「Office 365」導入のメリットはどんなもの?Office製品にもクラウド化・サブスクリプション化の波
近年、様々なアプリケーションやサービスに、クラウド&サブスクリプションモデルが浸透してきています。
プライベートで利用する人が多い、音楽・動画配信サービスはその代表例。
サブスクリプションモデルで運営するレストランも登場しました。
ビジネスの現場でもその状況は変わりません。
会社のインフラの1つといっても過言ではない、「Word」や「Excel」といったマイクロソフト社のOffice製品も、「Office 365」という形でクラウド&サブスクリプションモデルで提供されています。
今回は買切り&オンプレミス型の最新版「Office 2019」と比較しながら、「Office 365」導入のメリットに迫ります。
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「Office 365」とはどんなサービス?
「Office 365」とは、「クラウド」「サブスクリプションモデル」で展開されるOffice製品の総称です。
パッケージ購入や独自サーバーが不要で、期間単位で課金されるOffice製品と考えるのがいいでしょう。
2019年1月現在では、個人・家庭向けの「Office 365 Solo」、法人向けの「Office 365 Business」「Office 365 Business Premium」「Office 365 Business Essentials」が主なラインアップ。
「Office 365 Business Essentials」以外であれば、「Word」「Excel」「PowerPoint」といった、仕事に必須となるアプリケーションを利用できます。
■「Office 365 Solo」の主な機能
利用できるアプリケーション・サービス | |
アプリケーション |
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サービス |
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■「Office 365 Business」の主な機能
利用できるアプリケーション・サービス | |
アプリケーション |
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サービス |
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■「Office 365 Business Premium」の主な機能
利用できるアプリケーション・サービス | |
アプリケーション |
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サービス |
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■「Office 365 Business Essential」の主な機能
利用できるアプリケーション・サービス | |
アプリケーション | アプリケーションは利用不可 |
サービス |
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※2019年1月現在
「Office 365 Business Essential」以外のプランに共通して、「PowerPoint」「Access」というビジネス用途が多いアプリケーションが含まれる点、法人向けプランが充実している点を考えると、「Office 365」はビジネスでの活用に向いていると考えてもいいかもしれません。
「Office 365」を導入するメリット
現在、ほとんどの企業で「Word」や「Excel」、「PowerPoint」といったOffice製品が利用されています。
つまり、企業の情報システム部門で働く場合、社員が使うOffice製品の管理も任されるケースが少なくないということ。
買切り&オンプレミス型のOffice製品から、「Office 365」への乗換えを検討しなければならなかったり、「Office 365」の効率的な運用の提案を求められたりすることがあるかもしれません。
そこで続いては、買切り&オンプレミス型の最新版である「Office 2019」と比較しながら、「Office 365」の代表的な導入メリットを紹介します(比較対象はボリュームライセンス型の「Office Professional Plus 2019」とします)。
導入時の初期費用を大幅に抑えられる
買切り&オンプレミス型のOffice製品を導入するには、最低でも1ライセンスあたり数万円の初期投資が必要となります。
つまり、社員が100人いる企業では、導入に数百万円以上のコストが確実にかかるということ。
一方、「Office 365」は、サーバー構築・連携等の費用はかかるもののアプリケーションやサービスの利用料金は、「Office 365 Business」で年間900円(税抜き)、「Office 365 Business Premium」で年間1,360円(税抜き)。
社員が100人いたとしても、アプリケーション、サービス利用においては、10万円前後の初期投資で済むことになります。
様々なデバイスで5台同時利用が可能
「Office 365」に付随する「Word」や「Excel」などのアプリケーションは、WindowsのPCはもとよりMac、スマートフォン、タブレットにインストールできます。
しかも、1ユーザーあたり、デバイスを横断して5台まで同時に使用可能。
営業社員に、オフィス作業用のデスクトップPC、外出時用のノートPCとスマートフォンといった形で複数のデバイスを貸与していたり、働き方改革の一環としてテレワークを推進していたりする企業には、メリットの大きなシステムといえるでしょう。
ちなみに買切り&オンプレミス型の「Office Professional Plus 2019」でアプリケーションをインストールできるのは、1ライセンスあたりWindows PCもしくはMac1台となっています。
常に最新の機能とセキュリティが提供される
「Office 365」で利用できるアプリケーション、サービスは、メジャーなアップグレードを含めて、常に最新のものが提供されます。
買切り&オンプレミス型のOffice製品は、小さなアップデートには対応するものの、「Office 2013」から「Office 2016」のようなアップグレードには自動対応できません。
さらに重要なのは、セキュリティも常に最新の状態で維持されるということ。
買切り&オンプレミス型の場合、マイクロソフト社のサポート期間が終了すると、セキュリティホールが放置されてしまう可能性があります。
情報漏洩、不正アクセスは企業にとって大きなリスク。
セキュリティ面での安心感は、運用者にとっては非常に大きな利点といえます。
オンラインストレージの「OneDrive」の容量が1TBになる
「Office 365」を利用すると、オンラインストレージである「OneDrive」に、1ユーザーあたり1TBの領域が提供されます(「OneDrive for Business」として)。
スマホやタブレットから、オフィスで作成したファイルを編集したり、大容量ファイルを保存したりすることも気軽にできるようになるため、場所を問わない働き方が実現しやすくなるはずです。
「Office Professional Plus 2019」を導入している環境でマイクロソフト社が提供するオンラインストレージを利用する場合は、「OneDrive」にMicrosoftアカウントでログインするという形式をとるのが一般的です。
この場合、利用できる容量は5GBとなります。
多彩なビジネス向けツールが利用可能になる
「Office 365」の中でも、「Office 365 Business Premium」、「Office 365 Business Essentials」を導入すると、様々なビジネス向けのツールを利用できるようになります。
ファイル共有アプリケーションの「SharePoint」、コミュニケーションツールの「Teams」、社内SNSツールの「Yammer」がその代表例。
上手に使えば、コミュニケーションの活性化によって、業務効率化、生産性向上が期待できるかもしれません。
「Office 365」を導入するデメリット
「Office 365」にもデメリットは存在します。
第一に長期にわたる継続利用によって、買切り&オンプレミス型よりもコスト高になってしまうケースがあること。
期間単位で料金が発生するため、利用期間が長くなるほどコストがかさんでいくのです。
とはいえ、運用コストがかからないからといって、買切り&オンプレミス型のOffice製品を永久に利用するわけにはいきません。
新バージョンの発売やサポート期間の終了を理由に、一定期間ごとに全面的なグレードアップを強いられるのが通常です。
そしてこのとき、高額な初期投資が発生します。
コスト面でのメリット・デメリットは、運用期間を含めて総合的に判断する必要があります。
もう1つしいてデメリットを挙げるならば、旧バージョンの機能が使えなくなるということです。
「Office 365」は自動的に最新バージョンへとアップグレードされていきます。
やや特殊なケースといえますが、Office 2013の機能に依存したシステムを組んでいる場合などは、これが導入のネックとなることでしょう。
「Office 365」導入の検討を回避するのは困難
働き方改革関連法は2019年4月に施行。
日本企業にとって業務の効率化は避けて通ることのできない喫緊の課題となっています。
また、マイクロソフト社も買切り&オンプレミス型Office製品の値上げを実施するなど、「Office 365」へのシフトが明確な状況です。
Office製品は、企業のインフラの1つといっても過言ではありません。
情報システム担当者として、Office製品の運用について提案ができないというのは非常にまずい状況です。
社会情勢を考えると、「Office 365」導入は確実に選択肢に入ってくるもの。
いざというときに自社にとって最適な選択ができるよう、情報収集を重ねておくといいでしょう。