Special Talk | 特別対談

自宅学習サポートで3DCADを学び、今後のキャリアのきっかけができた――機電系・無期社員エンジニア×キャリアアドバイザー対談

※文中の会社名は、掲載当時の情報です。

スタッフの方がよりよいキャリアを築いていけるよう、一人ひとりの悩みに寄り添い、目標を達成するためのお手伝いをするのもキャリアアドバイザーの役割です。ただ要望にあったお仕事を紹介する「点の支援」だけでなく、その先までを見据えた「点から線のキャリア支援」を目標とするパーソルテクノロジースタッフのキャリアアドバイザーは、目標に向かって進むスタッフの方々へ、どのようなサポートをしているのでしょうか。

今回お話を伺ったのは、自動車部品メーカーで機械設計に従事している佐藤さんと、キャリアアドバイザーの湯浅さん。今後自身のキャリアを発展させていくために必要だった3DCADを、湯浅さんの働きかけを通して、学習する機会を得られたのが次の一歩を踏み出す大きな後押しになったと佐藤さんはいいます。機電系エンジニアの方への、初となる自宅学習サポートは、どのような経緯で行われ、佐藤さんにとってはどんなメリットがあったのでしょうか?

  • パーソルテクノロジースタッフ株式会社 派遣スタッフ

    佐藤 成彦

    自動車部品や機械製品の設計業務を経て、2015年パーソルテクノロジースタッフに登録。
    同年より自動車部品メーカーにて機械設計として勤務。

  • パーソルテクノロジースタッフ株式会社 営業本部 人材開発部 キャリアサポート1G

    湯浅 由之

    無期雇用社員のキャリア支援を担当。
    大切にしていることは、自己開示をして親近感を与えながら、頼られる存在になること。

連絡をもらえて、ちょっとした悩みを話せる相手ができた

  • ——佐藤さんは、現在どういったお仕事をされているのでしょうか?

    佐藤さん(以下、敬称略) :2015年よりパーソルテクノロジースタッフの派遣スタッフとして、自動車部品メーカーに就業して7年目になります。自動車のなかでも特に重要な部品を取り扱っている会社で、新しい分野の設計に興味があって、今の会社で働くようになりました。

    以前は別会社の派遣社員として仕事をしていて、自動車やオフィス機器などの機械設計をしていました。今の就業先で働くようになったのは、そういった設計の仕事の延長になりますね。湯浅さんが私の担当についてくださったのは、2020年頃ですよね?

    湯浅 :そうです。2020年5月だったと思います。そこからのお付き合いです。

    佐藤 :やりとりはメールと電話が中心なのですが、いつもこまめにご連絡を頂いています。こんなことを言っていいのかわからないですけど、初めてお話しした当時から、フレンドリーでお話ししやすい方、という印象でした。

    湯浅 :そう言っていただけるとうれしいです。ありがとうございます(笑)

    佐藤 :派遣スタッフで働いていると、他愛のない話なら同僚たちとできますが、ちょっとした悩みとか、将来のことや仕事に対する相談はなかなかできません。でも、湯浅さんは定期的にご連絡をくださって、「今どうですか? ご状況どんな感じですか?」と親身になって話を聞いてもらえるので、1人で悩んでいたことなども気軽に相談できました。連絡をいただく回数が、その人との関係の深さになるような感覚です。

    湯浅 :良かったです。私は「人が発する言葉にはすべて意味がある」と考えるようにしています。ですので、佐藤さんはもちろん、他スタッフの方とお話をする際は、その方がお話される一言一句を聞き逃さないように集中するようにしています。

    結構な頻度でお話されているので自分でも意外なのですが……普段のやりとりはメールや電話ですし、なかなかコロナ禍でお会いすることもできなかったので、佐藤さんのお顔を見てお話するのは今日が初めてですよね?

    佐藤 :そうですね。どうもいつもお世話になっています(笑)。お会いしても、電話口と印象は変わらないですね。

    湯浅 :そうですか! 実は緊張していたのですが、ひと安心しました。

  • ——湯浅さんは、スタッフの方とお話するとき、他にどんなことを意識されているのでしょうか?

    湯浅 :強いて意識していることといえば、自分のことも積極的に開示することでしょうか。自分の感情とか、具体的な体験を伝えるようなコミュニケーションですね。

    私は履歴書や資料を拝見しているのでスタッフの方のことはよく存じ上げているのですが、相手は私のことを知る方法がありませんから。話し相手のことがわかれば親近感も湧きやすいと思いますので、自分のプライベートな話も織り混ぜながら、コミュニケーションをとるようにしています。

CA湯浅の提案により、念願だった3DCADの自宅実習を実現

  • ——佐藤さんは、湯浅さんとのやりとりで、印象に残っていることはありますか?

    佐藤 :やはり、私が「CATIA(キャティア)」という3DCADソフトの使い方を学べるよう、難しいところを取り計らっていただいたことですね。以前の仕事では3DCADを活用していたのですが、今の会社ではほとんど使わなくなってしまって。このままだと、いざ3DCADを使えるチャンスが巡ってきても、使いこなせないのではないかという危機感がありました。

    技術や設計に使うソフトはどんどん新しくなっていくものです。世間では機械設計の主流は3Dだし、これからも設計の仕事を続けていくためには2Dではなく3DCADを使えるようにならないといけない。でも就業先の企業で使っているのはほぼ2DCAD、という状況で。そんな悩みを、新しく担当としてご連絡をいただいた湯浅さんに相談しました。

    湯浅 :そうですね。佐藤さんからは「3DCADを使った設計をやってみたい」という話を頂戴していました。実際にCATIA経験者を探している会社は少なくないですし、技術が身につけば、今後、お仕事の選択肢が広がるだろうな、と。

    本来であれば、今の就業先でそれが実現できるのが一番なのですが、なかなか難しい状況です。そこで、まずは3DCADを学べる機会を提供できないか、いろいろ社内に確認して、模索しました。

    佐藤 :それでしばらく待っていたら、湯浅さんから「CATIAを自宅で学べる機会が作れそうなのですが、やってみませんか?」といきなりご連絡がありました。あれはびっくりしたなあ。

  • ——これまでも派遣スタッフの方が、自宅でソフトを学ぶ機会などはあったのでしょうか?

    湯浅 :ITエンジニアの方向けだと、オンラインで学べる研修プログラムが豊富にあるのですが……。佐藤さんのような機械・電気系(機電系)エンジニアの方に向けたプログラムは、CADなどのソフトのライセンス契約などクリアしなければいけない条件が多く、実現に向けてまた違った難しさがあります。当社としては、まさにこれから整備しようとしていたところでした。

    当初、佐藤さんには就業後にパーソルテクノロジースタッフの新宿オフィスに来社していただき、その場で自主学習するやり方も検討していました。しかし、それだと佐藤さんの学習時間が限られてしまいますし、自主学習とはいえ、このコロナ禍では長距離の電車での移動や、対面による機器の受け渡しなどがリスクになる可能性があります。ですので、最終的にはCATIAのソフトをインストールしたパーソルテクノロジースタッフ所有のパソコンを佐藤さんにお貸し出しすることにしました。ちなみに、今回の形式で行う機電系エンジニアの方向けの自宅学習の提供はほぼ初めてのことです。

    佐藤 :ある日、湯浅さんからお電話があり、「パソコンを送りましたので!」とおっしゃったので、びっくりしつつも、てっきりデスクトップ型のパソコンがくると思っていました。でも、届いたのはノートパソコン。ハイエンドなソフトであるはずのCATIAがノートパソコンに入るんだと思ってびっくりしましたが、荷物が届いたときは嬉しかったですね。

    湯浅 :佐藤さんがこれまでにないくらい喜んでいただいたので、お力になれてよかったとは思いました。そのときの喜びの声は、とても印象に残っています。

スキル習得は目標ではない。大事なのは「そのスキルでなにをするか」

  • ——佐藤さん、ソフトを使った3DCADの学はいかがでしたか?

    佐藤 :実際に触ってみると、本当に楽しいですよね。そもそもCATIAは、非常に高額なソフトなので、個人で購入できるものではありません。学校に通って学ぶこともできますが、そのやり方ではソフトを触れるのは授業時間の間だけ。授業料や学習時間などを考えると、受講するのは簡単ではありませんでした。

    その点、今回は自宅で学べるように調整していただいたので、空いた時間に、好きなだけCATIAを触っていられます。しかも、それが無料でできる。本当にありがたかったです。

    湯浅 :お休みの日でも、ずっと学んでいらしたようですね。

    佐藤 :そうですね。寝食を忘れるほど、CATIAに没頭した日もありました。カリキュラム通りに学べば一通りの機能を理解できるようになっていて、とても楽しみながら学ぶことができました。

    しかし、久しぶりの3DCADで学ぶことが盛りだくさんで、パソコンを送っていただく時に決めた貸与期限の1カ月ではすべてのカリキュラムを終えられず……。湯浅さんにお願いして、期間もう1カ月延長してもらいました。合計2カ月間パソコンをお借りして、みっちり学ばせてもらいましたよ。

    湯浅 :佐藤さんに行ったような学習サポートは、他の機電系エンジニアの方に向けて、今まさに準備を進めているものです。実現に向けてクリアすべきハードルも多いのですが、佐藤さんのおかげで初めて機電系のスタッフの方に学びの機会を提供することができました。今後もこのような機会を増やしていきたいと考えています。

  • ——佐藤さんは3DCADの学習後、キャリアへの考え方や意識に変化はありましたか?

    佐藤 :複雑な形状の部品は、2DCAD だと作れません。多岐にわたる部品を設計できるようにするためには、3DCADが必要になります。こうやって3DCADを学ばせてもらったことで、できることが1つ増えたと思っています。しかし、「3DCADができる」ことはあくまでも手段であって、大事なのは「身につけた技術を利用してなにをするか」です。

    それに、いくら座学で3DCADの使い方を覚えても、現場で使う場面がないことには、半年もしたらやり方を忘れてしまいますから。せっかくCATIAを学ぶことができたので、今後は3DCADを使って設計できる仕事にチャレンジしていきたいですね。

    湯浅 :佐藤さん、たしか民製品を設計したいとおっしゃっていましたよね。

    佐藤 :そうです。 CP(コンシューマプロダクツ) 製品といいますが、一般消費者向け製品を設計したいと思っています。自分が手がけた製品を通じて人々に喜んでもらえると、設計者冥利につきますね。

    湯浅 :素敵な目標だと思います。佐藤さんはやりたいことを明確にお持ちなので、当社の営業と連携をとりながら、佐藤さんの目標が叶えられるように、今後もしっかりサポートさせて頂きたいと考えております。

文=西谷忠和/編集=ノオト

本文中に記載の社名・部署名等は取材時点のものです(2022年3月1日時点)