シャイなギークは生き残れない?米国エンジニアの自分売り込み力がスゴい理由|ギーク アメリカ vol.1



一国の政権崩壊のきっかけとまで言われる影響力を持つFacebook。もはや「ダンボールを見ればAmazon」とまで思わせる流通の神Amazon。ミーハーという次元を超えた普遍的な親しみをもつプロダクトを生みだすApple。2000年以降、世界中のライフスタイルをアップデートしてきたのは、このようなアメリカのIT企業です。

こうしたテック系企業の躍進とともに、米国内でその社会的ステータスが劇的に向上した職業があります。それこそエンジニアです。いまやエンジニアは、その人材不足が今をときめくイケてるスタートアップ企業の悩みの種となっており、同時にアメリカでは最もセクシーな職業とも評されているのです。

大事なことなので、もう一度言いますよ。アメリカでは、エンジニアとは"セクシー"なのです。

今回は、超売り手市場のはずのアメリカで、なぜエンジニアが自分自身を売り込む必要があるのか、というのがお題です。「濡れ手に粟」な雰囲気が漂いつつも、実はアメリカのエンジニアは、ディスプレイの前でヘッドフォンをしながら優雅にピザを食べてはいられない事情があるのです。

アメリカIT企業の働く環境とは?

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アメリカIT企業の働く環境と聞くと、オシャレなオフィスで卓球をしたり、敷地内を自転車で移動したり、床に座り込んでリラックスしながら会議をしているような、とても自由なイメージを持つ方が多いでしょう。このようなイメージは、往々にして事実です。

例えば、サンフランシスコ市内から少し離れたメンローパークに本社を構えるFacebookでは、Campusと呼ばれる一つの小洒落た街のごとき敷地内を社員はMacbookを片手に自転車で移動。ベンチを見るやMacbookで作業をし、カフェテリアを見るや、Macbookを片手に打ち合わせをするのです。

また、同じくサンフランシスコ市内に本社があり、ゲームストリーミング配信サービスで今、最もホットなIT企業の一つのTwitchでは、社内にゲームプレイルームがあったり、カフェテリアにアーケードゲームがあったりと非常に遊び心のあるオフィス環境です。

他にも多くのIT企業で無料のカフェテリアや、立ったままデスクワークを可能にする全自動スタンディングデスクを導入するなど、オフィス環境の充実に余念がありません。できる限りオフィスでリラックスしながら、ストレスを感じることなく仕事に集中できる環境作りに、多くの会社が徹底して取り組んでいるのです。

アメリカを見習おうとカジュアルな服装をOKにしたり、バランスボールを置いたりと、オフィス環境への意識が変化しつつある日本のIT企業から見ても、歯ぎしりしたくなる程の充実ぶりです。ここまでオフィス環境を整備する理由を、経営層や人事、あるいは社員に聞くといつも決まった答えが返ってきます。

「エンジニア人材を確保するためだ」と。

至れり尽せりなアメリカIT企業のエンジニア待遇とは?

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各企業は良質なエンジニア人材を少しでも採用出来るように、このようなオフィス環境を充実させ、そもそもオフィスロケーションを都市部の最高の立地に置くといった対応をとっています。では、エンジニア個人に対する直接的な待遇はどういったものなのでしょうか?

新卒エンジニアに年収1,000万!場合によっては2,000万のオファー!!?

これは全くもって誇張表現ではなく、実際によくある事例なのです。無論、極めて優秀な人材に限った話ですが、こういったオファーも躊躇なく出されるという点が今のアメリカでのエンジニア労働市場を物語っています。

もちろん、シリコンバレーやマンハッタンの殺人的に高額な家賃や物価が背景にもありますが、それでもぶっ飛んだオファーである事は間違いありません。さらにさらに、長期休暇取得やWifi完備の無料送迎バス、医療費全額負担など福利厚生面も徹底されています。

が、ここで(怨嗟と共に)一つの疑問が生じます。これほどまでに「蝶よ花よ」と優遇されるエンジニアたちは、なぜ必死に自分を売り込むのでしょうか?

ライバルはインド、イスラエル、世界中からやってくる

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人材不足=競争が緩やかという訳では全くもってありません。むしろその反対で、エンジニアの間では熾烈な競争が繰り広げられています。その証拠に、サンフランシスコのIT企業では毎週のように新しいエンジニアが入社しては、数ヶ月の内に姿を消す事が日常茶飯事。すぐにパフォーマンスを発揮出来ない人材は学歴や経歴に関わらず一瞬でデバッグされてしまいます。

さらに、アメリカでエンジニア職に就くという事は世界中から集いし超エリートエンジニア達としのぎを削る事を意味します。例えば、Facebook本社にあるカフェテリアのメニューには数年前からカレーなどのインド料理が加わっています。これはインド人エンジニアが急増していることの裏付けの一つです。インドだけでなく最近なにかと注目のイスラエルなど、文字通り世界中から優秀なエンジニア達が、職を求めてアメリカにやってきます。つまりアメリカのエンジニアとは、否応なく世界規模の「エンジニア天下一武道界」に放り込まれているわけなのです。

もちろん唯一無二の存在になれる人材は別ですが、強いハングリー精神を持った優秀な人材と戦う事は容易なことではないでしょう。また、この競争を激化させるのが、アメリカIT企業の労働力の流動性です。マイクロソフトやTwitterの大型解雇の例で明らかなように、有能な人材であっても突如として職を失うことはしばしば起こるのです。

ネットワーキングで自らを生かす場所探し

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激しい競争の中で、仮に組織に属していようとも、いつでも自分の能力を発揮させてもらえる場所を確保したいという想い。これこそがエンジニアが自らを売り込む理由です。そのために、彼らはネットワーキング活動を積極的に行いますが、それは解雇や会社の倒産など何かあった時のための備え、という考えのみならず、常によりエキサイティングな仕事を探すためでもあります。

スタートアップ界隈のネットワーキングパーティーに参加すると、そこでは積極的に声を掛けてくるエンジニアが多く見られます。中には、企業に勤めながらもフリーランス活動を行っていて、「ぜひ明日にでもプロダクトの詳しい紹介をしてくれ!」と営業をしてくる積極的なエンジニアも珍しくありません。

Meet upイベントから友人同士で開催されるクローズドなパーティーまで、交流の場は数多く存在し、そこにはいかにもギークなエンジニアではなく熱心に交流を図る快活なエンジニアの姿があります。アメリカのエンジニアはパーティに参加しても、壁際でモジモジしているヒマも、カナッペをつまむヒマも、ましてiPhoneをいじっているヒマもありません。ただただ「営業あるのみ!」なのです。

エンジニアはかくして次世代の働き方を"ぶん獲る"

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日頃からネットワーキングを積極的に行うエンジニアが手にするものは何か?それは、急成長を遂げる新たなスタートアップへのジョインのきっかけや、急な解雇で路頭に迷わない安心感。更には、ネットワーキングで得たコネクションを活用し、企業に属さずにフリーランスとして活動し、さらなる報酬と時間的自由を得る可能性もあります。事実、私の友人にもFacebookやGoogleで務めた後、フリーで気が向いた時に仕事をするといった悠々自適な生活を送るエンジニアもいます。

エンジニア間の競争が厳しくも、優秀な人材への渇望は増す一方のアメリカで、自らの腕を磨く事は当然であり、その上でいかにネットワーキングで自分を売り込み、新たな可能性を作り出していくマインドは、今後ますます重要度が上がっていくはず。

スタートアップを中心に重用され始めた日本のエンジニアの皆さん、これを海を超えた異国の話と思うなかれ。今からネットワーキングの重要性を理解し、自らネットを張り巡らせるべきでしょう。特に、日本人エンジニアの場合英語でのネットワーキングを可能とするだけで、周りのライバルと圧倒的な差が生まれるはず。まずは「ハロー!」から始めることを意識して今日から動いてみては?

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次回のギーク アメリカは現地の新卒エンジニアの雇用事情に関してお届けする予定。超高年収を提示されることもある、前途洋々の極みとも言える、学生エンジニアの生き方とは?米国エンジニアのリアルな情報が読めるのはi:ENGINEERだけ!乞うご期待です!

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