡リスクを高めてしまうのです。運動習慣がさまざまな病気のリスクを下げるというのは先ほどお話ししたとおりですが、運動習慣があったとしても死亡リスクを高めてしまうのが『座りっぱなしの状態』なのです。

――うわあ、座りっぱなしだと死んじゃうんですか!

そのリスクが高まるということですね。2012年にオーストラリアの研究グループが発表した約22万人を対象とした大掛かりな調査研究の結果から、座っている時間が長い人ほど死亡リスクが上昇することがわかりました。


その後も世界中で調査研究が行われましたが、いずれも同様の結論が得られています。

――ホントだ。座っている時間が長いほど死亡人数が多いですね……。でも、コードをゴリゴリ書いたりするのに座りっぱなしになるのは避けられないですよねぇ……

座りっぱなしの方であっても、1時間のうち、たった2分だけでもいいので軽く体を動かすだけで死亡リスクは下がるようですので、もし状況が許すのではあれば“職場で運動を取り入れる”という選択肢もあります。

――職場で運動するって言っても、やっぱり時間はかかるし場所も取るんじゃないでしょうかね。

そんな忙しくて時間の無い人にオススメなのが「HIIT」というトレーニング方法です。

――HIIT?

HIITというのは、「高強度(High-Intensity)の負荷のかかる運動と休憩を短い間隔(Interval)で繰り返すトレーニング(Training)」のことで、「有酸素運動」と「無酸素運動」両方の運動効果が得られるものです。

――高い負荷の運動と休憩を短い間隔で繰り返す、というわけですか。

ええ、2000年代から世界中のアスリートのトレーニングメニューに取り入れられるようになりましたが、ここ数年で医療現場にも取り入れられるようになりました。

――医療現場にも!

いまやHIITは、心筋梗塞などの病気を患った人のリハビリにも使われているのです。もちろん何らかの持病のある方は医師の指導のもとで運動する必要がありますが、近年の多くの研究結果から、HIITは心臓病や代謝系の病気のリスクのある人にとってもとくに危険ということはなく、心肺機能や代謝異常の改善などが期待できる運動と考えられています。


HIITトレーニングとはどのようなものか

――へえ、そうなんですね。具体的にはどんなトレーニングなんでしょうか?

1つの例として、ここではデータをより正確に収集しやすい「エアロバイク」を使ったHIITをご紹介しましょう。

<エアロバイクを使ったHIIT>

① ウォームアップを2分行う。
② 負荷のかかったペダルを全力(オールアウト)で20秒間こぐ。
③ 2分の休憩を取る。
④ ②と③を繰り返し、計3セット行う。
⑤ クールダウンを3分行う。



――あ、全力でバイクをこぐのは20秒なんですね。

ええ。ですから「これならできそうだ」と感じる方も多いのではないでしょうか。

――①から⑤まで全部この通りにやっても12分ですものね。

そうです。これだったら会社の近くのジムに入会して昼休みにHIITをやってみるという選択肢も考えられるのではないでしょうか。

――でも、この12分の運動だけで本当に効果があるんですか?

実質的には「20秒×3回」の「たった1分」ほどしか運動をしていませんが、これだけで「45分の軽い運動」と同様の効果が得られることがわかっています。

――1分だけで45分の軽い運動と同様の効果……!ううむ。


この図は、最大心拍数が70%を超えないレベルで45分間、エアロバイクのペダルをこぎ続けることを週3回行う「通常の運動グループ」と、先述のHIITメニューを週3回行う「HIITグループ」、「運動を行わないグループ」の3つのグループに分け、12週間での変化を観察したものです。

――ほお。「通常の運動グループ」と「HIITグループ」であまり変わらないですね。

そうなんです。ほぼ同等の健康増進効果(最大酸素摂取量の増加とミトコンドリアの増加)があることがわかったのです。

――でも先生。そもそも「会社の近くにジムなんて無い!」って人も多いと思うんですが、PC仕事の合間にもできそうなHIITトレーニングって無いものでしょうか。

PC仕事の合間に行うということでしたら、専用器具が不要で、狭いスペースで行え、かつシンプルな動作で体幹や下肢などの大きな筋肉を使うものがベストですね。

――お、あるんですか!

ええ。今回は、私とともにHIITの普及につとめている『ティップネス』さんで推奨しているHIITプログラムをご紹介しましょう。


PC仕事の合間にできるHIITトレーニングプログラム

このHIITの基本は、「(20秒の運動×10秒休息)×8セット」です。高負荷運動を20秒行ったら10秒の休息を取り、次の運動に移るということを8回繰り返すわけです。

――全部で4分ですか。それはいいですね。それで、どんな運動をすれば良いのでしょうか。

1回のセッションで行う運動は4種類の運動で構成されています。

①スクワット


②マウンテンクライマー


③ヒップリフト


④プランクプッシュ


――なるほど、どれもその場で出来ますね。それぞれ20秒やる+10秒休む、を2周していく感じですか。

ええ、2周したら1回分のセッションは終了です。トータルしても4分ですが、全身の筋肉と関節を動かし万遍なく負荷がかかるので、バランスのとれた体を手にいれることができますよ。

――それぞれ結構きつめにやらないとダメですか?

私がおすすめしているHIITは“タバタ式トレーニング”などのアスリート専門とは異なり、あくまでも運動の継続を目的としているためご自身の感覚で「ややキツイ(全力の70~80%)」レベルでOKです。少し息が上がる程度から始めてみて下さい。

――週に何回くらいやるのが良いでしょうか。

頻度は週に3~4回とし、連日行うことは避けてください。

――じゃあこの4分のプログラムを週に3~4回、仕事中にずっと続けていれば私も長生きできるというわけですね!

いえ、できれば運動メニューを1週間ごとに別のメニューに切り替えると、いっそう効果的ですよ。

――あ、それは飽きちゃうからですか?

運動を飽きさせないという面もありますが、じつは筋肉も刺激に対して飽きが出てくるからです。

――へえ、筋肉も飽きるんですね。

そう。運動効果を向上させるためにも、ローテーションは重要なのです。書籍『最高の運動』では4週分のメニューを動画付きでご紹介していますので、正しいフォームの確認にもご活用いただければと思います。




――仕事の合間の数分間かぁ……、たしかにそのくらいならできるかも。だけど、それで本当に私の脂肪は燃えてくれるんですかねぇ。

ご安心ください。私もけっこう疑り深いほうで、「エビデンスがこれだけ出ているけど……本当に効くんだろうか?」って考えるほうなんです。だから、デスクワークメインの40代の男性に頼んで、HIITをやってもらったんですよ。

――うわ、すごいこだわりっぷりですね! で、その成果は???

写真のこの方も、ほぼ毎日デスクワークなので、夜の会議室でHIITを続けたそうです。体重は3キロ減ですが、体脂肪と内臓脂肪がかなり減りました


――おおお!すごい。なんかフォルムが変わって、若返ってる!!

HIITは体重減よりも、脂肪を減らして、引き締めを目指す運動ですからね。あ、ちなみに、私も続けていますよ。外で運動するのは暑いので、自宅にもエアロバイク買っちゃいました。いつも出勤前にHIITをこなしています。

――ご自宅にエアロバイク!先生自ら実践されているとは……。理論だけでなく実践派なのですね!


川田先生のご自宅のHIITトレーニング環境



川田先生、ありがとうございました!

HIITは、本当に短時間で効果の期待できる効率がいい最高の運動ですから、エンジニアの皆さんもぜひトライしてみましょう。


『世界一効率がいい 最高の運動』(かんき出版)

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こちらの本にはHIITトレーニングの詳細だけでなく、推奨の食事メニューなども載っていますのでぜひ併せて読んでみてはいかがでしょうか。



取材協力:かんき出版
取材+文:プラスドライブ

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