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フリーアドレスとは|新時代のオフィス環境導入のメリットとデメリット

派遣業界コラム この記事は約 13 分で読めます。

社員が自分のデスクを持ち、定位置で仕事をする従来のスタイルから離れ、個々が自由にデスクを選べるフリーアドレス制を導入する企業が増えています。

社内のどこでも好きな場所で働けるフリーアドレスになぜ注目が集まっているのでしょうか? そのメリット・デメリットとあわせ、フリーアドレスを導入する際のポイントも紹介します。

フリーアドレスとは

フリーアドレスとは、オフィス内に各社員の固定席を設けず、自由な場所を選べるワークスタイルを指します。

多くの場合では、オフィス内にコンセント付きの大きな机をランダムに並べ、社員が座る席を自由に選べる環境を構築しています。社員はそこから好きな場所を選び、業務にあたります。

書類や文房具などは部署内の個人用キャビネット、あるいは部で共有するキャビネット内に収納しておくケースが多く見られます。

フリーアドレス導入の目的

多くの企業では、職場の活性化を目的としてフリーアドレスを導入しています。固定席を設けないことで、部署の垣根を越えた社員間コミュニケーションが生まれ、新たなコミュニケーションは新たなアイデアを呼び、これまでにない視点からの課題解決や、新規事業の創出に寄与することもあるでしょう。

また、フリーアドレスはマンネリ感の解消にも有効です。固定席での業務は、マンネリ感による生産性の低下を招くことがあります。さらに、フリーアドレスで社員個々が仕事に集中できる場所を選ぶことで、生産性高く業務にあたることもできます。

フリーアドレスがオフィスに導入されている理由

近年、企業がフリーアドレスを導入するようになった背景には、企業を取り巻く環境の変化が挙げられます。

  • インターネット環境の変化
  • 働き方改革
  • クラウド化の影響

テクノロジーの進化、インターネット環境の変化によって、以前は難しかったフリーアドレスを実現できるようになりました。無線LAN環境の構築で、社内のどこでもインターネットにつながる状態を低コストで維持できるようになったためです。

さらに働き方改革もフリーアドレス化に影響しています。働き方改革ではテレワークが推進されており、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年以降では、より多くの企業がテレワークを導入するようになりました。テレワークが始まると、社員の固定席をオフィス内に用意する必要がありません

クラウド化の影響も少なからずあるでしょう。使用するソフトやツールがすべてクラウド化されれば、「オフィスの定位置にあるパソコンでなければできない業務」がなくなります。

スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなど持ち歩けるデバイスと無線LAN、どこからでもアクセスできるクラウド型ソフトの浸透によって、社員を固定席に置く理由がほとんどなくなっているのです。

フリーアドレス導入がおすすめな企業・業種

フリーアドレスに向いているのは、オフィスに常駐する社員が少ない企業です。この場合、個人の固定席を設けないことでオフィスのスペースを有効活用できるようになります。社員全員が同時にオフィスで業務にあたることがなければ、社員全員分のスペースを確保する必要は生じません。

部署間をまたぐ業務やプロジェクトが多い企業も、フリーアドレスに向いています。プロジェクトが進行している間はチームごとにまとまるよう意識したり、新しい企画を生むために異なる部署のエキスパートとアイデアを出しながら業務にあたったりといったように、さまざまな働き方が可能です。

また営業の人員が多い業種、たとえば保険関係の企業や客先に常駐することが多いシステム業などはフリーアドレスに向いているでしょう。

反対に、フリーアドレスが向いていない企業もあります。個人情報や機密情報を取り扱う金融業は、特にフリーアドレスに向いていません。また、経理や人事などのバックオフィス業務を担当する社員は、自分で使用する資料や各種書類を取り出しやすい固定席での業務が向いています。

フリーアドレスのメリット

フリーアドレスの導入によって、企業と従業員双方がメリットを得られます。

経営者や企業は、オフィスの維持にかかる費用を削減できるなど、経営面でのメリットをはじめさまざまな恩恵を受けられます。社員側も、部署間を超えたチーム単位での業務効率の向上、コミュニケーションの活性化などに利点を感じられるでしょう。

経営者・会社目線のメリット

経営者あるいは企業は、フリーアドレスの導入で次のようなメリットを得られます。

  • オフィスにかかるコストの削減
  • ペーパーレスによるコストの削減
  • オフィス内が整理整頓されやすい
  • イノベーションが生まれやすくなる
  • 社員間コミュニケーションが活性化する

フリーアドレスによって、オフィスのスペースを有効活用できるようになります。デスクを減らした結果、オフィス自体を縮小して賃料を低減させられる企業もあるでしょう。

ペーパーレス化によるコストダウンも期待できます。紙の資料では印刷機やトナーなど、ランニングコストの高い機器を必要としますが、電子化すればやりとりはデータのみで完了します。

オフィス内が清潔に保たれるのもメリットでしょう。特定のデスクに資料が山積みになることもありません。また、社員間コミュニケーションの活性化は、社員のモチベーションを向上させるだけでなく、イノベーション創出の機会の増加にもつながります。

コストの削減、クリーンな環境の維持、新たな事業展開の可能性と、フリーアドレスによって企業側は多くのメリットを得られる可能性があるのです。

社員・従業員目線のメリット

社員から見たフリーアドレスのメリットについても見ていきましょう。

  • いつでも新鮮な気持ちで仕事ができる
  • モチベーションを維持・向上できる
  • 他部署の社員にも気軽にコミュニケーションが取れる
  • ハラスメントの防止

社員はいつでも自由に好きな席を選べます。今日は窓際、明日は壁際、今度は中央というように、場所を変えるだけで新鮮な気持ちで仕事にあたれるようになるものです。その結果、業務へのモチベーションを維持・向上できるようになるでしょう。

これまでの固定席では難しかった、他部署の社員とのコミュニケーションが容易になる点も社員にとってはメリットです。部署という壁があることで言いづらかった内容や、自分では知り得ない業務の話、他部署から見た自分の業務についてなど、さまざまな観点からのコミュニケーションを通じて新たな人間関係が生まれるのと同時に、効率的な業務方法を学ぶ機会にもなります。

また、フリーアドレスはハラスメントの防止にも役立ちます。デスクと人間関係が固定された状態では、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、モラルハラスメントなど各種ハラスメントを増長させる可能性があるからです。

常に異なる場所に身を置くことができ、また他部署の社員の目もあるフリーアドレスの場合、これらハラスメントは起こりにくくなるでしょう。

フリーアドレスのデメリット

一方で、フリーアドレスにはデメリットも懸念されます。導入を検討している企業は、事前にフリーアドレスのデメリットを理解し、環境の構築に役立てましょう。

経営者やマネジメント側から見ると、どの社員がどこにいるのかわかりづらい、新たなオフィス家具の導入のための費用がかかるなどのデメリットが考えられます。また、社員側からは「かえって集中できない」という声が上がることもあるのです。

経営者・会社目線のデメリット

経営者・会社側から見た主なデメリットは次の通りです。

  • 社員の居場所がわからずマネジメントしづらい
  • 環境の構築にコストがかかる

部下がどこにいるのかわからない、メンバーが散り散りになり集めるのに苦労するなど、マネジメント上のデメリットが発生する可能性は否めません。用事がある場合はまずチャットツール等で連絡を取り合う、打ち合わせや会議も事前にチャットツールで通達するなどして、時間的コストを削減しましょう

そして企業にとって、フリーアドレスの最大のデメリットはイニシャルコストでしょう。オフィス家具やネットワークの整備、必要なツールの新規導入など、コストのかかる要因は複数あります。これらを一時的なコストと割り切れるのであれば、社員にとってもよい環境を構築できるようにしましょう。

社員・従業員目線のデメリット

社員側から見たデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

  • ワークスペースとコミュニケーションスペースが一体化して集中できない
  • 書類や備品、文房具を持って歩くのが面倒
  • 自分宛の郵便物が届きにくい

フリーアドレスの導入で、社員はあらゆる人とコミュニケーションが取れるようになります。その結果、ワークスペースのいたる場所で雑談が発生し、業務に集中できない社員がでてくることもあります。

また、書類や備品は共有スペースに保管するため、席まで持ち運ばなければならないのもデメリットといえるでしょう。社員それぞれの場所がわかりにくくなることで、自分宛の郵便物が届きにくくなるなどの問題が発生することもあります。

フリーアドレス導入を失敗させないためのポイント

フリーアドレスのデメリットを解消し導入を成功に導くために、事前準備は念入りに行いましょう。主に気をつけたいのは次の3つのポイントです。

  • 運用を維持する仕組みづくり
  • 環境の整備
  • ITツールなどの導入

まずはフリーアドレス導入後に、よい状態をいかに維持していくか。オペレーションを整理して、仕組みとして落とし込みます。働きやすく継続しやすい環境の整備や、必要なITツールの選定・導入を進めましょう。

運用を維持する仕組みづくり

フリーアドレスを成功させるために、まずはスムーズな運用をかなえる仕組み作りを行いましょう。フリーアドレスでは、従来と異なるルールやガイドライン、設備、システムなどが必要です。

特にルールがあいまいなままでは、フリーアドレスを実施しても社員それぞれがうまく制度を活用できずに失敗する可能性が高まるため、ルールの整備と同時に社内に共有・浸透させる必要があります。

具体的には、部署の共用スペースとその使い方、個人の荷物の置き場所や飲食のスペースなどを明確にしておくことなどは最低限のルールとして決めておきましょう。

環境の整備

フリーアドレスの円滑な導入と運用のために、環境の整備も欠かせません。デスクトップPCをノートPCに変える、固定電話をやめ社員それぞれにスマートフォンを支給するなどの対策が必要です。

また、社員それぞれが作業に集中できるように、個人が集中できるスペースをつくりましょう。それと同時に、社員同士がコミュニケーションを取るための専用スペースも設けるといいでしょう。

ITツールなどの導入

どこにいても業務を進められるよう、各種ITツールも導入しましょう。

  • 勤怠管理ツール
  • コミュニケーションツール
  • 座席管理ツール

社員の出社と退勤を管理できる勤怠管理ツールは必須でしょう。Webアプリやスマートフォンアプリで打刻できるシステムを導入すれば、フリーアドレスでも効率的に社員の出勤・退勤を管理できます。

コミュニケーションツールも欠かせません。チャットツールやWeb会議システムを用いて、社員それぞれがどこにいても情報を共有できる環境をつくりましょう。

座席管理ツールは、社員の場所を把握するのに役立ちます。座席の予約やスペースの予約もできるので、社員側にもメリットの大きいツールです。

フリーアドレスの導入方法・流れ

フリーアドレスの一般的な導入方法と導入の流れについて説明します。

  1. 導入スタイルや目的を設定
  2. 試験導入
  3. ルールを作成
  4. 全社導入

目的があいまいなままにフリーアドレスを導入すると、環境を持続できません。目的が定まったら、社員がストレスなくフリーアドレスになじめるよう試験的に導入します。

試験導入の結果を踏まえてルールを作成し、ルールやガイドラインを社員に共有して浸透させ、最終的に全社に導入します。

1.導入スタイルや目的を設定

まずはフリーアドレス導入の目的を設定しましょう。フリーアドレスの導入で最終的に何を得たいのかを明確にし、運用スタイルや適用の範囲を定めます。

  • オフィススペースの最適化を図りたい
  • 部署を超えた柔軟なチームを作りたい
  • 社員のコミュニケーションを活性化させたい

このように、企業によってフリーアドレス導入の目的は異なるものです。

導入スタイルも検討しましょう。まずはフリーアドレスに適している営業等の部署からはじめ、最終的に全社でフリーアドレスを実施するのか、バックオフィスは固定席のままにするのかなどを検討します。

あわせて、フリーアドレスによって生じる課題の洗い出しも行いましょう。課題に対する対策も同時に検討することで、導入後のトラブルを防止し、万が一トラブルが発生した際にも迅速に対応できます。

さらに、社員に対しフリーアドレスに関する意識調査を行います。経営陣との意識の剥離がないか確かめ、意識に違いがある場合は合意形成に努めます。

2.試験導入

はじめから全社にフリーアドレスを導入するのは現実的ではありません。社員がストレスなくフリーアドレスに適応できるよう、フリーアドレスに対応しやすい部署からテスト的に導入することをおすすめします。

試験導入中には、想定していたものとは異なるトラブルが発生することがままあります。課題が出たらすぐに解決策を探り、実行に移してみましょう。

3.ルールを作成

試験導入時に得た情報をもとに、ルールを策定します。その際には、試験導入に協力した部署の社員から、意見を聞くといいでしょう。

特に、業務における細かな不満は現場の社員にしかわからないものです。社員からの忌憚のない意見を聞けるように、次のように項目を定めて質問してみましょう。

  • 不便だったこと
  • 良かったこと
  • 業務中に気になったこと

その他、フリーアドレスのために導入したITツール等に不備がないか、想定通りに利用しているかを確認します。セキュリティリスクを低減するルールの策定も重要です。データの取り扱い方、ツールのID管理に関するルールも策定します。

4.全社導入

試験導入を経てルールを策定できたら、全社導入に向けて準備を進めます。

空間設計、設備の整備、社員への説明やマニュアル作成を進め、社員に通知したうえで全社導入に踏み切りましょう。導入後にも定期的にアンケートを実施して、社員が働きやすい環境の維持に努める必要があります。

テクノロジーの進化やオフィスのあり方の変化、トレンドの変化によって、フリーアドレス対応のオフィスにこれまでとは異なる利用方法が登場する可能性もあります。重要なのは、柔軟性の高い環境を構築することです。空間作りにはオフィスデザイナーの手を、ITインフラの構築にはエンジニアの力を借りて、将来を見据えた環境づくりを行いましょう。

フリーアドレスは急激に変化する「オフィスのあり方」の選択肢のひとつ

働き方改革やテレワークの推進、IT技術の進化によって、オフィスのあり方は急激に変化しています。時代に即した、社員が働きやすい環境の構築を目指すのなら、フリーアドレスも検討の俎上に載せられるでしょう。

フリーアドレスを導入する際は、なぜフリーアドレスを選択するのか、その目的を明確にしたうえで計画を進めることが大切です。経営陣だけでなく、社員の意見も取り入れながら、よりよい職場環境の構築に努めましょう。

まとめ
  • フリーアドレスとは、オフィス内に各社員の固定席を設けず、自由な場所を選べるワークスタイル
  • 多くの企業では、職場の活性化を目的としてフリーアドレスを導入している
  • フリーアドレスが広がっている背景は「インターネット環境の変化」「働き方改革」「クラウド化」
  • フリーアドレスに向いているのは、オフィスに常駐する社員が少ない企業や、部署間をまたぐプロジェクトが多い企業
  • オフィスの維持にかかる費用を削減できるなど、経営面でのさまざまなメリットがある
  • 社員側も、部署間を超えたチーム単位での業務効率の向上、コミュニケーションの活性化などに利点を感じられる
  • フリーアドレスを維持する仕組みづくりや環境整備、各種ITツールの導入が必要

 

 

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