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携帯ゲームのパイオニア「株式会社Razest」の開発哲学!CTOが「価値の提供」を重視する理由とは?

株式会社Razest(ラゼスト)は、携帯でゲームをする文化がなかった2006年、対戦型カードゲーム「Grave†Cross(グレイブクロス)」によって、ゲームの新しい楽しみ方を提示した関西ゲーム開発の雄。

以降、オリジナリティあふれる携帯ゲームを次々に開発。最近ではボードゲームの開発もスタートさせるなど、独自の視点で魅力的なエンターテイメントをユーザーに届けています。

「プレイヤーへの価値の提供が僕達の仕事」と語る同社創業メンバーであり、CTO(最高技術責任者)の中田淳平さんに、株式会社Razest(ラゼスト)の開発哲学、今後の展望について伺いました。


日本初の携帯ゲームを開発!ゲーム友達から開発パートナーに

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▲会社のエントランスに設置された株式会社Razestのヒストリー。開発したタイトルが記載されている

株式会社Razest(ラゼスト)は、2006年に創業。携帯カードゲームのパイオニアである「Grave†Cross(グレイブクロス)」、携帯を使った協力型対戦ゲーム「Lunatic Raid(ルナティックレイド)」、海賊カードバトル位置ゲームJOLLY ROGER(ジョリー・ロジャー)など、これまでに8つのタイトルをリリースしています。



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中田さんが株式会社Razestの創業メンバーとなったのは、ウルティマオンラインというオンラインRPGゲームで代表の木村仁氏と出会ったのがきっかけだったといいます。

「代表の木村との出会いはオンラインゲームでした。ゲームで仲良くなったのがきっかけで、プライベートでも仲良くなり、当初は普通の友達という関係でしたね」

着メロや携帯掲示板の全盛期だった当時、代表の木村氏が「子どもたちが熱中できるような携帯電話のゲームを作りたい」という志を抱き、独立を模索します。携帯ゲームの開発に向けて、システムやプログラムに詳しい中田さんに技術的な相談をもちかけるようになっていったとのこと。



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▲株式会社RazestのCTOの中田淳平さん

「最初はIT系に詳しい友人として相談に乗っていたんですが、木村が独立してゲーム会社を立ち上げることになり、一緒にやろうと誘ってくれました。携帯でコンテンツを楽しむという文化は根付いてきていた時期でしたし、携帯でゲームを楽しみたいという潜在的なニーズがあるのではないかと感じていました。木村と一緒に新しい開発に挑戦してみたいという想いもあり、独立を決意しました」

携帯で楽しめるゲームを目標に、1作目として開発されたのが「Grave†Cross(グレイブクロス)」。ゲームのトータルプロデュースを行う木村氏とシステムとプログラムを担当した中田さん、さらにグラフィック担当のデザイナーを加えて日本初の携帯ゲームを生み出しました。



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▲ジャンケンをベースにしたシンプルなルールが人気を集めた日本初の携帯カードゲーム。ガチャや合成など現在のカードゲームの基礎がすべて含まれた革新的な作品。

ひとつのサーバーに100近くのコンテンツを詰め込む方法が主流の時代に、1台のサーバーとデータベースにコンテンツをひとつだけという、とても贅沢な方法で開発。ストレスなくゲームを楽しめるように、システムとプログラムを徹底的に作り込んだと中田さん。

システムとプログラムを徹底的に作り込んだことで、非常にスムーズな動作を実現。中田さんによると、作り込みすぎて大量の同時アクセスにも耐え、逆にサーバーやデータベースの性能を持て余してしまったとのこと。

携帯電話という限られた性能のパフォーマンスを最大限に引き出すことで、日本初の携帯ゲームGrave†Cross(グレイブクロス)が生まれました。


日本初!SSD導入で携帯ゲームの魅力を多くの人へ

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▲複数人のパーティー同士がリアルタイムに闘う対戦型RPGゲーム。大ヒットとなり株式会社Razestの名前を飛躍させた。

1作目で手応えを掴んだ株式会社Razest。2作目に開発したのが、2007年にリリースされたLunatic∴Raid(ルナティックレイド)。4人でパーティーを組んで協力して敵と対戦するRPGゲームで、3つの国に分かれての領土を取り合い、同時に数千人がプレイします。

2作目にして大ヒットとなり、あまりの人気にログインできない人があふれかえるという現象が続いたとのこと。
その突破口となったのがSSDの導入。世界的にもSSDが普及していなかった時代に、技術検証を経て導入を決定。負荷の軽減と処理スピードの向上を実現しました。



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「当時、高頻度のデータベース書き込みで困っていると相談していたところ、技術検証用としてヒューレッドパッカード社が国内に数台だけSSDを持っていたんです。技術検証として使わせてくれないかと依頼してベンチマークをとらせてもらいました。その結果、非常に良い結果が出たのでヒューレットパッカード社にすぐにこれを導入してほしいと伝えました。実際に検証から半年後くらいに製品として発売されたので、すぐに導入しましたね。国内のSSD導入に貢献できたことと、メーカーさんからのサポートを受けて問題を解決できたということで、とても印象に残る開発でした」

まだ世界的にも普及していない、SSDの導入というチャレンジングな選択によって、処理スピードの向上・サーバー負荷の軽減を実現し、携帯ゲームの魅力をより多くの人に届けました。

Grave†Cross(グレイブクロス)・Lunatic∴Raid(ルナティックレイド)の2作によって、創業間もなく関西ゲーム界の雄となった株式会社Razest。それは、携帯ゲームへの挑戦、SSDの導入といった、未知への挑戦によってもたらされました。

失敗を恐れずに果敢にチャレンジする姿勢。そこには「価値の提供」という中田さんの開発哲学が隠されています。CTOとして会社の技術を牽引する中田さんは、これまでどのような想いで開発を進めてきたのでしょうか?


開発の基準はプレイヤーへの価値の提供

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CTOとして中田さんが大切にしているのは「価値の提供」。新しいタイトルを開発する際にも、技術や設備を導入する際にも、プレイヤーにとって価値があるのかどうかを基準に選択するといいます。

「SSDやAWS(アマゾンが提供するクラウド)を導入したときも、それによってプレイヤーの悩みが解消したり、要望に応えることができたり、価値の提供につながるという確信がありました。新しい技術であるとか流行っているだけでは意味がなくて、導入の結果がしっかりとプレイヤーにフィードバックされるような、地に足の着いた開発を心がけています」

そんな中田さんの開発哲学が反映されているのが、開発現場で取り入れられている「コードレビュー」の制度です。



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「コードレビューとは、誰かがコードを書いたら、それを違う人が確認して誤りがないかチェックするというものです。レビューする人はコードを書いた人を尊重し、どれだけ間違いの多いコードでも批判ではなく提案をするように心がけています。レビューをすることでチーム全体の共通認識も自然と深まり、もしも不具合が起こった場合でも、コードを書いた人だけでなく、レビューをした人を含めたチーム責任と感じられるようになっています。そうすることで、レビューする人も真剣に取り組むことができますし、プレイヤーへの価値の提供にもつながると確信しています」

不具合が減少するのはもちろん、プログラマーがのびのびと働ける環境を整えることが、結果的にプレイヤーへの価値提供につながるとのこと。レビューは、オフィスで文化と呼べるほどに成熟しており、株式会社Razestの特徴となっています。

創業以来、価値の提供にこだわり、技術開発や設備の導入・プログラマーのマネジメントまで、株式会社Razestの開発を牽引してきた中田さん。
さまざまなテクノロジーの登場によってゲームの楽しみ方が変化してき現代、中田さんは今後、会社をどのような方向へと導くのでしょうか?最後に、株式会社Razestのこれからについて伺いました。


ゲームの枠に収まらないエンターテイメントを

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▲オフィスに設置された本棚。中田さんが選んだ良質な技術書をはじめ、創造力を掻き立てるさまざまなアイテムが揃う

ファミコンやプレイステーションなど、ゲームを専用機で楽しんでいた時代から、携帯電話、スマートフォン、VR専用ゴーグルなど、テクノロジーの進化にともなって遊び方が変化してきたゲームの世界。そんなゲームを取り巻く環境は、今後も変化し続けると中田さん。

「アメリカでは、Amazon Echo(アマゾンエコー)※という端末が家庭に1台というレベルで人気を集めています。今のところアマゾンエコーはゲームを楽しむデバイスではありませんが、この10年ほどで携帯電話やスマートフォンでゲームが親しまれるようになったように、新しいデバイスやテクノロジーを使ったエンターテイメントとしての楽しみ方は今後も必ず現れます。しかし、Nintendo Switchが人気を集めたように、ゲーム専用機も相変わらず高い人気を誇っています。このように『ゲームを楽しむ選択肢がどんどん増えていく』という状況が今後も続くのではないかと考えています」

※Amazon Echo(アマゾンエコー)
Alexa(アレクサ)という音声認識機能を搭載したスマートスピーカー。声をかけるだけでWebでの注文や家電製品の制御ができる。

ゲームの楽しみ方が多様になっていくからこそ「ゲームとはこうあるべきだ」という固定概念にこだわることなく、プレイする人を喜ばせるエンターテイメントを開発していきたいとのこと。

「今は携帯ゲームを中心に開発していますが、それにこだわる必要はないと思っています。新しい試みとしてボードゲームの開発を行っていますが、それが何であれ一番大切にしたいのは「プレイヤーへの価値の提供」です。ゲームにこだわることなく、人々の生活の中に入り込んでいくエンターテイメントのカタチを今後も模索し続けたいと思います」



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日本初の携帯カードゲームの開発、SSDやAWSの導入といった大胆な判断でゲーム業界を牽引してきた株式会社Razest。

今後、どのようなエンターテイメントで、どのような体験を私たちに届けてくれるのか?
株式会社Razestの動向から今後も目が離せません。

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