アイアンマンなのにダンボール製!? 3DCG技術でアナログな世界観をつくるダンボールアーティストいわいともひさの今

i:Engineerをご覧の皆さま。はじめまして。ダンボールアーティストのいわいともひさと申します。

2014年までIT系の企業で働いていましたが、在職中にテレビ局とディズニーから相次いでダンボールアートの制作依頼があったことから、一念発起してダンボールアーティストとして独立しました。

ダンボールで作られているアイアンマン
▲全てダンボールで作られている等身大のアイアンマン

独立した2015年は、日本テレビの人気お笑い番組の企画に協力、デジタルクリエイターズでの連載開始、鯖江うるしアワード2015 プロダクト部門で最優秀賞受賞(製品化予定)など、様々なことに挑戦してきました。

鯖江うるしアワード2015授賞式
▲鯖江うるしアワード2015の授賞式の様子

なつめタンブラー
▲鯖江うるしアワード2015 プロダクト部門で最優秀賞を受賞した「なつめタンブラー」

他にも、複数のイベントで登壇、企業の製品開発の監修、等身大ダンボール・アイアンマンの制作などを行っています。

3DCGの技術が存分に活かせる!ダンボールアートをはじめたキッカケ

2013年の4月頃、「ダンボールでアイアンマンを作った人がいる」というニュースをネットで見て、ダンボールアートに興味を持ちました。

ほとんどの人が「すごい!」と思うだけで流してしまいそうなネタですが、私は「自分で作りたい!」と強く思いました

自分で作れたらすごく楽しそうだし、ダンボールなら加工も容易なので自分でも作れそうだと思ったのです。そして、ネットを探しまわってダンボール・アイアンマンの設計図を見つけ、すぐにダウンロードして作ってしまいました。

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▲左端にあるのが初期に制作したダンボール・アイアンマンの頭部

ダンボールアートを始めてからすぐに「ペパクラデザイナー」というソフトのことを知りました。

ペパクラデザイナーとは、3DCGのデータを展開図に変換し、のりしろなどもつけられるペーパークラフトの設計図を作るためのソフトのことです。

ダンボール・アイアンマンの設計図をネットにアップしていた方も、このソフトを使っていました。

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▲3DCGソフトの画面

ダンボールアートに出会った当時、私自身は3DCGはすでに10年以上も趣味として続けていたのでソフトの操作は手慣れたものでした。

だから、長年の趣味だった3DCGの技術を活かすことができ、表現としても新鮮だったダンボールアートの世界に、すぐにハマってしまったのです。

デジタルの表現領域を拡げる!ダンボールアートの魅力

3DCGには制作に時間がかかります。しかし、今は一般の人達でも目が肥えているため、頑張って作ってもなかなか驚いてもらえません。
一方のダンボールアートは間近で見たり、触ったりできることに加えて、目新しさもあって、大きな反応が得られます
それだけでなく、3DCGと比べて短時間で制作が可能なのです。

そうやって作成したダンボール・アイアンマンを初めて友達との飲み会の場で披露すると、場は大盛り上がり!
アイアンマンの頭部をただの置物として作成したのではなく、実際にヘルメットのようにかぶれるようにしたのが良かったみたいです。

ダンボールアートは、パソコンの中でデザインしたものを現実世界でそのまま形にできるという楽しさもあるなど、作り手としては様々な魅力があります。

「ダンボールアート」自体に明確な定義は無く、作り方も人それぞれ。私の場合は、3DCGソフトでデザインし、ペパクラデザイナーで作った展開図を元にダンボールを切り、グルーガンや接着剤などを使って組み立てています。

最初は印刷した展開図を型紙にして、ダンボールをカッターナイフで一つひとつ手作業で切っていましたが、今はレーザーカッターを使ってカットしています。
レーザーカッターは、入力したデータ通りにダンボールを正確に切ってくれますし、手作業では不可能に近い細かな加工も容易にできるという非常に優秀な機械です。

レーザーカッター自体の価格は安価な物だと10万円以下のものがありますが、高額なものは数百万円することも。私が使用しているレーザーカッターは数百万円もする高性能な機械ですが、運良くレーザーカッターを所有している工房が近所にあり、そこにデータを持ち込んでダンボールを切っています。

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▲工房で利用しているレーザーカッター

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▲レーザーカッターでカットしたダンボール

このレーザーカッターによって、ダンボールアートの表現の幅は一気に広がりました。

非常に高性能で優秀な加工機であるレーザーカッターですが、私が使わせて頂いている機種は60cm x 30cmの大きさまでしか切れないのが唯一の難点。

レーザーカッターを利用するためには、この範囲内にパーツを収める必要があり、それが無理な場合は手切りします。
ですが、このレーザーカッターがなければ、短期間で大きな作品を作ることは不可能なので、私のアート作品を作るには必要不可欠な存在です。

ブログが大きな転機に!会社員からダンボールアーティストとして独立

ダンボールアートを始める何年も前から「独立したい!」という気持ちはありました
ですが、私には退職してすぐに生計を立てる術が無く、二の足を踏んでいました。

そんな時、ブログの広告収入で生計を立てている「プロブロガー」という人達の存在を知りました。
ブログのメディアとしての発信力に注目し、独立の足掛かりになれば」と考えて2013年の元旦からブログを始めました。

その翌年、ブログで公開していたダンボールアート作品がディズニーの目にとまり、映画『プレーンズ』のPR用にダンボールアートの制作を依頼されました。

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▲ディズニーからの依頼で制作したダンボールアート

こちらの作品は制作中の1ヶ月間、テレビから密着取材を受け、その模様が情報番組の冒頭特集として放映されました。

また、中京テレビの深夜バラエティ番組『ボイメン★騎士(ナイト)』のMCを務めているダンボールロボの制作をするなど、ブログからダンボールアートの制作依頼を頂けるようになりました。

映画のPRやテレビ番組で使用されるダンボールアートの作成といった経験がきっかけで、ダンボールや紙などの素材の可能性について真剣に考えるようになり、これらの素材は加工も容易で価格も安いため、アイデアがあれば短期間で費用を抑えた製品を作ることができます

リサイクルが可能で、製造・廃棄時の環境負荷が低いという点にも魅力を感じました。そして、私が長年掛けて培った3DCGの技術を活かすこともできたのです。

そんないくつもの条件が揃ったとき、ついに「ダンボールアーティストとして活動しつつ、ダンボールや紙という素材に特化して、製品を制作・販売することを事業にしていこう!」と決意し、独立しました。

2016年、いわい氏が挑むダンボールアートの進化形とは?

現在はダンボールアートだけでなく、「紙」と「ダンボール」に「木」も加え、素材を活かした製品開発を行い、今後の制作の幅を広げています。

そして、今年はいよいよ自身で考えた製品を形にして販売を開始。すでに昨年から複数の企業とコラボレーションしながら準備を進めてきたダンボールアートの進化形に挑みます。

ダンボール・紙・木という異素材を使った新たな製品の企画・制作、イベントでの登壇など今後の展開にご注目いただければと思います!

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いわいともひさ さん
ダンボールアーティスト。
ブログ『IWAIMOTORS BLOG』主宰

2014年12 月に10年間勤務したIT系会社を退職し、ダンボールアーティストとしての活動を開始。映画・テレビ番組向けのダンボールアート制作・企画協力だけでなく、イベントの登壇、メルマガ連載、デザインコンペ入賞など多方面で活躍。2016年より、ダンボール・紙・木を使った製品開発・販売事業の立ち上げに尽力している。

ダンボールアートに興味をお持ちの方はブログで今後の動向にご注目ください。『IWAIMOTORS BLOG

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