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発信

2019.11.11

手順書のあるべき姿について考える ――エーピーコミュニケーションズ×パーソルテクノロジースタッフ「手順書Night」を開催

11月1日、株式会社エーピーコミュニケーションズとパーソルテクノロジースタッフ株式会社の合同イベントとして“手順書Night”を開催しました。

一見地味な存在ではあっても多くのエンジニアが毎日触れるもの、それが手順書。読む側や作る側など立場はそれぞれ異なれど、皆さん何かしらのこだわりをお持ちではないでしょうか。

弊社岩井(左)とエーピーコミュニケーションズ横地氏(右)。
横地氏の活動については「てくなべ」をご確認頂きたい。

会の発起人はエーピーコミュニケーションズの横地晃(よこちあきら)氏と弊社パーソルテクノロジースタッフの岩井大祐。横地氏は同社のテクニカルエバンジェリストとして近年Ansibleをテーマ軸とする執筆・講演活動などを精力的に行っていますが、そんな氏のあるツイートにガッツリ反応した岩井が、社を超えたコラボを提案。今回の開催に至ったものです。

弊社岩井が大いに反応した横地氏のツイート。

手順書を巡る“あるある”や気づき

第1部として、両社より5名のエンジニアがライトニングトーク形式で様々な指摘を提示しました。

    パーソルテクノロジースタッフ
  • 先人の残した方法と手順を“神託”として個々人が無条件に受け入れてしまうと、スキルの低下にも繋がり得る。 / 渡辺 直史
  • 書き手(開発部門)と読み手(運用部門)には手順の文書化に対する温度差があることも踏まえつつ、更新の方法には皆の合意が形成されていることが大切。 / 宮後 怜美
  • 組込みソフトウェアに関わる者の観点としては、用語定義や搭載機能の記述に加え、故障に繋がる事例などにも触れておくことが必要。 / 阿部 耕二

渡辺(左)、宮後(中)、阿部(右)

    エーピーコミュニケーションズ
  • 手順を細かい粒度で(コマンドを打つに至るまでの流れなど)定義することは、一時的な負荷になる反面、結局は運用のコストダウンに繋がるのではないか。また、それを文書化することは後の自動化への布石にもなりうる。 / 中村 圭佑 氏
  • 別紙(読み替える必要が流動的に発生する要素をまとめたもの、いわゆるパラメータシート)参照や過剰な画像などを極力減らすことで、読み手が注視すべきポイントを絞ってあげる観点も大切。全てのケースに当てはまるわけではないが、シンプルであることは重要。 / 伊藤 雅人 氏

伊藤氏(左)、中村氏(右)

如何でしょう。簡単ではあるもののそれぞれの意見を纏めてみましたが、特に技術職の方においては何かしらの思いがあるものばかりではないでしょうか。

“別紙参照”と変更管理の難しさ

ライトニングトークを踏まえ、会場全体を巻き込んだディスカッションで特にクローズアップされた要素の一つに「別紙化」が挙げられます。

“別紙参照”は、どちらかというと作り手の都合を優先したものではないか。とは言え動的要素を手順書に内包して読者コンシャスであろうとすることが、かえって変更管理上の問題を引き起こしてしまう。様々な意見や考え方が有り得るイシューですが、比較的目立った意見として、どちらかの方法に寄るのではなく「使い分け」が必要であろうというものです。

頻度が限定される計画作業ならば、動的な要素への記述を編集し続ける負荷も少ないことから一冊に纏めることも可能でしょうし、読者層が流動的な(非技術者の場合もある)作業についてもやはり一冊に纏めるべきであろう、といった意見です。

但し読者が固定されている、単独で作業しない等の条件が揃えば、別紙という方法を取らざるを得ないのではないか。それが大方の見方なのかもしれません。

改善要望が上がる環境は整っているか

横地氏からの問いかけのイシューとして、改善要望の上がる背景やその風通しに関するものがあります。

改善を実施するトリガーについて、参加者からは(未然予防的な申告によるものではなく)オペミスの後に生じてしまっているとの意見が目立ちました。

特にミスに関わったとされる当事者は改善のためのキーマンである一方、その件に委縮しがちであり、手順書を作成する側は要望をうまく拾い上げる何らかの工夫が要求されます。

「当事者にヒアリングを行う際、その方自身への対策を行っている訳では無い旨を理解してもらい、率直な感想を引き出そうとしている。」といった試みもあれば「ヒアリングを行ってもうまく意見が拾えない時もある。その場合こちらが良かれと想像する改編を加えるが、根拠には乏しく改善に繋がったか疑問が残る。」といった声もあり、現場の苦悩が垣間見える問いかけにもなりました。

まとめ ――“来年の私”がわかるように作る

誰もが関わる手順書について、役割を超えてディスカッションを行う試みとなった「手順書Night」ですが、ここには書ききれない多くの指摘が上がりました。手順書は多くの人の論点であり、これを巡るエピソードや語りも多々あるものですね。

ある方の意見に「来年、ふとその作業をやる羽目になった私がわかるように、その手順書を作っている」というものがありましたが、これは非常に高度なコミュニケーション能力を意味することであり、才能の一つといっても過言では無いのかもしれません。

最後となりますが、会場のご提供をはじめ、重要な指摘の数々を賜ることとなったエーピーコミュニケーションズの皆様、誠にありがとうございました。

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