ヒト

プログラミング未経験だった経済学部生が、CoderDojoと出会いITの奥深さに気づけた理由

2011年にアイルランドで始まり、世界69か国・約1200か所で開催されている、子どもを対象としたプログラミング道場「CoderDojo」。日本全国にも、90か所近くの道場が存在しています。

それらは有志のボランティアによって運営されており、メンター(教師)は現職のプログラマーやプログラミングの知識を持った大人たちです。

今回の舞台は、東京・下北沢で開催されている道場「CoderDojo 下北沢(※)」。この会にメンターとして参加されている田中彩月さんにスポットライトを当てます。

現役の大学生であり、普段は経済学部で勉学に励んでいるという彼女。もともとはプログラミングなど書いたこともなかったそう。そんな田中さんの人生が変わった転機は、異国の地での、ある“出会い”にあったのです。

※…コワーキングスペース「下北沢オープンソースCafe」にて、毎週日曜日に開催。

アメリカで働く日本人エンジニアが、田中さんの心を動かした

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――田中さんが、プログラミングを始めたきっかけは何だったんですか?

田中:1年ほど前、学校の授業の一環でアメリカに行く機会があったんです。10日間くらい、アメリカの各企業の働き方を見学して学ぶというものでした。そのカリキュラムの中で、あるIT企業のエンジニアの方とお話しをさせてもらって。

その方はiOSアプリの開発者だったんですけど、なんと日本人で経済学部出身(田中さんも経済学部)。年齢も私と近くて、20代半ばくらいでした。

――田中さんと境遇が近かったんですね。

田中:そうなんです。その方が、開発に携わったアプリを見せてくれました。それが私にとってすごく心が躍る出来事だったんです。アプリって日常的に触れていて親しみのあるものだったので、それを開発されている方と対面できたことに感動して。

また、経済学部出身でもエンジニアになれるというのを知って、「もしかしたら、自分もチャレンジできるかも」と思ったんです。

それで、エンジニアの方に「どうやってプログラミングを勉強したんですか?」とか「プログラミングについて知りたいんですけど、何から始めたらいいですか?」と質問しました。

すると、その方はもともと海外のコワーキングスペースでインターンをしていたらしく、そういう場所に行くことを勧めてくれて。

「日本に下北沢オープンソースCafeというコワーキングスペースがあるから、その運営に携わっている安藤祐介さんに連絡を取ってみるといいよ」と紹介してくれました。

「教える」のではなく、「ともに考える」

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▲CoderDojoはカリキュラムもテキストも、セミナー形式の授業もない。また、子どもに課題を押しつけることもない。「子どもがつくりたいものを、自分のペースでつくる手助けをする」のが、基本コンセプトなのだという。

――その出会いが、CoderDojoを知るきっかけになったと。

田中:そうなんです。その後、安藤さんがCoderDojoのことを私に教えてくれて「来てみたら?」と勧めてくれました。

でも私、最初勘違いしてて、「子どもたちと一緒にプログラミングを勉強するのかな」と思って行ったんです。そしたら、安藤さんから運営のお手伝いを頼まれて「あれっ!?」となって(笑)。

――なんと(笑)! 思っていたのと違ったんですね。

田中:そうなんです(笑)。でも、それはそれで興味が持てたので、メンターとしてお手伝いをするようになりました。

プログラミングは、CoderDojoにいらっしゃる他のメンターの方々に教えてもらったり、動画教育サービスや書籍などを活用して独学したりしながら、徐々に覚えていったんです。

――そうして段々と、メンターの役割を担うようになっていったのですね。ちなみに、子どもたちにプログラミングを教える際には、どのようなことに気をつけていますか?

田中:自分自身まだまだプログラミングがすごく得意なわけではないので、あくまで子どもと同じ目線に立って考えるようにしています。「教える」というよりは「ともに考える」という感じです。

子どもたちが質問してきたら、「どこがわからないの?」「どう考えたの?」と丁寧にコミュニケーションを取ったり、課題が解決したら「すごいじゃん!」と褒めるようにしたり。一方的に教えるんじゃなくて、あくまで「子どもたちが自主的に学ぶことをサポートする」のを心がけています。

一緒に考えて課題を解決できたときは、本当に嬉しいです。だってそれって、CoderDojoでの活動を通じて、子どもたちに成長してもらえた。プログラミングの楽しさを知ってもらえたということですから。

CoderDojoは、人にプラスの影響を与えるコミュニティ

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▲子どもにプログラミングを教える田中さん。真剣な眼差しでソースコードを見つめながら、バグの原因を子どもと一緒になって考えていた。筆者の目にはとても優秀なメンターに映っていたが、「まだまだ修行中の身です」と田中さんは笑う。

――CoderDojoのメンターになってから、田中さん自身は何か変化がありましたか?

田中:「新しい分野に積極的にチャレンジする姿勢」が身につきました。

――それはなぜ?

田中:CoderDojoのメンターの方々や、下北沢オープンソースCafeにいらっしゃる方々は、私には思いもよらないような多種多様なスキルを持っている人たちばかりです。

そういった人たちと日常的にお会いすることで、「わからないことを恥ずかしがってはいけない。私もスキルを身につけるために、色々なものに手を出してみよう!」という気持ちになれたからです。

私はもともと、すごく保守的な性格だったので、こんなに変われたことに自分自身でもびっくりしています。

――たとえば、いま田中さんはどういったことにチャレンジしていますか?

田中:プログラミングはもちろん、Webデザインや3Dドット絵の制作にも取り組んでいます。それから、インターンとしてWebメディアの運営にも携わったりもしていて。そのどれも、本当に楽しいです。自分が成長できている感じがして。

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▲田中さんが制作したという3Dドット絵。モチーフはカーネーション。

――かつて「プログラミング未経験者」だった田中さんが「プログラミング道場のメンター」になり、「さまざまな分野に積極的にチャレンジする人」になった。CoderDojoの活動を通じて、マインドが変わったのですね。最後になりますが、かつての田中さんと同じように、ITやプログラミングに興味を持ち始めたばかりの女性に、何かアドバイスをお願いします。

田中:興味を持ったことはなんでもチャレンジしてほしいですし、ぜひこういったコミュニティにも積極的に参加してほしいと思います。

多種多様な考え方や専門知識を持った方々と会うとすごく勉強になりますし、その人の生き方や仕事への取り組み方などに触れてプラスの影響を受けることがたくさんあります。私自身、CoderDojoに参加するようになってから学ぶことに対するモチベーションがとても上がりました。

こういうコミュニティがあることで、自分とは異なる年齢層や職業、趣味嗜好の方々と出会えます。その出会いが大きな学びになりますし、多くの発見があると思うんです。

もし私が1人でプログラミングを勉強していたら、きっとこんなに自分の世界は広がらなかった。もしかしたら、途中で挫折していたかもしれません。だからこそ、CoderDojoというコミュニティにも、そこで出会った方々にも、心から感謝しています。

取材協力:CoderDojo 下北沢

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