どんな仕事?花形なのによく知らない自動車メーカーの「デザイン部」
一般的に乗用車はおおよそ2年から3年、商用車は10年でフルモデルチェンジし、デザインががらりと変わります。
またデザインにはトレンドがあります。
例えばヘッドライトが鋭くなったり、少しレトロなデザインであったり、その年々によってそれは変わっていきます。
そんな時代のトレンドを読み、時代にマッチした車のデザインを最初に考えるのがデザイン部の仕事です。
今回はそんなデザイン部のお仕事についてご紹介しましょう。
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知られざる花形部署!デザイン部の仕事内容に迫る!
皆さんが車を購入する時に重視するポイントは何ですか?
メーカーでしょうか?それとも車種でしょうか?はたまた車の性能でしょうか?
恐らく大きな判断基準となるのが「見た目のよさ」だと思います。
デザイン部は設計の前段階で、この自動車全体のデザインを決める、いわば花形部署です。
しかし、自動車に使われている数万点の部品全てのデザインをしているわけではなく、目に見える外観部分(意匠面)をデザインするのがデザイン部の仕事です。
また自動車の外観部品の色味や、エンブレムの位置などもデザイン部が決めます。
知っておこう!設計者とデザイナーの仕事の住み分け
「設計者になると部品の形状などを自由に考え、作れるのではないか?」そんなイメージを持っている人は少なくないでしょう。
確かに設計者は性能やレイアウトを見ながら部品の形状を決められます。
しかし、それは外側から見えない部分にある部品などの場合であって、ボンネットやドア、ラジエータグリル、ヘッドライトなどいわゆる車のかっこよさを決める意匠面については、自由に形状を決めることはできません。
自動車のデザイナー(カーデザイナー)がデザインした自動車の意匠面をできるだけ崩さないように、設計者が耐久性など自動車の性能を満足させる部品の構造を設計していきます。
デザイナーのデザインした意匠面を最大限保ちながら、求められている性能をいかに満足させた部品を作るか、それが設計の仕事であり、設計者とデザイナーの仕事の住み分けなのです。
自動車のデザイナーとカラーデザイナーは別物?
もうひとつ「自動車のデザイナー(カーデザイナー)」と「カラーデザイナー」という似て非なる職種があります。
この2つにはどんな違いがあるのでしょうか?
自動車業界におけるカラーデザイナーとは、デザイナーが考えた案をもとに外装のカラーや内装に使用される革や布の色、素材をデザインする仕事です。
有名なところでは2000年トヨタ自動車に入社し、セルシオやクラウンなどのカーデザインを手がけた居垣富実子(いがきふみこ)さんがいます。
環境車(エコカー)として従来のクルマに技術革新をもたらしてきたプリウスシリーズの最新版「新型プリウス」も彼女が担当しました。
企画性やコンセプトを持って企画し、ディーラーやユーザーの意見を聞いて、最終的に車両へと反映させるのがカラーデザイナーの付加価値です。
燃料電池車の参入に大きく影響を与えたハイブリット車のイメージは、カラーデザイナーによる力が大きいでしょう。
また、自動車のデジタル化に伴いUXデザイナーという職種も現れてきており、スマホと同じようにユーザーの心地よさを機能的に設計する担当者も存在します。
いずれにしろ、世界的な社会現象ともなったクルマのデザインを手がけるやり甲斐とプレッシャーは相当なものだと想像されます。
自動車のデザイナーになるには?
設計部に入るには機械系や電気系など理系学部を卒業していたり、過去に理系会社で働いていた実績が必要になります。
では自動車のデザイナーになるにはどうすればいいのでしょうか?
一般的にはデザイン関連の大学や専門学校で工業デザインを学んだ人、もしくは工業デザインの会社で働いた実績のある人しか自動車デザイナーに応募できません。
隠れた花形であるが故に非常に狭き門だと言えるでしょう。
しかし中には例外もあります。
それは一度設計部に入ってからデザイナーに転属希望を出すという方法です。
また、某外資系の自動車メーカーなどではデザイン経験がなくてもデザイナーになれる場合もあるようです。
デザイン部の仕事を知っておこう
デザイン部は隠れた花形部署であり、同時に秘匿部署でもあります。
そのためデザイン部での仕事内容についてはあまり知られていません。
しかし、高等学校卒業後、TCA自動車デザイン科(東京コミュニケーションアート専門学校)などで基礎を学び、デザイン部を目指すこともできます。
現在、デジタル化が進み自動車のCGモデラーを目指す方も少なくありません。
もし、こういったデザイン部の仕事に少しでも興味があれば、採用希望を出す前にぜひこの記事でデザイン部の仕事内容や、設計との仕事の住み分けについて少しでも認識しておくべきです。
未来のカーデザインは、いつの時代も若者たちの手によって作られます。
ひょっとしたら、これを読んでいるあなたが当事者になっているかもしれません。