世界の秘境で活躍するエンジニアを尋ねて 一国の未来を変える、男たちの挑戦

どうもライターの5歳 です!

海外で仕事をする人ってすげ〜な〜と日頃から思っています。言葉の壁も、食生活も生活習慣も違う国に行って、仕事をするわけです。海外に行くとトラブルは付き物で、それが旅行なら楽しめると思うんですけど、仕事ですよ? 絶対に大変だと思うんですよね。
今回は、そんな海外で挑戦をしている日本人エンジニアを探してインタビューをすることにしました。

ミャンマーに面白い人がいると聞いたのでgoogleでちょっと探してみましょうか!!

東南アジアの秘境、ミャンマーへ

昔バックパッカーをやっていたから、東南アジアはだいたい行ったことがあるんだよな〜
タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、、、ミャンマーだけいったことないないんだよね〜

10年以上前に僕が旅してたころは、ミャンマーは国境付近しかいけなかったんだよな

ミャンマーって秘境のイメージだったけど、都市部は発展しているな〜

市場もきれい

ネパールにもこういう形の寺院あったな。でもミャンマーの方が光ってるな……

東南アジアおなじみのでっかい涅槃像

ここらへんに日本人の方がいると聞いたのですが……



発見しました!

内山 光さん
yathar CTO & Co-Founder。青森県出身、ミャンマー在住。ミャンマーNo1グルメ・ビューティプラットフォーム「yathar」開発者。https://twitter.com/hikarizm
※取材時は政情不安のため一時帰国中

5歳:内山さんはじめまして〜! ミャンマーって日本にあんまり馴染みのない国だと思うんですが、そもそもなんでミャンマーにいるんですか?

内山 光さん(以下、内山):もともとはGMOインターネットで、10年ほどエンジニアとして働いていたんです。あるとき、東南アジアの市場を視察する機会があって。そのときに、日本で一所懸命IT開発をしていても、この国の人たちの生活にはまったく影響していない。まったく届いてはいないんだなあ、と実感してしまったんです。その経験をきっかけに、若くて体が動くうちにこの国までITの価値を届けなければ、と思いミャンマーで起業しました。

5歳:でもミャンマーが民主化されたのってつい最近で、それまではビジネスにくる場所じゃなかったですよね?

内山:そうなんです。アウンサン・スーチーさんが解放されたのが2010年で、2011年に軍政から民政に移管されたんです。それまで鎖国状態だったミャンマーにどんどん外資が入り、日本の商社やIT企業も進出。2011~2013年頃にバブルが到来して、2017年にAIグルメプラットフォーム「yathar」のミャンマー法人を作りました。僕自身その波にうまく乗っかったところはあります。今はまたクーデターで大変になっていますが……。

5歳:ちなみに今もバブルは終わってないんですか?

内山:六本木の土地の値段と同じくらいの時もありましたよ。現在も都市部の地価は高止まりしているようです。

5歳:もしかして今からでもミャンマーに土地を買ったら、バブルに乗って儲けられるんですかね?

内山:ハイリスク・ハイリターンを狙うならオススメだと思いますよ! あとビジネスの面でもチャンスがあるし、経験も積めると思います。一緒に働いている若いデザイナーの日本人も、「日本で仕事しようと思えばいつでもできるから、若いうちにワケのわからない国でいろいろと吸収したい!」と言っています。

5歳:ハイリスクハイリターン…チャンスのある国ミャンマーかぁ……。
ミャンマーでの暮らしって実際にどんな感じですか? いいところと悪いところをぜひ知りたいんですが。ちなみにご飯は美味しいんですか?

内山:僕にとってはあまり口に合わないかな…。

5歳:そんな予感はしていました……。昔バックパッカーをやっていたときに東南アジアを回ったことがあるんですけど、正直ご飯が美味しかったのってタイくらいだったんですよね。

内山:たしかにタイは美味しいですよね。前提としてミャンマーって、停電が世界で1、2番目くらいに多い国なんです。冷蔵や冷凍があまり機能してこなかったのもあって、今でも伝統的な揚げ物料理がメインなんです。しかも油の質が悪いから、大抵そのせいで観光客はお腹を壊します。

5歳:日本みたいにこまめに油を変えないでしょうからね。

内山:あと水道も全然発達していないので、生水は飲めないどころか、洗濯したら服が汚れます。だからミャンマーでは「服は使い捨て」のつもりで、安いTシャツを買い込んで着倒している人もいますね。

5歳:なるほど、じゃあミャンマーでは白ニットなんか着られないですね。

内山:白は着られないし、しかも一年中夏なので白ニットは無理ですね。仕事していても停電でエアコンがしょっちゅう止まるので、暑さで集中力が削がれて困ります。

5歳:エアコンが切れるのはキツイですけど、IT企業にとって停電が多いってかなり致命的じゃないですか?

内山:これはIT企業あるあるで、まずデスクトップPCは使いません。停電するんで! なので基本はノートパソコンなんですね。停電してもバッテリーが保つ限りは仕事ができる。大きい会社だと発電機をオフィスに備えていますが、安くて質が悪いものを使うと発電機から発火して火災になったりしてカオスです。うちの会社も前に発電機から火が出てボヤ騒ぎになったことがあります。

5歳:停電するから自社で発電して、そしたら出火するってまさにカオスですね。

内山:あとは、街灯や信号機がほとんどなく、みんなタイミングをみて道路を渡るので交通事故が非常に多いんです。そして医療レベルも低いので、ミャンマーで交通事故にあったらかなりの確率で命を落とすと思っておいたほうがいいです。

ミャンマーの経済はまるで「昭和の日本」

5歳:事故ったら死……ここまで「ハイリスク」の話ばかり聞いてきた気がするのですが、良いところはないんですか……?

内山:ちゃんとありますよ! ミャンマーの一番の魅力は、なんといっても“人”です。厳格な仏教国ということもあり、「自己を犠牲にして他者に尽くす」という考え方が根付いているので、みんな優しいし人に奢るのは当たり前。そうすることで徳が積めるらしいです。

5歳:すごくいいですね! ちなみに、一緒にお仕事をされている現地の方はどんな人たちなんですか?

内山:ミャンマーの大学進学率は20%程度なので、そういった人材を採用すると、自然と中流家庭出身の方が多くなりますね。あと職場の2割ほどは少数民族の方です。あとこれもミャンマーあるあるなんですが、ミャンマーには130くらい部族があり、部族間の仲はあまりよくはないですね。

5歳:部族間で衝突が起きるんですね……。

内山:「あの部族だから仲良くできない」とかってこっちでは結構普通にあります。ただ、最近の若い人、主にITで働こうとするようなリベラルな人たちには、あまりそういった差別意識は見られないですよ。そういう人をしっかり見て採用しているところもありますし。

5歳:なるほど、安心しました。あとミャンマーのエンジニアの技術ってどのくらいのレベルなんですか?

内山:ミャンマーのエンジニアは、基本的にオフショア開発に特化している人が多いんです。

5歳:海外から仕事を受けているってことですね。

内山:僕らの展開するグルメアプリ「yathar」の開発や、そこから派生した「yatharTech」というクライアント向けのシステム作りのサービスに関しては、要件さえしっかり決まっていれば、納期を守り問題なくこなしてくれます。ただイレギュラーに対する瞬発力がほとんどないですね。

5歳:それは何が原因なんでしょうか。エンジニアとしてのレベルの問題……?

内山:気になって調べてみたんですが、教育に原因があるのではないか、という結論に行き着きましたね。

5歳:どういうことですか?

内山:ミャンマーって、経済の発展が日本からちょうど50年ほど遅れていると言われているんです。当時の日本を振り返ると、製造業が著しく発展し、製品を海外に輸出することで国が栄えてきた。つまり、国の教育方針が「外資を獲得するため、命令されたことをきちんとこなせるようになりなさい」という方向だったと思うんですよ。

5歳:なるほど……。柔軟性はいらないから、要件と納期をしっかり守りなさいみたいな。

内山:そう考えるとしっくりくるな、と。だから現段階では、最終的な品質チェックの判断とかPMにあたる部分は、まだ任せられる人材が足りないと感じますね。現状、日本人やシンガポール在住の従業員が担当しています。こういった状況も、国が発展することで徐々に変わってくるとは思っています。

自分のスキルが、国全体にインパクトを与えられる喜び

5歳:ミャンマーで仕事をするようになって、考え方が変わったことはありますか?

内山:開発を行うためのツールを導入する際、日本製のものと最先端のものは選ばなくなりました。

5歳:なぜですか? 一見優れたツールのように思えるんですが……。

内山:まず日本製のツールは、基本的にローカライズされていないんです。言語もそうですが、サーバ自体が東京にあることが多いので、アップロードに時間がかかったり回線が途切れてしまったりする。その点、外資製のツールであれば、大抵タイやシンガポールにサーバーがあるため遅延が起こらないんです。運用に悩まないよう、基本的にはグローバルスタンダードな製品を使うようになりました。あと、最先端の技術に関しては、ミャンマーでは使える人がそもそもいないんですよ(苦笑)。

5歳:ミャンマーでサービスを展開されることのやりがいについて、改めて教えてもらえますか?

内山:自分が手を動かしたときに、影響を与えられる人の数が多いことですね。同じサービスを日本や先進国でリリースしたところでインパクトは目に見えていますし、下手をすると自分が歯車になってしまう。これまでミャンマーには、グルメサイトって存在しなかったんです。

5歳:お店を予約するにも、電話を掛けるしかなかったんですね。

内山:そうです。それがいま、私たちのサービスを通して若者たちがこぞってオンライン予約をしたり、クーポン機能を活用したりするようになっています。こうやって一気に文明を変えることが、たった数人の力でできるんです。先進国ではありえないことですよね。

5歳:いままで昭和だったのにいきなり「食べログがやってきた!」みたいな感覚ですもんね。上手くいけば国全体にもインパクトを与えることになりそうです。冒頭でおっしゃていたように、日本にいたら自分の仕事が社会に届く範囲は限られているけど、ミャンマーでは違う。使命感を持って仕事ができるところが魅力なんですね。

内山:はい。日本だったら、別に僕がやる必要がないので……。日本には僕よりもっと優秀な人たちがたくさんいますから、海外に出られる人はどんどん出て、積極的に活動すればいいんじゃないかな、と思うんです。そうすれば、人類のためになるサービスをもっと生み出すことができる。勝手にそう思っています。

5歳:自分の技術や経験が活かせる場所を探すことも大切で、そこに大きな可能性があると。内山さんのような先駆者の言葉はとても心強い! ミャンマーのIT業界の発展を日本から応援しています! 

サバンナと街が隣り合う、ケニアへ。

ミャンマーの内山さんの話、面白かったな〜。
次はアフリカに面白い人がいるって話なのでいってみましょう!

ケニア、ケニア、なんとなく親近感があるケニア

地図で見るとこのあたりは緑色しているな

おお〜ちゃんと街だな

想像していたよりも都会だし、ビルも多い

街の外へ出ると景色が一気に変わって……

これがケニアの普通だとは思わないが、住人が特に驚いている様子もないな

ここらへんに日本人がいると聞いたのですが……
発見しました!!

時田浩司さん
ケニア生まれ、ナイロビ在住。2019年マイクロファイナンス(小規模金融)会社「HAKKI AFRICA」を共同創業。https://twitter.com/KojiTokida_ja

5歳:時田さんはじめまして! 時田さんのTwitterを拝見したんですけど、めちゃくちゃ面白いですね(笑)。

時田浩司さん(以下、時田):ありがとうございます(笑)。

5歳:そもそも生まれがケニアだそうで、それもビックリしました。どんな人生を歩まれてきたんですか?

時田:父親がJICAの専門家だったので、世界各国を転々としてきました。ケニアで生まれて1歳になる頃にはアメリカへ渡り、その後小学校生活はフィリピンと日本で半分くらいずつ過ごして、中学時代はカンボジア。高校でようやく日本へ戻り、日本のスタートアップに就職しました。

5歳:すごいグローバルだったんだ……。またケニアに戻ろうと決めたきっかけは?

時田:とあるベンチャー企業にいた頃、JICAの中小企業海外展開支援事業のプログラムが採択され、年に数回ほどケニアに出張する機会があって。「いずれ新興国で仕事をしてみたい」という漠然とした願望は以前からあったんですが、予想以上にケニアの通信環境が整っていたので、これならWebの仕事ができると確信したんです。

5歳:そうだったんですね。ちなみにですが、停電はどうですか……?

時田:停電は普通にあります。基本的にデスクトップPCは使いません。

5歳:やっぱりそれは常識なんだ(笑)。住まいは首都ナイロビだそうですが、どんなところなんですか? アフリカだしめちゃくちゃ暑そうですよね。

時田:日本で例えるなら、年間を通して夏の軽井沢みたいな気候ですね。

5歳:「夏の軽井沢」! 最高じゃないですか、絶対住みたい。

時田:赤道直下なので日差しは強いんですが、標高が2,000メートルほどあるので涼しくて気持ちいいんです。ナイロビを訪れる日本企業の人たちも、あまりの気候の良さに、そのまま住み着いてしまうケースも多いみたいです。

5歳:予想外でした。実際に仕事を始めてみて、どんな国だと感じましたか?

時田:まず、とにかく「若い国」だなと。アフリカあるあるなんですが、平均年齢が20歳を切っているんです。人口は5,000万人と日本の半分以下ですが、小学生の人数だけみるとケニアのほうが上回っています。だから新しい文化に順応するスピードもとにかく早い。ただ、社会に出てくる若者の受け皿が整っていないんです。東大と同じくらい偏差値の高いナイロビ大学の卒業生でさえも、全然就職ができないと聞きます。

5歳:相当失業率も高いんでしょうね。ただ、逆に考えると、そのぶんビジネスチャンスはたくさん転がっているとも言えそうですね。

時田:そうですね。特にデジタルトランザクション(紙を使わないオンラインまたは電子的な取引)の領域に関しては、需要に対してまだ供給が見合っていない状況です。ケニアではとにかく不正や詐欺事件が横行しているため、デジタルで記録を残せるシステムが日本以上に重要視されているんです。僕のところにも、「こういうシステムを作って欲しい」と相談がよく持ち込まれてきます。

“搾取”しないでビジネスを成功させたい

5歳:時田さんがいま展開されているビジネスについて、詳しく聞かせてください。

時田「HAKKI AFRICA」という会社で、主に配車アプリ(Uber)を介してタクシー運転手をしている人向けに、車を購入するための貸し付け事業を行なっています。信用スコアリングのアルゴリズムの構築ですね。

5歳:すみません、ちょっと難しくてピンとこないんですが……。

時田:ケニアでは、Uberで運転手をしている人の多くが自分の車を持っておらず、お金持ちの人に1日1,000〜1,500円支払って車を借りて商売をしているんです。でもそれって結構割高なんですよ。小型車だったら、2〜3年乗れば元が取れてしまう。

5歳:確かに割高ですね。

時田:ただ、彼らはなかなかローンが組めないんです。仮に支払い能力があったとしても、正規雇用でないと銀行も貸し付けをしてくれない。「じゃあ消費者金融は?」という話になると、金利が年に360%とかなんです。

5歳:リ、リアル『ウシジマくん※』じゃないですか……。
※ウシジマくん…暴利闇金融の経営者である主人公と、客や関係者の様々な人間模様と社会の闇を描いた漫画『闇金ウシジマ君くん』。

時田:まさにウシジマくんの世界です。そうやってローンが組めずに困っている人たちに対して、僕らはUberの履歴とエンペサ、日本でいうPayPayのようなモバイルウォレットの履歴を参照して、返済能力を判断して貸し付けを行なっているんです。最終的には、「この人はこういう傾向があるから、信用して貸し付けが行えそうだ」と判断するための信用のスコアリングシステムの開発を目指しています。

5歳:なんとなく理解できてきました。つまり、ケニアの困っている人たちをめちゃくちゃ幸せにする事業じゃないですか! 業績的にも上がっていきそうですか?

時田:この事業って、資本がある程度必要になってくるビジネスモデルなんです。1台に対してローンを貸し付けるだけで65〜70万円くらいは必要なので、顧客が殺到すればするほど資金の担保が大変になってくる。ただ現状としては投資してくださる方も結構いて、回収率も悪くないので、なんとか回っていきそうな手応えを感じています。

5歳:そうなんですね。いや、本当にすごくいい仕事をされてるな〜。ちゃんと働きたいのに、高利でしかローンを組めずに諦めてきた人たちがたくさんいたと思うので……。時田さん、本当にありがとう。勝手にケニア人の気持ちになってしまいました。

時田:いえ(笑)。新興国でビジネスをする限り、「搾取する」構造には絶対にしたくないと思っているんですよ。ただ反対に、NGOやNPOのように利益を追求しない形で事業や組織を存続させることは、正直難しいとも思っていて。

5歳:なるほど……。

時田:いろいろ悩んだんですが、最終的に、「互いに対等な立場で取引をして利益を得られるシステムを構築して存続させる」という形が一番健全だという結論に至ったんです。実際に「援助慣れ」「援助腐り」みたいなケースも聞きますし、それは誰にとっても幸せではないですから。

途上国ではなく、“新興国”でビジネスチャンスを掴むには?

5歳:ちなみにケニアのエンジニア事情って、どんな感じなんですか?

時田:エンジニアという仕事自体は結構加熱していますね。というのも、Microsoft社やGAFAといった企業がすでに乗り込んできていて、平均月収4万円という国の状況のなかで、40〜50万円くらい余裕で支払っちゃうんですよ。

5歳:バグってるな……。ケニアの平均月収からしても相当高いですけど、日本でもエンジニアを1人雇うのに50万円掛かると言われたら、なかなか厳しいですよね。

時田:そうなんですよ。「ある程度手を動かしてくれればいい」と思って雇用しても、技術を身につけた途端にあっという間に大手の外資に転職されてしまう。だから現状では、ケニアでエンジニアを採用したり教育したりということはまだしていません。立ち上げ期だけ、ケニア人の友人のエンジニアに手伝ってもらった程度ですね。

5歳:そうだったんですね。さっきデジタルトランザクションのビジネスはまだまだ拡大の余地があるとおっしゃっていましたが、ITエンジニアリングの領域でこれから伸びそうなビジネスってあります?

時田:これから必ず波がやってくるのはECビジネスですね。まだどこの企業も正解が出せていない感じがあるので、入り込むならいまがギリ、チャンスかなと。一応外資がメルカリのようなプラットフォームを持ち込んだんですが、特有の国民性が邪魔をしてなかなか根付かないんですよ。何年かかるかはわかりませんが。

5歳:不正や詐欺への警戒心ですか……。

時田:はい。みんな騙され続けて生きているので、相手がどうしても信用できないんです。売り買いをするにあたって「先に商品を送ってください」とか「先にお金を払ってください」という取引が発生しますが、どちらも嫌がるので結局膠着してしまうんです(苦笑)。

5歳:「先にお金払ってよ」「いやいや、先に商品をくださいよ」ってことですよね。たしかに契約が成り立たない(笑)。そんな状況でECビジネスが果たして成り立つのか疑問に思えてくるんですが……。でも国民が若いということは、世代交代とともに価値観もどんどん入れ替わっていくんですかね?

時田:その流れは感じますよ。日本だって、ECの黎明期には詐欺まがいのビジネスも存在しましたし、「インターネットで売買するのは危険だ」と言われていた時代もありました。ケニア人の詐欺に対する不信感は日本とは比べ物にはならないとはいえ、やっぱりECの波には逆らえないと思います。実際にWebサービスもどんどん成長していますから。

5歳:お話を聞いてきて、発展途上国ではまだまだ夢が掴めそうな気がしてきました。これから挑戦してみたいという人たちにアドバイスするとしたら?

時田:日本とは全く異なる経済圏・文化圏でビジネスを始めるのは結構大変なことなので、とりあえず武器をひとつは持って行くといいと思います。あとは自信。「エンジニアとして0→1でシステムを作れます」とか、「フリーランスが長いので、何があっても食いっぱぐれない自信があります」とか。グローバルなライバル起業家たちがいくらでもいるわけですから。あとひとつ。「発展途上国」という表現を使わないという意識も、僕は大切だと思っているんです。

5歳:あ、僕さっき「発展途上国」って言ってましたね。

時田:いわゆる先進国の私たちは、ケニアのように経済的にも文化的にも未成熟な国をつい途上国と表現してしまうんですが、見方によってはすごく上から目線だと思っていて。どんな先進国だって同じように未熟だった歴史があり、途上の時期を乗り越えて今に至るわけです。そう考えれば、「新興国」という表現がしっくりくると感じています。敬意を払うことを忘れずに、技術と経験を武器に乗り込んできてもらえたら、と思いますね。

5歳:言葉の捉え方ひとつで、その国で働く意味合いも変わってくるんですね。改めて考えさせられる内容でした! 時田さん、ありがとうございました!

取材を終えて

今回海外で起業するお2人に話を聞いて、素直にワクワクしました。人生って挑戦したほうが楽しいですよね。でも簡単に「挑戦」といってもチャレンジするには準備と覚悟と思い切りが必要だと思います。僕も次の挑戦に向けてしっかりと爪を研ぎ。飛び出すべきタイミングでジャンプしたい。


撮影:長野竜成
取材+文:5歳
構成、リライト:ハタノトモコ

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