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ダイバーシティとは何を意味する? 厚生労働省・経済産業省・企業の取組事例

派遣業界コラム この記事は約 10 分で読めます。

近年、経営者や人事担当者をはじめとするビジネスパーソンから注目を集めている「ダイバーシティ」とは、人々の多様性を活かした企業経営への取り組みを意味する言葉です。この取り組みが日本企業の抱える人材不足問題の解決につながるとされています。

この記事では、ダイバーシティに関する基本情報と企業の取り組みの事例を紹介します。

ダイバーシティとは

近年のトレンドワードともいえる「ダイバーシティ」とは、どのようなものなのでしょうか? 意味や語源、ビジネスシーンとのかかわりから紐解いていきます。

ダイバーシティの語源と意味

ダイバーシティを英語で表記すると「diversity」。これはラテン語の「di:バラバラに+verse:向きを変える(英語のturnと同意)」が語源です。

形や性質がさまざまであることを意味し、日本では多くの場合「多様性」と訳されます

ダイバーシティの目的とビジネスシーンとのかかわり

ビジネスシーンでは「人々の多様性を認め、さまざまな人材を採用・活用する」という概念を表す際に、ダイバーシティの言葉が用いられます。

ダイバーシティの歴史は意外と古く、性別や人種差別をなくすためにアメリカで活発化した公民権運動に端を発します。これを受けて1964年に公民権法が発令され、現在では性別や人種だけにとどまらず、差別を撤廃し多様性を尊重する動きが世界中で見られるようになっています。

  • 国籍
  • 年齢
  • 障がいの有無
  • 性的指向
  • 宗教
  • 価値観
  • キャリア
  • 経験
  • ライフスタイル

このように、外見のみならず内面的な違いも多様性として認識されるようになり、日本においてもダイバーシティをビジネスに活かす企業も増えてきているのです。

厚生労働省が推進するダイバーシティ&インクルージョンとは

「インクルージョン(inclusion)」は、「包括・包含・一体性」といった意味をもつ言葉です。ビジネスシーンでは、企業に属するすべての従業員が国籍や性別などの違いにとらわれず、お互いの経験や能力、考え方などを尊重して、活かし合っている状態を表します。

  • ダイバーシティ:人材の多様性を認め、活用する考え方
  • インクルージョン:個人を尊重し、効果的に活かし合う考え方

両者を組み合わせた考え方が「ダイバーシティ&インクルージョン」であり、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)は提言・報告書「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」にて基本的な考え方を定義しており、厚生労働省が管轄する「職場におけるダイバーシティ推進事業報告書」でも触れられています。

「ダイバーシティ・インクルージョン」とは、多様性を受け入れ企業の活力とする考え方である。

企業の組織活性化、イノベーションの促進、競争力の向上に向けて、まずは女性、若者や高齢者、LGBT、外国人、障がい者等、あらゆる人材を組織に迎え入れる「ダイバーシティ」が求められる。

その上で、あらゆる人材がその能力を最大限発揮でき、やりがいを感じられるようにする包摂、「インクルージョン」が求められる。

ダイバーシティとインクルージョンの双方があいまって、企業活動の活力向上を図ることができる。

また、ダイバーシティ・インクルージョンの実現は、全ての従業員が自己実現に向けて精力的に働くことのできる環境を生み、従業員一人ひとりの QOL の向上にもつながっていく。

引用元:厚生労働省委託事業「職場におけるダイバーシティ推進事業報告書」

ダイバーシティ&インクルージョンの推進が、人材不足に悩む日本企業の理想的な組織作りに一役買うことは間違いないでしょう。

インクルージョンは社会的排除に対抗する概念として生まれた

インクルージョンの起源は、1970年代にさかのぼります。当時のフランスは、硬直化した格差から多くの人が社会的に排除されており、この状態は「ソーシャルエクスクルージョン(社会的排除)」と呼ばれました。

しかし1980年代に入ると、ヨーロッパ全体での偏見や差別による若者の失業を背景に「どんな人も社会の一員として包み込み、支え合う」という「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」の理念が提唱されます。これがインクルージョンの考え方の起源です。

その後、障がいの有無で線引きをしない教育にインクルージョンの考え方が活用され、やがてビジネスシーンでも活かされるようになりました

日本でなぜダイバーシティが急務とされているのか

注目されているダイバーシティ。その取り組みは、今後の日本企業にとって必要性の高いものとされています。なぜダイバーシティの推進が急務なのか。その理由には、日本社会が直面している下記の3つの課題があります。

  • 少子高齢化による生産年齢人口の減少
  • グローバル化
  • 働き方の多様化

少子高齢化による生産年齢人口の減少

日本の少子高齢化は急速に進んでおり、総人口は2008年をピークに減少しています。

総務省が発表した「平成30年版 情報通信白書・人口減少の現状」によると、2017年時点の15歳から64歳の生産年齢人口は7,596万人(総人口の60%)です。それが2040年には5,978万人(総人口の53.9%)まで減少すると推計されています。

年々企業が求める人材が不足していくため、女性や高齢者など多様な人材を活用するダイバーシティの推進の意義は大きくなっているのです。

グローバル化

ビジネスのグローバル化に従い、日本企業が業務拡大を推進するにあたって、ダイバーシティへの取り組みは重要になります。さまざまな文化的背景や価値観をもつ人材を確保し活かすことは、多様な顧客との取り組みを可能にします。

働き方の多様化

近年では、年功賃金や終身雇用といった日本的雇用慣行が当たり前のものではなくなってきています。特に若年層は、雇用に対する意識や価値観が変わってきています。

  • 「キャリアアップのための転職」も選択肢にある
  • 仕事と家庭の両立のためにパート勤務を希望する
  • 自己の能力を活かせるフリーランスになりたい

このように働き方が多様化しているため、企業側もモチベーションの向上やニーズに応えることが急務となっています。

省庁が取り組むダイバーシティ経営の推進

省庁が「ダイバーシティ経営(ダイバーシティマネジメント)」を推進するために、どのような取り組みをしているのか解説します。

【厚生労働省】女性活躍推進法の改正と認定制度

女性活躍推進法は、働くことを希望する女性が活躍できる社会づくりをめざして作られた法律です。

この女性活躍推進法によって、労働者301人以上の企業は、女性活躍に関わる状況を把握して、事業主行動計画の策定や届け出をおこない、女性の活躍にまつわる情報を公表するよう義務づけられていました。

さらに、女性活躍推進法の一部を改正する法律が2019年に成立・公布されています。

【改正ポイント】

  • 事業主行動計画の策定・届出、情報公表の義務対象が301人以上から101人以上の事業主に拡大(施行は公布後3年以内の政令で定める日)
  • 労働者301人以上の企業に対して情報公表の項目追加(施行は公布後1年以内の政令で定める日)

また、女性の活躍推進に対する取り組みが優良な企業が受けていた「えるぼし」認定よりも水準の高い特例認定制度「プラチナえるぼし」が2020年に創設されました。

【経済産業省】女性を含む多様な人材の確保

経済産業省では、女性を含む多様な人材の確保を推進するにあたり、ダイバーシティ経営の先行事例を発信する以下のような取り組みをおこなっています。

  • 「新・ダイバーシティ経営企業100選」の選定・表彰(ダイバーシティ推進を経営成果に結びつけている企業を選定して表彰する)
  • 「なでしこ銘柄」の選定・発表(優良な女性活躍推進をおこなう上場企業を選定して発表する)
  • 幹部候補の女性を対象とする「リーダー育成事業」の推進
  • 「ダイバーシティ2.0」検討会の提言を取りまとめた「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」の策定

ダイバーシティ2.0とは

「ダイバーシティ2.0」は、多様な人材を活かし、それぞれの能力を最大限に引き出して付加価値を生み出し続ける全社的な企業経営の取り組みを指すものです。

2016年8月に 「ダイバーシティ2.0」 検討会が立ち上がり、2017年3月にダイバーシティ経営を実践する企業のための「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」が作成されました。2018年4月には検討会が再開され、同年6月に改訂版が公表されています。

特に重要なポイントとして、以下の4点が言及されています。

ポイント1 中長期的・継続的な実施と、経営陣によるコミットメント

ポイント2 組織経営上の様々な取組と連動した「全社的」な実行と「体制」の整備

ポイント3 企業の経営改革を促す外部ステークホルダーとの関わり(対話・開示等)

ポイント4 女性活躍の推進とともに、国籍・年齢・キャリア等の様々な多様性の確保

引用元:経済産業省「ダイバーシティ 2.0 行動ガイドライン」

ダイバーシティ推進企業の取り組み

前述の通り、経済産業省ではダイバーシティ推進を経営成果に結びつけている企業を選定して「新・ダイバーシティ経営企業100選」として表彰し、より先進的な取り組みを展開する企業を「100選プライム」に選定しています。

令和2年度には「新・ダイバーシティ経営企業100選」に14社、「100選プライム」に2社が新たに選定されました。各社の具体的な取り組みを見ていきましょう。

【100選プライム】日本ユニシス株式会社の取り組み

ITサービスを展開する「日本ユニシス」は、「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」と自社の存在意義をあらためて定義。下記のような取り組みが評価され「100選プライム」に選定され、同時に「準なでしこ銘柄」としても表彰されています。

  • 多様なステークホルダーとのコラボレーションに由来するビジネスが拡大、社会課題の解決に向けたDX 領域など成長ビジネスにおける増益を達成
  • 従業員のイノベーション意識や、自主参加型プログラムへの参加者数の向上
  • 「女性管理職比率10%以上」の目標を前倒しで達成
  • 「女性のエンパワーメント原則」(WEPs)に署名、ジェンダー平等への取り組み強化

【新・ダイバーシティ経営企業100選】株式会社熊谷組の取り組み

大手ゼネコン「熊谷組」では、人材の多様性を尊重し、働き方改革を推進する下記のような取り組みが評価され、「新・ダイバーシティ経営企業100選」に表彰されました。

  • すべての社員が活躍できる企業に向けての、全社的なダイバーシティ推進体制を構築
  • 長時間労働の是正と、生産性の向上を実現する、働き方改革の推進
  • 人材の多様性を尊重し、活躍を促すための風土改革および管理職における意識改革の推進

【新・ダイバーシティ経営企業100選】エーザイ株式会社の取り組み

大手製薬会社「エーザイ株式会社」は、企業理念を「ヒューマン・ヘルスケア理念」と集約し、理念実現に向けてダイバーシティ&インクルージョンを推進。下記のような取り組みが評価され、「新・ダイバーシティ経営企業100選」に表彰されました。

  • 性別や国籍を問わない、多様なメンバーの活躍を推進する環境整備、および意識改革
  • 働き方改革の推進
  • 国を超えた「グローバルリーダー育成プログラム」の継続実施

ダイバーシティ推進の課題

ダイバーシティは人材不足の解消に役立つだけではなく、一人ひとりが個性や魅力を発揮することによって、企業の発展や活性化にもつながるものです。労働者のデメリットになっている働き方の常識を変えられることから、ダイバーシティの推進は労働者にとっても大いにメリットのある取り組みとなるでしょう。

ただし、入念な準備もなくダイバーシティ経営を推し進めることは、コミュニケーション障害やチームワークの低下を招きかねません。経営トップが経営理念や目標をしっかりと示し、従業員と一丸になって取り組むことが大切です。

まとめ

  • ダイバーシティの意味は「多様性」
  • ダイバーシティ経営とは、人材の多様性を認めて尊重し、活用する企業経営のこと
  • 少子高齢化やグローバル化、働き方の多様化にとって、ダイバーシティへの取り組みは急務とされている
  • 民間企業のみならず厚生労働省や経済産業省などの省庁をあげてダイバーシティの推進をおこなっている

 

 

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