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USJは年間1000万人来場!そんな子どもの夢と安全を支える、テーマパークの“制御システムエンジニア”って?[職業編1]

ジェットコースター、観覧車、水しぶきの出るアトラクション、その一つの安全性とコストに気を配りつつ、来場者に驚きと感動を提供するテーマパークにおける技術の仕掛け人。

それが、華やかなテーマパークを縁の下で支えている「制御システムエンジニア」という職業です。パークの新たな魅力を創り、新規イベントやアトラクションの設計など、日々安定稼働を実現するためのエンジニアの技とその想いに迫ります。

パーク内のすべての演出と安全技術を支える、制御システムエンジニアという存在


Photo By masatsu

まずは年間来場者数1000万人以上を誇る「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を例に、制御システムエンジニアの役割を紹介します。

『ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド』

空を飛ぶような新感覚ジェットコースター。座席に腰掛けると足が浮くように設計されており、体を支えるのは腹部の安全バーだけであるため、宙に浮いているような感覚が味わえます。また、座席の耳元にスピーカーが内蔵されており、乗車中に予め設定されている曲のうち1曲を選んで聴くことができます。

[ジェットコースター内の要素]
・チューブリフト:チェーンによって体を地上43メートルの高さまで巻き上げる。
・ファーストドロップ:地上43メートルから59度の落下角度で一気に落下する。
・キャメルバック:「こぶ」と速度でマイナスGをつくり体が浮く。コース内に大小6つ設置。
・ホースシュー:大きく放り出されるような急カーブ。
・ダブルヘリックス:二重の螺旋状のコース。一気に上へとかけ上がり、相当のGがかかる。

以上の各要素を円滑かつアクティブにお客さんに楽しんでもらうために、コースターの加速度装置やブレーキのタイミングを電子制御しているのは、まぎれもなく制御システムエンジニアです。事前に走行速度の計算を行うことはもちろん、安全・強度面でのメンテナンスも行っています。

出典:遊戯施設の設計規則とローラーコースターの安全・快適性評価に関する一つの試み

『ジョーズ(R)』

かつてサメが群がってしまっていた海を冒険するガイド式のアトラクション。もうサメは出現しないと言われた海に突如巨大なサメが出現し、ツアーは大混乱。ボートにはガイドクルーが乗船し、詳しい案内を聞くことができます。

このアトラクションには、船の左右に現れるジョーズが大口を開けて襲うシーンをはじめ、爆発シーンや水面から炎が燃え上がるシーンなど、ストーリーに合わせた恐怖の仕掛けが満載。

それらには、一般的に「オーディオアニマトロニクス」と呼ばれる音(オーディオ)と動作(アニメーション)、電子工学(エレクトロニクス)の3つの要素を掛け合わせた技術が使われています。

襲いかかるサメの動きや、炎・煙などが出現するタイミングは、アトラクション内で流されるBGMや効果音に合わせて、制御システムエンジニアによる電子制御により、すべてがプログラミングされているのです。

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このようにパーク内で次々と感動を生み出すアトラクションは、すべてコンピュータ制御されています。制御システムエンジニアのミッションは、火柱の高さ、水圧の力加減、BGMのタイミング、映画の主人公たちの仕草、そして乗り物の加速力など、プログラミングや制御装置の設計ということになります。

また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの制御システムエンジニアは定期的な会合と情報交換も行い、安全性に関しても日頃から徹底した対応を確立しています。
・テックサミット:年に一回の全世界のユニバーサルパークの技術部が集結
・IAAPA (International Association of Amusement Parks and Attractions):年に1回米国にて

出典:ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの施設開発・運営管理

子どもたちの夢と安全を守る!世界で注目が集まるエンジニアへの期待

アメリカでは、地方自治体の建築指導課に遊戯施設専門のPE(プロフェッショナル・エンジニア)を任用し、毎月あるいは隔月でテーマパークの運行管理体制を調査しています。

さらには公共に奉仕するエンジニアの能力の客観的評価をめざすものとして、1907年に始まった制度で「PE資格」があります。きっかけはワイオミング州で土地所有に関する地図、図面の作成によるトラブルが発生したため、すべてのエンジニアと土地測量技師の登録を義務づける法案が出され、正式な州法として成立。

人々の安全を守るため、エンジニア登録法は他の州にも広がり、現在では全州でほぼ同じ試験方法を採用しています。

ちなみに日本国内はというと、社会インフラや制御装置、その他設備を守る際のソフトウェア面で、制御システムエンジニアの存在が注目されています。特に昨今では経済産業省を中心に、制御システムエンジニアを対象とした実践的なセキュリティ教育などを実施しています。

出典:経済産業省「スマート社会のセキュリティ政策」

ものごとを“可能”にするエンジニア精神を、子どもの教育として

「Everything is possible. Swing the bat! Decide now. Do it now.(チャレンジすることで可能性は広がる。全ては可能になる。失敗を恐れず、自ら決断し行動しよう!)」

以上は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのスローガンです。人生において何より重要なことは、すべては実行可能であると信じることというメッセージは、社会で活躍するエンジニアの仕事すべてにいえることなのではないでしょうか。

その中でも、今回は人々の夢と笑顔であふれる舞台を影で支える「制御システムエンジニア」についてご紹介しました。次にテーマパークに行った際は、そんな貴重な存在を子どもに伝えてみるのも良い教育の一環になるかもしれません。

出典:日本プロフェッショナルエンジニア協会

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